独立行政法人農業環境技術研究所 平成13年度計画
 
 
 上記の独立行政法人農業環境技術研究所の中期計画をもとに、平成13年度の計画を作成した。内容は以下のとおりである。
 
T 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置
 
1 研究業務の効率化
 
(1)評価・点検の実施
 
(1)「運営・評価委員会」の開催
 業務及び運営の改善に資するため、外部委員を加えて、研究所の研究推進方策、研究資源配分、運営管理、研究計画・成果について評価・点検する「運営・評価委員会」を開催する。また、その結果をインターネット等で公開する。
 
(2)研究課題の検討会の開催
 研究の推進方策・計画、進捗状況、成果を的確に把握するとともにそれらを評価するため、全ての実行課題を対象に研究所内部で検討会を開催する。
 
(3) 研究職員の業績審査委員会の開催
 研究職員の業績評価を行い、その結果を適正に処遇、研究資源配分等に反映させるため、研究職員の業績審査委員会を開催する。
 
2 研究資源の効率的利用
 
(1)研究資源の充実
 農水省のパイオニア特別研究、他府省、生物系特定産業技術研究推進機構等の競争的資金に係る研究課題に積極的に応募する。
 
(2)高額機器の利用計画
 高額機器の利用計画を作成し、効率的な利用の促進を図る。
 
3 研究支援の効率化及び充実・高度化
 
(1)研究情報の収集、提供
 農林水産省研究ネットワークを活用して、研究情報の収集、提供の充実強化を図る。
 
(2)外部委託計画
 アイソトープ施設、精密機器類の保守・管理及び研究本館・実験棟の一般保守管理について、業務の性格に応じて外部委託により効率化を図る。
 
4 連携、協力の促進
 
(1)他の独立行政法人との連携、協力
 
 他の独立行政法人との役割分担に留意しつつ、研究目標の共有、共同研究、人事交流を含めた連携、協力を積極的に行う。特に、開発途上地域における農業環境研究の推進に当たっては、独立行政法人国際農林水産業研究センターのセンター機能を活用するとともに、研究の推進に参画する。また、独立行政法人農業研究機構が行う総合研究に協力する。さらに、森林総合研究所、水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所、農業環境技術研究所の3研究機関が設置した「環境研究三所連絡会」を活用し、環境研究の情報交換を行う。
 
(2)産学官の連携、協力
 
(1)国内共同研究の実施
 環境省地球環境総合研究推進費による国立環境研究所との共同研究、文部科学省革新的な技術開発研究推進費による(株)フィルドサイエンス、九州大学、福岡県農業試験場との共同研究を実施するほか、組換え植物の隔離ほ場試験を電力中央研究所、社団法人農林水産先端技術産業振興センターと共同で行う。
 
(2)外国との共同研究の実施
 地球温暖化に伴う北極域陸域生態系の温室効果ガス収支の変動解明とデータの総合化の研究、水田農業の持続性と公益機能に関する日韓共同研究を実施する
 
(3)行政との連携
 農水省大臣官房統計情報部、農村振興局資源課との交流会を行うとともに、農業環境研究推進のための会議を開催し、行政部局との連携・協力について意見交換を行う。
 
(4)研究情報の提供
 農業と環境に関する研究情報について「情報:農業と環境」を毎月発行し、他研究機関及び行政との情報の共有、研究の連携、協力に努める。
 
5 管理事務業務の効率化
 
(1)会計システムの導入
 会計システムを導入する。人事管理システム及び健康管理システムの導入のための準備を行い、次年度以降の早い時期に導入できる体制を確立する。
 
(2)事務処理の電子化
 事務処理の電子化により、より一層のペ−パ−レス化を進める。
 
(3)戦略的な研究推進、運営方針に即した研究所の運営の円滑化
 戦略的な研究推進、運営方針に即した研究所の運営の円滑化を図るため、総務部の係等の見直しを行い、企画調整部門に一般職員を重点的に配置する。
 
