独立行政法人農業環境技術研究所中期計画

独立行政法人農業環境技術研究所(以下「研究所」という。)は、農業をめぐる環境問題が世界的に重要になり、食や環境の安全性に関する国民の関心が高まる中で、農業環境に関する基礎的な研究を担う独立行政法人として、農林水産省農業環境技術研究所を母体に、平成13年4月に設立された。

研究所は、第1期中期目標に基づき、「農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保」、「地球的規模での環境変化と農業生態系の相互作用の解明」、「生態学・環境科学を支える基盤技術」に関する研究を重点的に推進し、行政や国民のニーズに応えてきた。特に、ダイオキシンや放射性物質、カドミウム等化学物質による農産物汚染、遺伝子組換え作物や外来生物の農業環境影響や地球規模の環境変動と農業環境との関係等に関する問題の解決に貢献してきた。また、独立行政法人制度を活かして、グループ制、チーム制及び併任制の導入による柔軟な組織設計や運営費交付金を財源とした国際会議の開催、ポストドクター雇用等、中期計画を達成するために自主的な運営を図り、業務運営の効率化にも努めてきた。

今日、農産物や環境のリスクに関する社会の関心はますます高まり、農業環境の保全及び改善や次世代への継承が大きな課題となっている。このため、第2期中期目標期間においては、農業生産を支える環境の安全性を確保するため、農業環境のリスクの評価及び管理に関する研究開発を重点的に推進し、リスク低減のための技術開発を加速するとともに、これらのリスク研究の基礎的・基盤的研究として、農業生態系の構造と機能の解明に関する研究、農業環境資源の長期モニタリング及び農業環境インベントリーの構築と利用のための研究を充実・強化する。これにより得られた成果については、速やかに公立等試験研究機関、大学、民間、生産者及び消費者に提供するとともに、行政や国際機関における農業環境に関わる政策が合理的かつ効果的なものとなるために貢献する。

また、柔軟な人事管理・業務運営を推進する制度を構築し、研究の活性化とともに業務の高度化・効率化をより一層推進し、質の高い成果の創出とその社会への還元を推進する。こうして、豊かな環境の形成と次世代への継承、農産物の安全・信頼の確保等に貢献し、国民の期待に応えていく。

さらに、業務執行に当たっては、役職員が社会的責任を自覚し、高い倫理観と社会的良識を持って行動することによって、世界の持続的発展に貢献出来るよう理念の共有を図る。

第1 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置

運営費交付金を充当して行う事業については、業務の見直し及び効率化を進め、一般管理費については、中期目標期間中、毎年度平均で少なくとも前年度比3%の削減を行うほか、業務経費については、中期目標期間中、毎年度平均で少なくとも前年度比1%の削減を行う。

また、人件費については、行政改革の重要方針(平成17年12月24日閣議決定)を踏まえ、今後5年間において、5%以上の削減(退職金及び福利厚生費(法定福利費及び法定外福利費)を除く。また、人事院勧告を踏まえた給与改定部分を除く。)を行うとともに、国家公務員の給与構造改革を踏まえて、役職員の給与について必要な見直しを進める。

1.評価・点検の実施と反映

(1) 業務の質の向上と、より一層の効率的な運営を図るため、毎年度、業務の運営状況、研究内容について、自ら評価・点検を行う。その実施に当たっては、外部専門家・有識者の活用等により客観性、信頼性を確保するとともに、効率的な評価・点検体制の整備に努める。

(2) 研究内容の評価・点検については、生産者、消費者、地域住民及び行政部局等への社会貢献を図る観点から、できるだけ具体的な指標を設定して取り組む。また、研究資源の投入と得られた成果の分析を行う。さらに、主要な研究成果については、研究終了から一定期間経過後の普及・利用状況の把握を行う。

