リモートセンシングやGIS (地理情報システム) を利用した空間情報解析技術は、近年急速に発展し、実践的な利用への期待が高まっています。リモートセンシングでは、3つの分解能 (空間分解能 ・ 時間分解能 ・ 波長分解能) が大きく向上し、観測対象が拡大するとともに、国産衛星 「だいち」 の打ち上げなどにより価格面においても利用可能性が広がっています。 また、GIS技術についても、GPS (全地球測位システム)技術と連携して、すでに現場での利用が広まっています。そこで、農業・環境分野におけるリモートセンシングやGISの実践的利用をテーマに研究会を開催しました。
日時: 2008年5月30日(金曜日) 10:15 〜 17:00
会場: 農業環境技術研究所 大会議室 (茨城県つくば市観音台3-1-3)
主催: 独立行政法人 農業環境技術研究所
参加者: 143名 (企業・団体41名、新聞社1名、都道府県15名、大学10名、他独法19名、農水省8名、農業環境技術研究所49名)
プログラム
開会あいさつ
佐藤 洋平 (農業環境技術研究所)
基調講演 「農業生態系研究におけるGIS ・ リモートセンシング利用の概論」
秋山 侃 (岐阜大学大学院)
「高頻度観測衛星データを利用した作物フェノロジーの推定とその応用」
坂本 利弘 (農業環境技術研究所)
「衛星画像を利用した作物栽培面積推定と環境影響評価」
石塚 直樹 (農業環境技術研究所)
特別講演 「農業・農村分野におけるGISの取り組み」
舘 健一郎 (農林水産省農村振興局)
「GIS ・ GPS ・ 無線通信を利用した獣害監視システム」
ディビッド・スプレイグ (農業環境技術研究所)
「GISとコスト距離を利用した野生生物の移動評価」
岩崎 亘典 (農業環境技術研究所)
「産地戦略・生態系保全にむけた最新のリモートセンシング手法と応用」
井上 吉雄 (農業環境技術研究所)
「広域的な栽培暦情報を集積・共有するためのWebデータベース」
大野 宏之(中央農業総合研究センター)
総合討論
本研究会では、農業・環境問題にかかわる研究分野におけるリモートセンシングやGISの最新の研究動向が紹介されるとともに、その実践的な活用法について意見交換が行われました。
基調講演 「農業生態系研究におけるGIS ・ リモートセンシング利用の概論」 (秋山侃(あきやまつよし)教授) では、環境・生態系に関する諸問題が取り上げられ、リモートセンシング ・ GISによる研究方向が紹介されました。特別講演 「農業・農村分野におけるGISの取り組み」 (舘健一郎(たちけんいちろう)氏)では、現在農林水産省で進めているGISへの取り組みが紹介されました。さらに、当研究所で行われた研究の中から、応用的な側面に焦点を当てて研究紹介が行われました。