6 職員の資質向上
 
(1) 業務上必要な各種の研修に職員を積極的に参加させるほか、必要な研修を実施し、職員の資質向上に努める。また、業務上必要な資格取得を支援する。
 
(2) 国際研究集会派遣実施要領を作成し、30名程度を目途に職員を派遣する。
 
(3) 博士号の取得を奨励し、適切な指導を行う。
 
U 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置
 
1.試験及び研究並びに調査
 
A 農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保
 
1)環境負荷物質の動態解明と制御技術の開発
 
(1)ダイオキシン類のイネ等による吸収、移行及び特定集水域水田土壌から農業排水系への流出実態の解明
(1)イネ等におけるダイオキシン類の吸収、移行特性の解明
担当:化学環境部・環境化学分析センター
研究計画:安定同位体標識ダイオキシン類を用いたトレーサ実験によりイネ作物体における動態を解明する。さらに、野菜をダイオキシン類汚染土壌で栽培し、野菜の各部位におけるダイオキシン類濃度と温度条件との関係を解析する。
 
(2)牛久沼集水域における水田から農業排水系へのダイオキシン類の流出実態の解明
担当:化学環境部・地球環境部・生物環境安全部・環境化学分析センター
研究計画:水田から流出する土壌粒子及び排水路底質などに収着されているダイオキシン類濃度を把握し、土壌粒子特性とダイオキシン類濃度との関係を解明する。さらに土壌粒子等浮遊物に対する各種凝集剤の機能を評価する。
 
(2)カドミウム等微量元素の土壌集積経路及びイネ・ダイズ子実への移行過程の解明
(1)カドミウム等の土壌中における存在形態と吸収抑制機構の解明
担当:化学環境部
研究計画:水稲栽培期間に、経時的にポーラスカップで採取した土壌溶液中及び玄米中のカドミウム濃度の相関を検討する。
 
(2)農耕地におけるカドミウム等負荷量の評価とイネ・ダイズ等による吸収過程の解明
担当:化学環境部・環境化学分析センター
研究計画:肥料及び再生有機質資材等のカドミウム、鉛、その他の重金属含量に関する文献デ−タを収集するとともに、デ−タが不備な資材については全量分析を行い、重金属含量に関するデ−タベースを作成する。
 
(3)カドミウム吸収能の低いイネ・ダイズ品種の検索
担当:化学環境部
研究計画:異なる品種のダイズを重金属汚染土壌で栽培し、子実中のカドミウム濃度を測定し、カドミウム濃度の低い品種を検索する。
 
(3)土壌・水系における硝酸性窒素等の動態解明と流出予測モデルの開発
(1)硝酸性窒素等の土層内移動の解明
担当:化学環境部
研究計画:黒ボク土畑土壌による硝酸性窒素の吸着と移動遅延に関わる土壌要因を不飽和水分条件下の溶質移動実験等により明らかにし、土壌の実効的な溶質吸着能の測定法を開発する。
 
(2)各種資材等の評価による負荷軽減技術の開発
担当:化学環境部
研究計画:硝酸イオンを吸着する生分解性資材を試作し、資材の分解性や土壌からの硝酸イオン溶脱を抑制する機能を解析する。
 
(3)硝酸性窒素の中規模流域におけるモニタリング手法の開発
担当:化学環境部
研究計画:対象とする矢作川流域にモデル地区を選定し、水田、樹園地及び生活排水由来の硝酸性窒素負荷の寄与率をエンドメンバーズ法等により推定する。
 
(4)硝酸性窒素の負荷流出予測モデルの中規模流域への適用
担当:化学環境部
研究計画:水質解析に必要なデータベース化手法の改良と外部データベースのリモートオブジェクト化を図り、さらに矢作川について、流域特性、水質のデータベース化に取り組む。
 