(3) 評価・点検結果は、独立行政法人評価委員会の評価結果と併せて、基本的考え方や具体的方法を明確化して、的確に業務運営に反映させる。

(4) 研究職員については、業績評価を行い、評価結果を研究資源配分及び処遇に反映する。また、一般職員等については、組織の活性化と実績の向上を図る等の観点から、新たな評価制度を導入する。

2.研究資源の効率的利用及び充実・高度化

(1)研究資金

(1) 運営費交付金については、評価結果等に基づき重点的な配分を行い、効率的・効果的な研究の推進を図る。

(2) 農政上及び科学技術政策上の重要課題として国から受託するプロジェクト研究等について重点的に実施する。

(3) 中期目標の達成に有効な競争的資金について積極的に応募し、当該資金の獲得に努める等により研究資金の充実を図る。

(2)研究施設・設備

施設・設備の効率的な維持管理及び有効活用を図るため、共同利用を促進し、環境化学物質分析施設等に関する情報のインターネットによる公開及び配分スペースの見直しや集約化の推進等に努める。

上記を踏まえ、老朽化の現状や研究の重点化方向を考慮の上、計画的な整備に努める。

(3)組織

中期計画における研究課題の着実な達成のため、「研究領域」や「研究センター」等の研究基本組織を配置するとともに、小課題の進行管理を推進するための研究体制を構築する。また、成果に対する評価結果及び社会・科学技術動向を踏まえ、社会ニーズや政策的要請等に適切に対応するため、機動的かつ柔軟な組織の見直しを行う。さらに、研究所の活動を効率的に運営するための管理体制を整備する。

(4)職員の資質向上と人材育成

(1) 人材育成プログラムを策定して計画的な人材育成を図る。

(2) 研究職員に対し競争的・協調的環境を醸成し、インセンティブを効果的に付与する。また、他の独立行政法人を含む研究機関等の円滑な人材交流を行うとともに、多様な雇用制度を活用し研究職員のキャリアパスを開拓する。

(3) 若手研究職員の育成プログラムを策定し、計画的な人材育成を図るとともに、博士号の取得を奨励し、適切な指導を行う。また、各種制度を積極的に活用して研究職員の在外研究を計画的に実施する。

(4) 各種研修制度等を活用し、研究所のミッション遂行に必要な研究マネジメントに優れ、かつ高度な専門的知識を有する研究管理者を育成する。

(5) 一般職員及び技術専門職員が高度な専門技術・知識を要する業務を行うために必要な資格や能力を獲得するための研修等を実施する。

3.研究支援部門の効率化及び充実・高度化

(1) 総務部門については、業務内容等の見直しを行い、効率的な実施体制を確保するとともに、事務処理の迅速化、簡素化、文書資料の電子媒体化等により管理事務業務の効率化を図る。

(2) 技術専門職の業務については、調査及び研究業務の高度化に対応した高度な専門技術・知識を要する分野に重点化するとともに業務の効率化、充実・強化を図る。

(3) 施設・設備、機械等の保守管理については、業務の性格に応じて計画的な外部委託に努める。

(4) 研究支援部門全体を見直し、極力アウトソーシングを推進する等により、研究支援部門の要員の合理化に努める。

(5) 農林水産省研究ネットワーク等を活用して、研究情報の収集・提供業務の効率化、充実・強化を図るとともに、情報システムの運用により研究所全体の情報共有の促進及び業務の効率化を図る。

4.産学官連携、協力の促進・強化

(1) 国公立機関、大学、民間等との共同研究を進めるとともに、研究者の交流を円滑に行うためのシステムの構築を図る。

(2) 毎年定期的に、関係独立行政法人、行政部局、都道府県等の参加を求めて、研究推進のための会議を開催し、相互の連携・協力の推進を図る。

(3) 包括的協力協定の締結等により、大学等との連携を強化する。

(4) 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構が行う多様な専門知識を融合した総合的な研究に必要に応じて協力する。また、独立行政法人国際農林水産業研究センターが実施する国際共同研究に必要に応じて協力する。

