促成栽培用イチゴ新品種‘さちのか’
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[要約]
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促成栽培用イチゴ品種‘さちのか’は、着色促進のための栽培管理を必要とせず、また果実硬度と秀品果率が高いため収穫後の作業性と流通適性に優れる。果実糖度とビタミンC含量が安定して高く、肉質が緻密で、食味は極めて良い。
(keyword)促成栽培、着色促進、果実硬度、作業性、流通適性、糖度、ビタミンC含量
野菜・茶業試験場 久留米支場 栄養繁殖性野菜育種研究室
[連絡先]0942-43-8271
[部会名]野菜・茶業
[専門] 育種
[対象] 果菜類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
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近年、生産者の高齢化と慢性的な労働力不足から、イチゴの作付け面積は漸減傾向にあり、将来的には主たる生産期である促成栽培においても、国内需要を満たす生産を確保することが困難になることも懸念されている。そこで果実の着色と形状の揃い、硬さ性、病害抵抗性等の向上により、本圃、収穫・選果、流通の各場面において省力化を可能とする促成栽培用品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 育成経過 昭和62年に、早生・大果で収量が高く、食味・香気に優れる‘とよのか’を種子親、極大果で着色に優れる‘アイベリー’を花粉親とした交配から実生 280個体を養成し、昭和63年より促成栽培で選抜を続けた結果、平成3年にほぼ目標にかなう系統が得られたため、‘久留米52号’の系統名を付し、平成4〜7年に特性検定・系統適応性検定試験に供試した。その結果促成栽培用品種として有望と評価され、平成8年8月にイチゴ農林20号‘さちのか’として命名登録された。
- 特性の概要 1)果実は‘とよのか’よりやや小さいが、着色・光沢に優れ、秀品果率が高く、果実硬度が‘とよのか’より20%程度高いため、収穫・選果・パック詰めの作業性に優れ、輸送性・日持ち性もよい。また、糖度及びビタミンC含量が安定して高く、食味は極めて良い(表1、表2)。
2)草姿は中間〜やや立性で、果梗長がやや長いため、着色促進のための「玉出し作業」や果梗伸長のためのジベレリン処理を必要とせず、省力的である(表1)。
3)花房の分化期は‘とよのか、女峰’より数日遅く、やや晩生であるが(表1)、連続 出蕾性に優れ、厳冬期の矮化もごく軽く、促成栽培に適する生態特性を有する。
4)普通促成栽培における収量性は‘とよのか’並であり、またポット育苗あるいは夏期低温処理による早出し促成栽培における年内収量は‘とよのか’の50〜80%程度だが、総収量は同程度である(表1)。
5)特定病害に対する抵抗性は有しないが、うどんこ病の発生は‘とよのか’よりかなり少ない(表3)。
[成果の活用面・留意点]
宮城県以南の太平洋側を中心とした地域の促成栽培に適する。また流通適性に優れることから輸送を必要とする遠隔地の産地に好適である。‘とよのか’等と比べて早生性に劣るため、極端な早出し栽培に対する適応性は低い。
[その他]
研究課題名:イチゴ優良系統選抜
予算区分 :経常
研究期間 :平成8年度(昭和62〜平成8年)
研究担当者:森下昌三・望月龍也・野口裕司・曽根一純・山川 理
発表論文等:促成栽培用イチゴ新品種‘さちのか’の育成経過と特性.野菜茶試研報,12,91-115,1997. (投稿中).
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