(4)難分解性有機化合物分解微生物の分解能解析技術の開発及び汚染環境中への分解菌接種技術の開発
(1)クロロ安息香酸分解菌等の分解能解析技術の開発
担当:化学環境部
研究計画:クロロ安息香酸等の分解菌のクロロ安息香酸ジオキシゲナーゼ等分解酵素の遺伝子群を大腸菌発現ベクターで発現させること等により、分解活性や基質特異性を解析する方法の開発に取り組む。
 
(2)木質炭化素材を用いたトリアジン系除草剤汚染環境への分解菌接種技術の開発
担当:化学環境部
研究計画:土壌中に混和した木質炭化素材中に土壌還流法を用いてシマジン分解菌を集積させ、そこから分解菌を単離する。さらに、分解菌を形態学・生化学・分子生物学的手法を用いて同定する。
 
(5)農薬の水生生物等に対する影響評価法の開発
(1)水田用除草剤の水系における拡散経路の解明と藻類等水生生物に対する影響評価法の開発
担当:化学環境部・環境化学分析センター
研究計画:水系における除草剤の質量分析計付き高速液体クロマトグラフを用いた高感度分析法の開発に取り組み、水生態系の一次生産者である藻類の各種除草剤に対する感受性及び藻類の生育回復性について検討する。
 
(2)新規資材による生体防御機能等の活性化機構の解明
担当:化学環境部
研究計画:非殺菌性の抵抗性誘導物質施用によって発現する抵抗性関連タンパク質のキュウリ、ナシからの検出・同定に取り組み、ほ場での抵抗性誘導効果を確認する。また、雑草制御微生物の氷核活性機能の利用法開発に取り組む。
 
2)人為的インパクトが生態系の生物相に及ぼす影響の評価
 
(1)遺伝子組換え生物による生態系かく乱機構の解明と影響評価手法の開発
(1)組換え作物の栽培が農業生態系における生物相に及ぼす影響評価並びに導入遺伝子の拡散に関する遺伝学的解析手法の開発と遺伝子拡散の実態解明
担当:生物環境安全部
研究計画:組換えナタネと交雑の可能性のある近縁野生種の生態学的特性とこれらの混生群落個体間での遺伝子交流の実態を解明する。また、飛散したトウモロコシ花粉の植物葉上への堆積量を実測するとともに、ほ場周辺への堆積量を推定する。
 
(2)導入寄生蜂等による生態系かく乱の実態とかく乱機構の解明
(1)ハモグリバエ等に対する導入寄生蜂等が非標的昆虫に及ぼす影響の評価
担当:生物環境安全部
研究計画:マメハモグリバエに対する導入寄生蜂等が土着寄生蜂等非標的昆虫に与える影響の事前評価を行う。また、クリタマバチに対する導入・土着寄生蜂集団間の類縁関係を分子マーカー等を用いて解析する。
 
3)農業生態系の構造と機能の解明
 
(1)環境要因が微生物の増殖、個体群変動に及ぼす影響の解明
(1)土壌微生物相等の要因が菌核性糸状菌等の動態に及ぼす影響の解析
担当:生物環境安全部
研究計画:培養可能な土壌微生物を形態的特徴に基づいて同定するとともに、培養できない菌を含めた土壌糸状菌相を変性勾配ゲル電気泳動法により明らかにする。
 
(2)微生物及び植物の二次代謝物等が微生物の増殖に及ぼす影響の解析
担当:生物環境安全部
研究計画:農業環境に適応した植物共生細菌、植物寄生細菌及びウイルス等が生産する毒素、タンパク等を検索し、それらが生物間相互作用に及ぼす影響について評価、解析する。
 
(2)昆虫の個体群動態に及ぼす餌資源、昆虫放出物の影響の解明
(1)寄主植物の空間分布がハムシ等の個体群動態に与える影響の解析
担当:生物環境安全部
研究計画:寄主植物であるブタクサの分布状態を人為的にコントロールし、寄主植物の分布状態の違いがブタクサハムシ個体群の増殖に及ぼす影響をほ場試験によって明らかにする。
 