5.海外機関及び国際機関等との連携の促進・強化

(1) アジア地域における農業環境研究に関するイニシアチブを確保するため、複数の国・機関が参加する国際研究コンソーシアムの構築を図る。

(2) 研究資源を有効活用して世界の研究機関・研究者との連携を強化し、共同研究や研究協力等の取組を推進する。

(3) 国際的に活躍する人材を養成するとともに、諸外国の研究機関から研究者を招へいする等、国際的な人的交流を進める。

第2 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

1.試験及び研究並びに調査

A 農業環境のリスクの評価及び管理技術の開発

1)農業生態系における有害化学物質のリスク管理技術の開発

(1)農業環境中における有害化学物質のリスク評価手法及びリスク管理技術の開発

農業環境におけるカドミウム、ヒ素、放射性物質、ドリン系を含む残留性有機汚染物質(POPs)等の化学物質による汚染リスクを低減するため、それらの動態を解明するとともに、リスク低減技術を開発する。農薬等の有機化学物質については、環境中挙動予測モデルを開発するとともに、水生節足動物等への暴露試験等により、環境リスク評価手法を開発する。また、有害化学物質で汚染された土壌を化学洗浄、バイオレメディエーション等の手法で修復する技術や、これらの物質に対する低吸収性品種の利用技術等を開発する。

2)農業生態系における外来生物及び遺伝子組換え生物のリスク管理技術の開発

(1)外来生物及び遺伝子組換え生物の生態系影響評価とリスク管理技術の開発

外来生物(侵入・導入生物)による農業生態系のかく乱と被害を防止するため、外来生物の生育・繁殖特性、他感作用等を明らかにするとともに、外来生物による被害の実態把握並びにその定着・拡散及び被害予測を行う。また、外来生物の原産地域の特定及び侵入確率の推定を行う。さらに、外来天敵昆虫等の外来生物の近縁在来種に及ぼす影響を競争・交雑性等の面から解析し、外来生物が農業生態系に及ぼすリスクを評価するとともに、種同定が困難な外来生物を分子マーカー等により早期検出・監視するための技術を開発する。遺伝子組換え生物が生態系に与える影響を適正に評価するため、DNAマーカー等により組換えダイズとツルマメ等、組換え作物と近縁種との交雑を検出する技術を開発し、交雑による生態系影響を解明する。また、組換え作物と非組換え作物との共存に向けて、交雑率予測モデルや隔離距離の確保等の耕種法による交雑抑制技術を開発する。

B 自然循環機能の発揮に向けた農業生態系の構造・機能の解明と管理技術の開発

1)農業生態系の構造・機能の解明と評価

(1)農業生態系を構成する生物群集の動態と生物多様性の解明

農業が育む生物相とその多様性を保全するため、農地とその周辺域に生息する植物、鳥類、昆虫類、線虫類、微生物等の動態を調査し、農地における耕起や化学資材の使用及び転作・休耕、周辺植生やため池の管理方法の変化並びに水田とその周辺域の景観構造の変動がそれらの種構成や多様性に及ぼす影響を解明する。また、得られた成果から、土地利用等の農業活動の変化に伴う指標昆虫等の生物個体群の動態予測モデルを構築することにより、個体群の安定化要因を解明する。

(2)農業生態系機能の発現に関与する情報化学物質の解明

農業生態系機能の維持・向上に資するため、バラ科植物等が産生する生理活性物質、ノメイガ類等昆虫の増殖に関わる情報化学物質等の生物間の相互作用に関与している物質や、Burkholderia属等の細菌グループにおける難分解性芳香族塩素化合物等の分解遺伝子の発現を制御している物質等を明らかにし、その機能を解明する。

