開催趣旨:
土壌は農業生産の基盤であると同時に、陸上の生態系における物質循環の場としても重要な役割を果たしています。土壌中の有機物は農耕地土壌の生産性を規定する重要な要因であるばかりでなく、腐植として土壌に蓄えられている膨大な炭素の動態が、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の濃度変化に影響を及ぼしています。
農業環境技術研究所では、これまでに農業環境研究叢書「農業生態系における炭素と窒素の循環」を刊行し、農業生態系における炭素動態モデル、大気観測に基づく炭素循環の解析、水田からのメタンの発生など、最新の研究成果の紹介に努めてきました。18年度からは、物質循環研究領域を創設し、農業活動が物質循環に及ぼす影響の解明と負荷軽減技術の開発に関する研究を進めています。
そこで、本研究会では、土壌圏における炭素循環に焦点をしぼって、ミクロからマクロに至る視点で土壌の役割を考えます。すなわち、京都議定書の発効など地球温暖化に関わる国際情勢との関連で地球・広域レベルにおける土壌炭素の動態について、また、ミクロなレベルで土壌固有の有機物である腐植について、さらに、圃場(ほじょう)レベルで栽培体系の変化にともなう土壌肥沃度の持続性について、最新の成果を紹介するとともに、物質循環の基盤としての土壌が果たす役割と意義を論議します。
開催日時: 平成19年2月21日(水) 10:00〜17:00
開催場所: 農林水産技術会議事務局 筑波事務所 つくば農林ホール
(つくば市観音台2−1−9)
プログラム:
10:00-10:10 あいさつ
農業環境技術研究所 理事長
10:10-10:30 開催趣旨について
農業環境技術研究所 菅原和夫
10:30-11:05 地球規模での炭素循環研究の最新動向: グローバルカーボン・プロジェクトと環境省プロジェクトの成果
国立環境研究所 地球環境研究センター 山形与志樹
11:05-11:25 農林水産生態系における炭素循環の解明: 農水省地球温暖化プロジェクトの紹介
農業環境技術研究所 八木一行
11:25-12:00 土壌炭素変動の広域的評価: Rothamsted C モデルの拡張
農業環境技術研究所 横沢正幸
12:00-13:00 昼食
13:00-13:35 土壌圏を中心とした森林生態系の炭素収支および土壌呼吸の長期モニタリング
農業環境技術研究所 岸本文紅
13:35-14:10 土壌中の溶存有機態炭素の動態と炭素蓄積との関わり
京都大学 生態学研究センター 和穎朗太
14:10-14:45 土壌中における腐植物質の蓄積機構
農業環境技術研究所 山口紀子
平舘俊太郎
14:45-15:00 休憩
15:00-15:35 畑地における農地管理法の違いと土壌炭素隔離
北海道農業研究センター 古賀伸久
15:35-16:10 田畑輪換の継続が土壌肥沃度に及ぼす影響
東北農業研究センター 加藤直人
16:10-16:40 総合討論
農業環境技術研究所 齋藤雅典
参加申し込み・問い合わせ先:
農業環境技術研究所 物質循環研究領域長 菅原和夫
305-8604 つくば市観音台3-1-3
電話・Fax: 029-838-8322、E-mail: sugahara@niaes.affrc.go.jp