(2)カメムシ、ハマキガ等の放出物が周辺昆虫に及ぼす影響の解明
担当:生物環境安全部
研究計画:ツヤアオカメムシの放出物中の集合活性成分を分析する。また、クリシギゾウムシの誘引物質を野外においてスクリーニングする。さらに、交信かく乱剤に感受性及び非感受性のチャノコカクモンハマキについて性フェロモン微量成分を比較する。
 
(3)農業生産活動が農業生態系の生物群集の構造と多様性に及ぼす影響の評価
(1)スルホニルウレア系水田除草剤施用が水田周辺の植物群落の種多様性に及ぼす影響
担当:生物環境安全部
研究計画:感受性生物型と抵抗性生物型の交配試験とその後代の検定により、スルホニルウレア系除草剤抵抗性雑草の遺伝様式を明らかにし、抵抗性遺伝子拡散モデル作成のための基礎資料を得る。
 
(2)カテコール関連化合物を放出する植物の導入が周辺の植物や土壌環境に及ぼす影響解明
担当:生物環境安全部
研究計画:植物から農業環境中にカテコール化合物等の生理活性物質を放出する植物を探索する手法を開発し、この手法を用いてこれらの生理活性物質を放出する導入・侵入植物の検索を行う。
 
(3)農地管理形態の変化に伴う農地及び周辺植生の変動予測
担当:生物環境安全部
研究計画:絶滅危惧植物タコノアシ群落について、立地や人為条件の異なる地区において群落調査を行い、その成立要因を解析するとともに、植生変化把握のフレームを構築するため、数値地図情報等を用いて農業生態系の類型化を行う。
 
(4)畑地及びその周辺に生息する線虫の動態解明
(1)畑地及びその周辺に生息する線虫の属・種構成の解明並びに昆虫病原性線虫等の特性解明
担当:生物環境安全部
研究計画:Mononchida目、Dorylaimida目等捕食性線虫、Rhabditida目等細菌食性線虫の属・種レベルでの同定を行う。昆虫病原性線虫の寄主範囲、感染に好適な条件などの特性の解明を進める。
 
B 地球規模での環境変化と農業生態系との相互作用の解明
 
1)地球規模の環境変動が農業生態系に及ぼす影響解明
 
(1)地球規模の環境変動に伴うコメ生産地域の生産力変動予測手法の開発
(1)地球規模の環境変動に伴う生育阻害要因を考慮した東アジアのコメ生産力の変化予測
担当:地球環境部
研究計画:水資源変動、土壌劣化、害虫発生等の生産力制限要因の解明のため、東アジア周辺地域を対象に、将来の気候の推定に適した統計的ダウンスケーリング手法の基礎を開発する。
 
(2)日本周辺地域の水稲栽培における脆弱性評価及び影響緩和技術の提示
担当:地球環境部
研究計画:温暖化に対する日本の水稲栽培の脆弱性評価の基礎として、潜在収量を規定する要素を明らかにし、それらの関係から将来の気候条件における栽培適期の変化が収穫量に及ぼす影響を推定する。
 
(2)気候変化、二酸化炭素の濃度上昇に伴う農業生産への影響の解明
(1)気候変化や二酸化炭素の濃度上昇による農業気候資源量の変動特性の解明と影響評価法の開発
担当:地球環境部
研究計画:気候変化や二酸化炭素の上昇による農業水資源への影響を評価し、予測手法を開発するために必要なデータベースの構築を行う。
 
(2)二酸化炭素の濃度上昇がアジアのコメ生産性に及ぼす影響のモデル化
担当:地球環境部
研究計画:FACE(開放系大気CO2増加)実験結果とイネ生長モデルによるシミュレーションの結果を比較して、モデルの検証及び高度化を図る。
 
(3)気候変化が生態系のフラックス変動に及ぼす影響の解明
(1)農耕地や自然生態系におけるフラックス変動の評価
担当:地球環境部
研究計画:水田のフラックス観測サイトにおいて、渦相関法を適用したCO2や水蒸気フラックスの連続観測を行い、2001年の気象条件下における現作付け体系水田の炭素収支を明らかにする。
 