2)農業生態系の変動メカニズムの解明と対策技術の開発

(1)地球環境変動が農業生態系に及ぼす影響予測と生産に対するリスク評価

温暖化や異常気象に対する稲収量の変動をほ場スケールで評価するため、水、土壌、稲品種及び栽培管理条件を含む包括的な水田生態系応答モデルを開発する。また、地域スケールの簡易収量モデルを開発して、収量と水資源からみた今世紀半ば頃の日本及びアジアを中心とした稲収量の変動を予測し、稲収量の低下のリスクを地域スケールで広域に評価する手法を開発する。さらに、それら結果を基に気候変動が食料生産に及ぼす影響予測シナリオを構築する。

(2)農業活動等が物質循環に及ぼす影響の解明

農業活動由来の温室効果ガス、窒素等に関する地域・地球規模での環境問題の解決に貢献するため、農業活動が物質循環に及ぼす影響を解明し、負荷軽減策を確立する。温室効果ガスについては、栽培・土壌管理技術による温室効果ガス発生抑制効果を定量的に評価することによって、効率的な負荷軽減技術体系を提示する。同時に、土壌関連データベースを活用し、土壌炭素の動態を記述するモデルを検証・改良して、日本の農耕地土壌における気候変化、人為的管理変化に伴う土壌炭素蓄積量の変化を予測する。また、食料生産・輸出入等に伴う窒素のフロー・ストックを、酸性化物質動態モデルや統計データ等に基づいて推定し、東アジアの流域又は国のスケールで窒素の広域循環及び環境への負荷を解明し、将来予測を行う。流域レベルでは、浅層地下水を含む土壌圏における硝酸性窒素・リン等の栄養塩類の流出動態を解明し、水質汚染に対する脆弱性を評価するための手法を開発する。

C 農業生態系の機能の解明を支える基盤的研究

1)農業に関わる環境の長期モニタリング

(1)農業環境の長期モニタリングと簡易・高精度測定手法の開発

農業環境資源の変動を早期に検知するため、農業生態系におけるベースラインとなる物理環境や二酸化炭素・メタン等温室効果ガスフラックス及び作物・土壌中の137Cs、210Pb等についての長期モニタリングを行う。また、作物を含む環境中の有機ヒ素等微量化学物質の分析法及びモニタリングのための簡易・高精度測定手法の開発を行う。

2)環境資源の収集・保存・情報化と活用

(1)農業環境資源インベントリーの構築と活用手法の開発

農業環境を総合的に評価するため、マイクロ波計測や高時間分解能衛星センサMODIS等のリモートセンシングデータの解析技術を開発するとともに、地理情報システム(GIS)等を活用して農業的土地利用状況の新たな把握手法や生物生息域に関する指標を開発する。また、GISを共通のプラットフォームに個別データベースを連携する手法や新たな情報の登録・収集システムを開発し、農業環境指標の策定に資する。また、環境資源の個別データベースを拡充するとともに、深層土壌の機能評価を含む土壌分類試案を公開し、耕地・非耕地の包括的土壌データベースを構築する。さらに、インベントリーデータ等を効率的に活用するため、基盤的な統計手法及びその結果の視覚化手法等を開発する。独立行政法人農業生物資源研究所が行うジーンバンク事業について、サブバンクとして協力を行う。

2.研究成果の公表、普及の促進

(1)国民との双方向コミュニケーションの確保

(1) 研究所及び研究者が自らの説明責任を明確にし、研究計画、研究所の活動、研究成果が専門家のみならず広く国民にも理解されるよう研究所の広報戦略を策定し、広報活動の見直し・強化を図る。

(2) 農業環境のリスク評価・管理等については、一般公開・説明会や成果発表会の開催及びインターネットの利用による双方向コミュニケーションを活用した国民との情報の共有化を図る。

(2)成果の利活用の促進

(1) 研究成果の中で普及に移しうる成果(成果情報の分類の行政、技術)を外部の評価により、中期目標の期間内に30件以上を選定する。

(2) 普及に移しうる成果については追跡調査を行い、効果的な研究推進を図る。

(3) 過去の研究成果を含めて、得られた研究成果情報については、研究所のホームページ上で公開し、外部からの検索による利便性の向上を図るとともに、モニタリングや分析手法等についてはマニュアルを作成する。また、各種データベースを始めとしたインベントリー情報の利便性を高め、効果的な提供に努める。

