東北農業研究センター

牛のエサにする飼料イネ

飼料イネはホールクロップサイレージにして牛のエサにするイネです。
安全な国内産粗飼料の供給、食物自給率の向上を目的に飼料用イネ品種を育成しています。

飼料イネって何?

飼料イネは、牛のエサにするためのイネです。お米を収穫する普通のイネとは違い、イネをまるごと刈取って一つのかたまり(ロール)にします。それをラップして発酵させサイレージにし、牛にあたえます。

イネを丸ごと刈取る→ラップしてサイレージにする→牛に給与する

なぜイネを牛のエサにするのか

日本では平成12年に口蹄疫が、13年には日本初のBSE(牛海綿状脳症)が発生して、社会的に大きな問題になりました。これらは、海外から輸入した飼料に原因があると言われていて、多くの飼料を海外に頼っている日本の畜産を大きく揺るがしました。そのため、日本の飼料の増産や拡大、飼料自給率の向上が重要な課題になっています。

一方で、日本のお米の消費量は年々減少し、お米は生産過剰傾向にあります。そのため水田では転作が求められています。その中で飼料イネは転作作物として最も導入が簡単な作物として注目されています。

東北農業研究センターで育成した東北地域向け飼料稲系統

奥羽飼385号

特徴 飼料用、大粒
交配組合せ 北陸168号/ふくひびき
熟期 中中
草型 中稈穂重
耐倒伏性 やや強
直播適性
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち -
穂いもち -
真性抵抗性遺伝子 b、?
穂発芽性

奥羽飼385号の写真
稈長が長く「ふくひびき」並の熟期

奥羽飼386号

特徴 飼料用、直播向き
交配組合せ 97TY-18/ふくひびき
熟期 中晩
草型 短稈・偏穂重
耐倒伏性
直播適性
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち -
穂いもち -
真性抵抗性遺伝子 b、?
穂発芽性

奥羽飼386号の写真
直播に向く多収系統

奥羽飼387号(2005年品種登録出願)

特徴 飼料用、直播向き、大粒
交配組合せ オオチカラ/西海203号
熟期 中晩
草型 やや短稈・穂重
耐倒伏性
直播適性
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち やや弱
穂いもち 弱
真性抵抗性遺伝子 ta-2
穂発芽性 やや易

奥羽飼387号の写真
耐倒伏性に優れ、直播に向く系統。「ふくひびき」より安定して多収です。

奥羽飼394号

特徴 飼料用、直播、大粒
交配組合せ 羽系604/ふくひびき
熟期 早早
草型 短稈・穂重
耐倒伏性 極強
直播適性
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち -
穂いもち -
真性抵抗性遺伝子 ?
穂発芽性

奥羽飼394号の写真
早生で短稈、多収。作期分散に期待できます。

奥羽飼395号

特徴 飼料用
交配組合せ ふくひびき/97UK-46
熟期 早早
草型 やや短稈・穂重
耐倒伏性
直播適性 -
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち -
穂いもち -
真性抵抗性遺伝子 b、?
穂発芽性

奥羽飼395号の写真
早生でやや短稈、多収量。作期分散に期待できます。

奥羽飼396号

特徴 飼料用
交配組合せ SKBC-42//つ系995/ふくひびき
熟期 早早
草型 長稈・穂重型
耐倒伏性
直播適性
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち -
穂いもち -
真性抵抗性遺伝子 i、b、?
穂発芽性

奥羽飼396号
早生で「アキヒカリ」並の収量。直播栽培に適しています。

ふくひびき(参考)

特徴 極多収
交配組合せ コチヒビキ/奥羽316号
熟期 中中
草型 短稈・穂重
耐倒伏性
直播適性
耐冷性 やや弱
いもち病抵抗性
葉いもち やや弱
穂いもち 中
真性抵抗性遺伝子 a、b
穂発芽性

ふくひびきの写真
中生の安定多収の品種

その他の地域で育成した飼料稲品種・系統

クサユタカ(中央農業総合研究センター北陸研究部)

特徴 飼料用、大粒、多収
交配組合せ 中国105号/北陸130号、オオチカラ
熟期 晩生
草型 穂重型
耐倒伏性 -
直播適性 -
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち 中
穂いもち 中
真性抵抗性遺伝子 a、k

クサユタカ
関東北陸以西向きの大粒多収品種

夢あおば(中央農業総合研究センター北陸研究部)

特徴 飼料用、直播向き
交配組合せ 上231/奥羽311号、ふくひびき
熟期 中晩性
草型 穂重型
耐倒伏性 極強
直播適性
耐冷性
いもち病抵抗性
葉いもち -
穂いもち -
真性抵抗性遺伝子 不明

以上の他に、クサノホシ、はまさり、ホシアオバ、クサホナミ、ニシアオバなどの品種が関東以西向きの飼料用として用いられています。