農業環境技術研究所 生物多様性研究領域の 大久保 悟 主任研究員が、「湿潤熱帯アジア農村ランドスケープにおける生物多様性と生態系サービス評価」 の研究で、日本造園学会 の平成26年度学会賞(研究論文部門)を受賞しました。
日本造園学会賞(研究論文部門)は、造園に関する学術,技術および芸術の進歩をはかるため、「造園に関する学術的研究論文で造園学の進歩,発展に顕著な貢献をした者」に授与されるものです。
受賞理由
近年、生態系サービスという考え方が広まっています。これは、多様な生物や生態系があることで、私たちは多くの自然の恵みを享受できるという概念です。しかし、農耕地などに多様な生物がいることが実際に地域の人たちにどのような恵みをもたらしてくれるのか、まだまだ十分な知見が得られていません。
受賞者は、インドネシア西ジャワの農村を対象に、農林地における生物多様性の保全と利活用、および生態系サービスとの関係を調査し、果樹や建材樹などを混植したタルンと呼ばれる伝統的な土地利用が、作物の受粉や病害虫抑制に必要な生物の多様性を高める機能を持つこと、このタルンで栽培作物の多様性を高めることが収益性の向上につながることなどを明らかにしました。
これらの生物多様性と生態系サービスに関する一連の研究は、多くの国際誌論文や著書にもまとめられました。さらに、その成果が評価されて、受賞者は IPBES(生物多様性及び生態系サービスの政府間科学政策プラットフォーム)の地域/準地域アセスメントのリードオーサーに選出されるなど、全球規模の生物多様性保全に関する政策提言に大きく貢献しています。