(4) 他法人や民間等の高い応用開発能力を活用した共同研究等により、研究成果の利活用を図る。

(3)成果の公表と広報

(1) 研究開発の成果を科学的、技術的知見として広く社会に周知公表し、学界等に大きな波及効果を及ぼすことを目的として成果を発信する。論文については、水準の向上を図りつつ、中期目標の期間内に810報以上の査読論文を公表する。中期目標期間中に全発表論文のインパクトファクター(IF)総合計値500を目指す。

(2) 研究開発の成果を積極的に普及するため、報告書のホームページへの掲載等に加え、各種のシンポジウム、講演会、イベントを開催するとともに、外部機関が催すこれらの行事に参加する。

(3) 記者発表による最新情報の発信をはじめとするマスメディアを通じた広報、広報誌等の印刷物、インターネット、インベントリー展示館やその他の具体的な展示等の様々な広報手段を活用し、効率的かつ効果的な広報活動を推進する。中期目標期間中に30件以上のプレスリリースを行う。

(4) 国際シンポジウムの開催及び国際的なメディアを通じた情報提供等、国内外に対する研究所の情報発信機能の強化を図る。

(4)知的財産権等の取得と利活用の促進

(1) 知的財産に係る戦略及び体制を強化し、実用的で社会への波及効果の大きい知的財産の創出に努めるとともに、その管理を適正に行い、農林水産大臣が認定した技術移転機関(TLO)の活用等により、有効かつ迅速に社会に移転させるための取組みを推進する。

(2) 知的財産権の確保により研究成果の円滑な移転を推進するため、実施許諾等の活用の可能性を十分考慮に入れた上で、中期目標の期間内に25件以上の国内特許を出願し、権利化に努める。また、特許等の知的財産の実用性・有用性を重視し、実施許諾の拡大に努める。

3.専門分野を活かしたその他の社会貢献

(1)分析、鑑定

行政、各種団体、大学等の依頼に応じ、研究所が有する高度な専門的知識が必要とされ他の機関では実施が困難な化学物質の分析、昆虫や微生物等の鑑定を実施するとともに、農業環境に係る様々な技術相談に対応する。

(2)講習、研修等の開催

(1) 農業環境に関する講習会や講演会等を開催するとともに、国及び団体等が主催する講習会や研修会等に積極的に協力する。中期目標期間内に10件以上の講習会を開催し、200人以上の受講者を目標とする。

(2) 研究所の研究成果の普及による農業環境技術の向上に貢献するため、技術講習等の制度により、国内外の機関からの研修生を積極的に受け入れる。

(3)行政との連携

我が国を代表する農業環境に関する基礎的・基盤的研究を担う機関として、リスク評価・管理等に関する調査・研究の成果を基に、農林水産省等における環境関連政策の立案・実施に対して積極的に貢献する。このため、食品安全基本法(平成15年法律第48号)に基づく農業環境汚染等への緊急対応を含めて、随時、行政等への技術情報の提供を行うとともに、行政が主催する委員会等へ専門家の派遣を行う。また、行政等への技術情報の提供のための情報交換会を開催する。行政等からの要請による委員会(国の要請、公共団体等の受託による。)への参加件数(委員会数)について中期目標期間内に500件以上を目指す。

(4)国際機関、学会等への協力

我が国を代表する農業環境研究に係わる研究機関として、国際機関や内外の学会の役員や委員に専門家を派遣して、その運営に協力するとともに、情報の発信と収集を図る。特に、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IGBP(地球圏・生物圏国際協同研究計画)等が開催する国際会議に積極的に職員を派遣する。

第3 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

1.予算

平成18年度〜平成22年度予算

(単位:百万円)

