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情報:農業と環境 No.81 (2007.1)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境技術研究所リサーチプロジェクト(RP)の紹介(14) 環境資源分類・情報RP

農業環境技術研究所は、中期目標期間 (平成18−22年度) における研究・技術開発を効率的に推進するため、15のリサーチプロジェクト(RP)を設けています (詳細は、情報:農業と環境 No.77農業環境技術研究所リサーチプロジェクト(RP)の紹介(1) を参照してください)。

ここでは、環境資源分類・情報リサーチプロジェクトについて、プロジェクトリーダーが紹介します。

環境資源分類・情報リサーチプロジェクト

農業環境技術研究所は、研究を効率的に行うため、農業環境資源の試料・資料のインベントリーの構築を進めてきました。これは、土壌、微生物、昆虫といった資源の試料・標本、記載・分析データなどの情報をデータベース化し、必要に応じて取り出せるようにするものです。これまで土壌、微生物、昆虫についてのインベントリーと、GISを共通のプラットフォームとしてそれらを総合する農業環境資源インベントリーの基本構造(フレーム)を作りました。

環境資源分類・情報リサーチプロジェクトでは、これらのインベントリーを活用するためのシステムを作成するとともに、個別資源インベントリーの “内容” の拡充を行います。

1) 総合的利用システムの開発

個別のインベントリーを連携する手法やインターネットによる新たな情報の登録・収集システムを開発します。また、資源試料やデータの更新・追加、新たな情報の付加などによりインベントリーの内容を拡充するとともに、さまざまな場面に対応できる利用法の開発を行います。

包括的な農業環境インベントリーシステムのイメージ

2) 包括的土壌分類試案の作成

わが国では、土壌の分類は農耕地と林野で異なった体系となっています。これでは農業環境指標やリスク評価指標の開発といった土地利用横断的な研究には不都合であるため、土地利用に関わらず深層までを含めて統一的に分類することが求められています。そこで、深層土壌を含む土壌の分類体系の作成を進め、包括的土壌分類試案を提案します。そのため、これまでの土壌調査結果に加えて、深層土壌を含む土壌調査を行います。

包括的土壌分類試案の作成

3) 微生物インベントリー

微生物については、これまで 微生物インベントリー(microForce) を構築し、各種の微生物に関する情報を発信するとともに、植物生息細菌に関する各種情報を蓄積してきました。これらの最新情報を有効利用するためには、専門家によるデータの更新・追加、および機能など新たな情報の充実が必須であると同時に、時代に合ったシステムの管理、充実も必要です。そこで、引き続きデータベースへの新しい情報の追加・充実を行います。

微生物インベントリーフレーム

4) 昆虫インベントリー

昆虫の地域ごとの生息種はその地域の環境条件と密接に関係しています。長年にわたって蓄積されてきた昆虫に関する多くの知見は、分散的に保管されており、必ずしも簡単に利用できる状態ではありません。これらの貴重な情報を一括的に閲覧・利用できるようシステム化し、さまざまな情報と組み合わせることで、農業環境指標やリスク評価指標の開発に活用できるようにします。

昆虫インベントリーフレーム

環境資源分類・情報RPリーダー 中井 信
農業環境インベントリーセンター 上席研究員)

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