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情報:農業と環境 No.81 (2007.1)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境技術研究所 「環境報告書2006」を公表

農業環境技術研究所は、昨年2006年12月に「環境報告書2006」を公表しました。この報告書は、本研究所では「環境報告書2005」に続く2回目の公表です。2005年度のデータを中心に、研究所における環境保全の取り組み、および農業環境の安全性と持続性を追求する研究活動を報告するものです。

今回の環境報告書2006では、「環境配慮の基本方針」として、農業環境技術研究所が新たに制定した環境憲章を掲載しています。また、「環境負荷低減への取り組み」について具体的な数値データを多数追加しました。生物多様性保全については、研究所敷地内の「ミニ農村」にある蜻蛉(とんぼ)池とトンボについて特集し、親しみやすい環境報告書となるよう工夫しています。

以下に、報告書冒頭の理事長の「ごあいさつ」と報告書の目次をご紹介します。

農業環境技術研究所 環境報告書2006 「ごあいさつ」

自然、社会、人間の調和と共存をめざして

独立行政法人農業環境技術研究所 理事長 佐藤洋平

人間活動が依拠する地球システムは、空間と時間の広大なスケールの中で太陽エネルギーによってもたらされる生物学的、地質学的、化学的循環の複合的相互作用を中核とする極めて頑強なシステムであり、自己修復的でした。しかし、豊かさへの欲望と人口の増大により、人間活動は許容量を超えて拡大し、地球システムの危機が叫ばれるようになりました。人間の利益のためにたくさんの動植物種を制御することを本質とする農業も、生態系に影響を及ぼし、地球システムの自己修復性を脅かすことについて、例外ではありません。

農業は、太陽光のもとで、二酸化炭素、酸素、水、養分を吸収し成長する植物の循環機能を活用し食料を生産する産業です。農業の本質である動植物種の制御とは、農業が自然の循環機能をどのように活用するかであり、それは地球システムの自己修復性を維持することと強く関係しています。植物の成長を促し豊かな実りを得るため大量に肥料を投入することが水質を汚染させ、生態系に負の影響を与えていることなどはその一例です。

農業環境技術研究所は、農業技術研究所を前身とし、昭和58年の再編によって新たに組織されて以来、私たち研究所が掲げる基本理念が述べているように、自然、社会、人間の調和と共存を目指す高い水準の研究を推進し、世界の食糧問題と環境問題の克服に貢献することを使命に、農業生産の対象となる生物の生育環境の保全及び改善に関する基礎的な調査及び研究を行なっています。具体的には、安全な農業環境を維持し保全するための監視機能の発揮、自然循環機能を活用した農業環境の保全、温暖化など農業生産に及ぼす影響の解明とその対策技術の開発、土・水・大気・生物の健全な姿での次世代への継承、などの研究を行っています。

さらに、私たちは、「環境」を冠する研究所として、私たち研究所が掲げる基本理念のもとに、環境憲章を定め、環境への意識向上、環境への配慮、活動の公開、社会との共生を内容とする行動指針を所内外に明示し、環境に配慮した行動をとることを常に心がけています。その一端は、温暖化防止対策委員会や施設委員会のもとに、契約電気量を低減するなどにより管理経費の大幅な節減を実現していること、当研究所の役職員一人一人が「私の環境保全に対する取り組み」を明示し、環境に配慮した行動を実践していること、などからお読み取りいただけるものと思います。

本報告書は、昨年度はじめて取りまとめた環境報告書につづく2年度目の報告書です。私たち研究所の研究成果は、農業環境に関わる科学の発展に大きく貢献をしているのみならず、日本の行政機関はもとより、経済協力開発機構(OECD)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)など国際機関から高い評価を得るなど、農業環境に関わる科学ならびに農業環境政策のための科学を担う研究所として、着実に成果を上げています。また、研究推進の一環として、つくば研究学園都市に所在する環境関係の研究機関との連携はもとより、国内外の農業環境関連の大学、研究機関等と協定覚書(MOU)を結び共同研究を行なうなど、密なる連携体制を構築しています。さらに、環境の保全と安全の確保、法規の遵守(コンプライアンス)、情報の公開に努め、国内外の農業環境研究を先導する研究所として、私たちは、絶えざる挑戦と革新に励んでいます。昨年度の環境報告書で報告したそうした活動について、本年度の報告書においても記載し、私たちの活動の進捗状況が把握できるように本報告書を取りまとめました。

この報告書を通して、農業環境技術研究所における環境保全の取り組みと、農業環境技術研究が究極の目標とする農業環境の安全性と持続性の追求に向けた私たちの研究活動をみなさんに理解いただくとともに、みなさんから建設的なご意見、ご提言などをいただくことができますれば誠に幸に存じます。また、みなさんのそうしたご意見とともに、本報告書が私たちに世阿弥が述べる「離見」を与えるものとなることによって、私たちは環境配慮への取り組みを一層向上させていきたいと思っています。

環境報告書2006 目次

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