2)農業が地球環境に及ぼす影響解明と対策技術の開発
 
(1)農業活動が温室効果ガスへ及ぼす影響解明と対策技術の開発
(1)農地の利用形態と温室効果ガス等の発生要因の関係解明及び発生抑制技術の開発
担当:地球環境部
研究計画:農地における土地利用変化、バイオマス燃焼等による温室効果ガス等の発生実態を調査するとともに、発生要因の関係解析に取り組む。
 
(2)農業生態系における炭化水素、花粉、ダスト等大気質の放出・拡散過程の解明
(1)農業生態系における炭化水素、花粉、ダスト等大気質の放出・拡散過程の解明
担当:地球環境部
研究計画:農業生態系において放出される大気質について、大気中濃度の動的な評価手法を、気象条件等を考慮しつつ比較検討する。
 
(3)人間活動に伴う環境変動が農業生態系における物質循環及び空間構造の特性に及ぼす影響の解明
(1)窒素負荷の増大等による農業生態系の酸性化と窒素等の動態把握手法の開発
担当:地球環境部
研究計画:降水、土壌水の窒素、イオウ、塩基等の濃度の調査を実施し、その結果に基づいて集水域モデルを改良し、農業生態系内の物質循環を定量的に評価する。
 
(2)物質収支算定システムの構築と環境負荷の定量化手法の開発
担当:地球環境部
研究計画:食料の生産と物流に関わる農業関連情報を収集し農業生産に伴う養分のフロー・ストックの評価システムの構築に取り組む。
 
(3)GISを活用した農業生態系の空間構造変動の定量的把握手法の開発
担当:地球環境部
研究計画:土地利用変動域を定量的に評価するために、基準となる明治初期に測量された迅速測図とその後作成された地形図、土地利用図を精度よく重ね合せる。
 
(4)中国における砂漠化に伴う環境資源変動評価のための指標の開発
担当:地球環境部、生物環境安全部、環境化学分析センター
研究計画:中国内モンゴルにおける砂漠化プロセスに関連する資料・文献等を収集し、指標開発の基礎となるデータベースを構築する。また、自然的土地条件等に関する現地調査を行い、砂漠化モニタリングを実施する地区を選定する。
 
C 生態学・環境科学研究に係る基礎的・基盤的研究
 
1)環境負荷物質の分析技術の高度化
 
(1)農業環境中におけるダイオキシン類等化学物質の超微量分析法の高度化
(1)塩素化ダイオキシン類等有機化学物質の超微量分析法の開発
担当:環境化学分析センター、化学環境部
研究計画:超臨界・高速溶媒抽出装置などを用い、農作物や土壌中のダイオキシン類を効率的に抽出・精製する方法を検討するとともに、高分解能質量分析計による精度の高い測定法の開発に取り組む。
 
(2)農業環境中のカドミウム等の超微量分析法の開発
担当:環境化学分析センター、化学環境部
研究計画:農業環境中の水試料に含まれるカドミウム等の重金属類を分離、濃縮する手法を検討し、誘導結合プラズマ質量分析法を用いた重金属類の超微量分析法の開発に取り組む。
 
(2)作物・農耕地土壌における137Cs等放射性同位元素のモニタリング
(1)リスク評価のための137Cs等放射性同位元素の平常時モニタリング
担当:環境化学分析センター
研究計画:特定ほ場の米、麦並びに水田・畑土壌中の137Cs90Sr、つくば地区の農作物中の131I137Csの年次変動を測定してバックグラウンドデータを蓄積する
 
2)環境資源情報の計測・解析技術の高度化
 
(1)農業生態系の広域的計測手法及び多変量解析手法の高度化
(1)衛星情報のデータベース化と画像解析手法の高度化
担当:地球環境部
研究計画:農林水産研究計算センターにある地球観測衛星データベースを利用して東及び東南アジアの植生モニタリング手法を検討し、環境資源の把握を試みる。
 