区分 金額
収入
  • 運営費交付金
  • 施設整備費補助金
  • 受託収入
  • 諸収入
  •  
 
  • 15,806
  • 388
  • 4,657
  • 14
  •  
  • 20,865
支出
  • 業務経費
  • 施設整備費
  • 受託経費
  • 一般管理費
  • 人件費
  •  
 
  • 4,344
  • 388
  • 4,657
  • 1,841
  • 9,635
  •  
  • 20,865

[人件費の見積り]

期間中総額 7,910 百万円を支出する。

ただし、上記の額は、役員報酬並びに職員基本給、職員諸手当、超過勤務手当、休職者給与及び国際機関派遣職員給与に相当する範囲の費用であり、今後の人事院勧告を踏まえた給与改定分は含んでいない。

[運営費交付金算定のルール]

1.平成18年度は、次の算定ルールを用いる。

運営費交付金 ={(前年度一般管理費−A)×α×δ}

+{(前年度業務経費−B)×β×δ}

+人件費 ± ε − 諸収入

人件費={前年度人件費(退職手当除く)}×0.99以下

+退職手当+労働保険料

A+B=勧告の方向性を踏まえて効率化する額

諸収入=運営費交付金を財源として実施する事務・事業から生じるであろう自己収入の見積額

α: 一般管理費の効率化係数(0.97)

β: 業務経費の効率化係数(0.99)

δ: 消費者物価指数(平成16年度全国平均)(0.999)

ε: 平成18年度の業務の状況等に応じて増減する経費

2.平成19年度以降については、次の算定ルールを用いる。

運営費交付金(y)={A(y−1)×α×δ}+{B(y−1)×β×δ}

+{人件費(退職手当、福利厚生費を除く。)×γ

+退職手当+福利厚生費}± ε − 諸収入

A(y−1): 直前の年度における一般管理費相当分

B(y−1): 直前の年度における業務経費相当分

α: 一般管理費の効率化係数

β: 業務経費の効率化係数

γ: 人件費抑制係数

δ: 消費者物価指数

ε: 各年度の業務の状況に応じて増減する経費

諸収入: 運営費交付金を財源として実施する事務・事業から生じるであろう自己収入の見積額

人件費=基本給等+休職者給与・国際機関派遣職員給与

基本給等=前年度の(基本給+諸手当+超過勤務手当)

×(1+給与改定率)

諸収入=直前の年度における諸収入×ω

ω: 収入政策係数(過去の実績を勘案し、各事業年度の予算編成過程において、当該事業年度における具体的な係数値を決定。)

(注) 消費者物価指数及び給与改定率については、運営状況等を勘案した伸び率とする。ただし、運営状況等によっては、措置を行わないことも排除されない。

[注記]前提条件

1.期間中の効率化係数を一般管理費については年97%、業務経費については年99%と推定。なお、人件費抑制係数については、年99%と推定。

2.給与改定率及び消費者物価指数についての伸び率をともに0%と推定。

3.収入政策係数についての伸び率を1.8%と推定。

4.勧告の方向性を踏まえて効率化する額は、26,491千円とする。

2.収支計画

平成18年度〜平成22年度収支計画

(単位:百万円)

区分 金額
費用の部
  • 経常費用
    • 人件費
    • 業務経費
    • 受託経費
    • 一般管理費
    • 減価償却費
  • 財務費用
  • 臨時損失
20,420
  • 20,419
    • 9,635
    • 3,739
    • 4,295
    • 1,841
    • 909
収益の部
  • 運営費交付金収益
  • 諸収入
  • 受託収入
  • 資産見返負債戻入
  • 臨時利益
  •  
純利益
目的積立金取崩額
総利益
20,483
  • 15,202
  • 14
  • 4,657
  • 610
  •  
63

63

[注記]

1.収支計画は、予算ベースで作成した。

2.当法人における退職手当については、役員退職手当支給規程及び職員退職手当支給規程に基づいて支給することとなるが、その全額について運営費交付金を財源とするものと想定している。

