日本産糸状菌類図鑑 No.13 before← →next ↑top

Botryotinia fuckeliana (de Bary) Whetzel [=Botrytis cinerea Pers.:Fr.]
分類:子のう菌門,盤菌綱,ズキンタケ目,キンカクキン科

日本全国に分布。寄生する植物の範囲はきわめて広く,果実や花の灰色かび病を初め,斑点病,立枯病などを引き起こす。葉面で腐生的にも生息する。薬剤耐性菌がしばしば出現する。分生胞子を飛散して蔓延する。組織内の菌糸および菌核で越冬する。

性状(機能):植物病原菌,葉上生息菌

形態:
 有性世代:
 無性世代:大型で長い分化分生子柄の先端に短い分枝を生じ,それぞれの先端に無色〜淡褐色,楕円形〜卵形,しばしば小さなへそを生じ,平滑,大きさ6-18×4-11μ,無隔壁の分生胞子を形成する。
分生子柄と分生胞子

農環研所蔵標本

標本番号 菌種 宿主和名 宿主学名 症状 採集地 採集年月日 採集者
118-1-89 Botrytis cinerea ブドウ Vitis spp. 灰色かび病 駒場農科大学 1906.12.1 白井光太郎
258-2-13 1911.11
105-1-46 インゲンマメ Phaseolus vulgaris 興津園芸部 1917.6
117-1-20 カキ Diospyros kaki 福岡県 1929
117-1-21 カキ Diospyros kaki 九大農場 1932.6.7 河村栄吉
117-1-22 カキ Diospyros kaki 箱崎 1938.6.19
116-1-76 ゼラニウム Pelargonium zonale 東京都農試江戸川分場 1964.9.7 富永時任

(記述および図版提供者:月星隆雄,農環研,微生物分類研究室,2002)


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