(2)リモートセンシングによる植被動態の広域的検出・評価手法の開発
担当:地球環境部
研究計画:可視・近赤外領域を主とする反射スペクトル計測とモデリングにより、植生の量及び構造情報を評価するための計測・評価手法の開発に取り組む。
 
(3)環境資源・環境負荷データの分類手法及び多変量解析手法の開発
担当:地球環境部
研究計画:多変量データ解析の基礎となる多次元正規分布に関して、効率的な確率計算法の理論的検討を行う。また、形質状態の変化を定量的に評価する手法を検討し、生物資源の系統分類における祖先形質の状態復元への応用を試みる。
 
3)農業環境資源情報の集積
 
(1)農業環境資源の分類・同定及び機能の解明に基づくインベントリーフレームの構築
(1)機能に基づく土壌の分類及びインベントリーのためのフレームの構築
担当:農業環境インベントリーセンター
研究計画:野外や実験室からのネットワークによる土壌情報の閲覧を可能にするため、既存の土壌情報をデータベース化するとともに、新しい情報を入力するシステムの開発に取り組む。
 
(2)所蔵タイプ標本等のデータベース化及びインベントリーのためのフレームの構築
担当:農業環境インベントリーセンター
研究計画:タイプ標本データベースのフレーム作成のため、コウチュウ目を対象として画像化に適した有用形質情報及び情報取得手法を比較検討する。チョウ目については幼虫識別のための分類形質を抽出する。
 
(3)主要イネ科植物に常在する微生物相の分類、同定及び機能解析並びにインベントリーのためのフレームの構築
担当:農業環境インベントリーセンター
研究計画:イネ等から経時的に分離した微生物(糸状菌、細菌)を分類するため、形態や性状の調査及び遺伝子の解析を行う。
 
(2)昆虫・微生物の収集・特性評価とジーンバンク登録
 独立行政法人農業生物資源研究所が実施するジーンバンク事業に参画し、サブバンクとしてセンターバンク(独立行政法人農業生物資源研究所)と連携しつつ当該生物の収集・評価及び保存を行う。また、適当と認められた遺伝資源については、随時、センターバンクに移管する。
担当:生物環境安全部、農業環境インベントリーセンター
研究計画:天敵等有用昆虫を収集し特性評価を行って、ジーンバンクに登録する。栽培及び野生植物体上の常在菌及び病原微生物を分離・同定し、ジーンバンクに登録する。
 
4)公立試験研究機関等との研究協力
 指定試験事業及び国の助成により公立機関等が実施する研究への支援等の協力を行う。
 
2 専門研究分野を活かした社会貢献
 
(1)分析、鑑定
 行政、各種団体、大学等の依頼に応じ、高度な専門的知識が必要とされ、他の機関では実施が困難な分析、鑑定を実施する。
 
(2)講習、研修等の開催
(1)講演会・シンポジウム等の開催計画
 農業環境シンポジウムをはじめ、気象環境研究会、土・水研究会、有機化学物質研究会、植生管理研究会等のシンポジウム、研究会を開催する。
 
(2)研修生の受け入れ
 他の独立行政法人、大学、国公立機関、民間等の研修生を積極的に受け入れ、人材育成、技術水準の向上、技術情報の移転を図る。また、海外からの研修生を積極的に受け入れる。
 
(3)外部に対する技術相談
 企画調整部研究企画科を技術相談窓口として外部からの技術相談に対応する。また、統計解析指導、昆虫同定等を実施する。
 
(3)行政、国際機関、学会等への協力
 わが国を代表する農業環境研究に関わる研究機関として、行政機関の専門・評価委員会、国際機関の委員会・会議、国際協力事業団、学会等へ職員を派遣するとともに、政府の行う科学技術に関する国際協力・交流に協力する。
 
3 成果の公表、普及の促進
 
(1)成果の利活用の促進
(1) 研究成果の中で生産現場等に利活用できる(普及に移しうる)成果を評価のうえ選定し、普及を図る。また、農業環境研究成果情報を発行する。
 