3.「受託収入」は、農林水産省及び他府省の委託プロジェクト費等を計上した。

3.資金計画

平成18年度〜平成22年度資金計画

(単位:百万円)

区分 金額
資金支出
  • 業務活動による支出
  • 投資活動による支出
  • 財務活動による支出
  • 次期中期目標の期間への繰越金
20,865
  • 19,478
  • 1,355
  • 32
資金収入
  • 業務活動による収入
    • 運営費交付金による収入
    • 受託収入
    • その他の収入
  • 投資活動による収入
    • 施設整備費補助金による収入
    • その他の収入
  • 財務諸活動による収入
    • その他の収入
20,865
  • 20,477
    • 15,806
    • 4,657
    • 14
  • 388
    • 388

[注記]

1.資金計画は、予算ベースで作成した。

2.「受託収入」は、農林水産省及び他府省の委託プロジェクト費等を計上した。

3.「業務活動による収入」の「その他の収入」は、諸収入額を記載した。

第4 短期借入金の限度額

中期目標の期間中の各年度の短期借入金は、4億円を限度とする。

想定される理由:運営費交付金の受入れの遅延

第5 重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画

なし

第6 剰余金の使途

研究成果の普及に係る発表会等の追加実施や研究業務の充実・加速に必要な研究機器等の更新・購入等に使用する。

第7 その他農林水産省令で定める業務運営に関する事項等

1.施設及び設備に関する計画

業務の適切かつ効率的な実施の確保のため、業務実施上の必要性及び既存の施設、設備の老朽化等に伴う施設及び設備の整備改修等を計画的に行う。

平成18年度〜平成22年度施設、設備に関する計画

(単位:百万円)

施設・設備の内容 予定額 財源
研究施設の整備   施設整備費補助金
研究援助施設の整備    
期間維持運営施設の整備    
その他業務実施上必要な施設・設備の整備等  
合計 388 ± χ  

(注) χ: 各年度増減する施設、設備の整備等に要する経費

2.人事に関する計画

(1)人員計画

(1)方針

効率的・効果的な業務の推進が図られるように研究管理支援部門の組織体制を見直し、適切な職員の配置を行う。また、研究分野の重点化や研究課題を着実に推進するための組織体制を整備し、職員を重点的に配置する。

(2)人員に係る指標

期末の常勤職員数は、期初職員相当数を上回らないものとする。

(参考:期初の常勤職員相当数193名、期末の常勤職員数の見込み183名)

(2)人材の確保

(1) 研究所の研究推進に必要な優秀な人材を集めるため、研究職員の採用は広く公募によることとし、任期制を積極的に活用するとともに、採用方法の多様化を図る。

(2) 女性研究者の採用に関しては、応募者に占める女性割合と、採用者に占める女性割合とでかい離が生じないよう努める。

(3) 広く人材を求めるため、研究担当幹部職について公募方式の適切な活用を進める。

(4) 次世代育成支援行動計画に基づき、仕事と子育てを両立しやすい雇用環境の整備に努める。

3.情報の公開と保護

(1) 研究所の諸活動の社会への説明責任を的確に果たすため、保有する情報提供業務の充実を図るとともに、適正かつ迅速な開示請求への対応を行う。

(2) 個人の権利、利益を保護するため、研究所における個人情報の適正な取扱いをより一層推進する。

4.環境対策・安全管理の推進

(1) 環境負荷の削減の観点から施設整備や維持管理に取り組むとともに、資源・エネルギー利用の節約、廃棄物の減量化とリユース及びリサイクルの徹底、化学物質の管理の強化等を推進し、これらの措置状況について環境報告書として公表する。

(2) 職員への教育の徹底等により、放射性同位元素、遺伝子組換え生物等の法令に基づく適正な管理を行う。

(3) 事故及び災害を未然に防止するため、関係委員会による点検、管理及び施設整備等に取り組むとともに、教育・訓練を実施する。