(2) 行政、生産者等が利用可能な各種のマニュアル、データベース等の枠組みを作成する。
 
(2)成果の公表と広報
(1) 研究成果は国内外の学会、シンポジウム等で180件以上発表をするとともに、150報以上の論文を学術雑誌、機関誌等に公表する。
 
(2) 農業環境技術研究所報告、農業環境技術研究所資料、農業環境技術研究所叢書を発行し研究成果の公表を行うとともに、農業環境技術研究所年報、英文年報及び農業環境技術研究所ニュースを発行し研究活動の積極的な広報を行う。
 
(3) 研究成果については、その内容をインターネットや「つくばリサーチギャラリー」、「土壌モノリス館」、「昆虫展示室」の展示等を通じて公開に努めるとともに、主要な成果に関しては、適宜マスコミに情報を提供する。
 
(3)知的所有権等の取得と利活用の促進
(1) 知的所有権の取得に努める。また、海外で利用される可能性、我が国の農林水産業等への影響を配慮して、特許等の外国出願を行う。
 
(2) 補償金の充実等により、知的所有権取得のインセンティブを与える。
 
(3) 取得した知的所有権に係る情報提供はインターネットを通じて行うとともに、研究成果移転促進事業等を活用し、知的所有権の利活用を促進する。
 
V 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画
 
1 予算
平成13年度予算
(単位:百万円)
区    分 金  額

収入
  運営費交付金
  施設整備費補助金
  受託収入
  諸収入
   版権及特許権等収入
   その他の収入

  計
 


3,571
35
924




4,532
 

支出
  業務経費
  施設整備費
  受託経費
   試験研究費
   管理諸費
  一般管理費
   研究管理費
   管理諸費
  人件費

  計
 


458
35
924
824
100
942
107
835
2,173

4,532
 
 
2 収支計画

 
平成13年度収支計画
(単位:百万円)
区    分 金  額

費用の部
 経常費用
  人件費
  業務経費
  受託経費
  一般管理費
  減価償却費
 財務費用
 臨時損失

収益の部
 運営費交付金収益
 諸収入
 受託収入
 資産見返運営費交付金戻入
 資産見返物品受贈額戻入
 臨時利益

純利益
目的積立金取崩額
総利益
 

4,509
4,509
2,173
359
875
942
160



4,509
3,472

875
14
146





 
 
3 資金計画

 
平成13年度資金計画
(単位:百万円)
区    分 金  額

資金支出
 業務活動による支出
 投資活動による支出
 財務活動による支出
 次期中期目標の期間への繰越金

資金収入
 業務活動による収入
  運営費交付金による収入
  受託収入
  その他の収入
 投資活動による収入
  施設整備費補助金による収入
  その他の収入
 財務活動による収入
 

4,532
4,349
183



4,532
4,497
3,571
924

35
35


 
 
 
W その他農林水産省令で定める業務運営に関する事項
 
1 施設及び設備に関する計画
 実験棟排水処理施設改修を行う。
 
2 人事に関する計画(人員及び人件費の効率化に関する目標を含む。)
 
1)人員計画
(1)方針
 管理業務の効率化に伴う適切な職員の配置に努める。また、重点研究領域への職員の重点配置等を行うことにより、研究業務の効率的、効果的な推進を行う。
 
(2)人員に係る指標
 常勤職員数については、独立行政法人移行時は198名とし、年度末は197名とする。
 
2)人材の確保
(1) 職員の新規採用については、国家公務員採用試験の活用及び選考採用により行う。研究職員については任期付任用も視野に入れる。また、中期目標達成に必要な人材を確保するため、ポストドクター等の派遣制度を活用する。環境省地球環境総合推進研究費によるポストドクターを2名受け入れるとともに、科学技術振興事業団重点研究支援事業の支援者を14名受け入れる。
 
(2) 広く人材を求めるため、研究を行う職については公募制の導入を図る。
 

 

 
 元のメニューへ

 ホームページへ