1.EU、010427、アベンティス社のGMトウモロコシをめぐる論議
すでにEUの認可を受けているGMトウモロコシについて、環境保護団体、地球の友(FoE)は、認可前に徹底した検査が行なわれていないため、この販売を禁止するようEU加盟国政府に求める声明を発表した。
このGMトウモロコシは主に牛の飼料に用いられる。しかし、そのタンパク質検査にはラットが、穀物(grain)検査にはニワトリがそれぞれ使われた。これら検査は、いずれも不適切であったとされている。他に問題視しているのは、交差汚染の可能性と、野生生物への影響が科学的に分析されていない点である。
2.EU、010406、さらに遅れるEUのGMO法
欧州委員会当局は、GM製品の追跡性に関する法案を除き、GM製品の統制に関連した法案を当初の予定通り4月末までに提出できない見通しであることを認めた。これで、EUの新しい遺伝子組換え生物(GMO)の認可凍結が解除されるという可能性が遠のいたことになる。
3.EU、010323、GMラベル表示の上限を巡る問題
科学植物委員会(Scientific Committee on Plants)は3月16日午後、商業的栽培に用いる種子のGM含有率の上限を定める、欧州委員会のEU指令案についての見解を示す報告書を発表した。
この報告書は「欧州でGM作物の生産が拡大するなか、偶発的に混入したGM種子の含有率の上限案(他家受粉作物が0.3%、自家受粉作物と栄養繁殖作物が0.5%)を適用することは益々難しくなると考える。また、やがて、欧州委員会が定めた1%という上限を見直す必要が出てくるかもしれない。」との見方を表明している。さらに、今回の報告書は「1%を守ることができるかどうかは、種子の許容含有率に加え、農家の管理手法および商業生産手法にかかっている。」と指摘している。
4.EU、010309、GMOラベル表示計画に遅れ
欧州委員会は、GMOのラベル表示および追跡性を規定する法案の取りまとめ作業を進めている が、技術的な問題の解決が難航し、この原案を環境相理事会に提出することができなかった。
5.EU、010303、GMOに関する改正指令を採択
欧州議会および閣僚理事会は2月中旬、遺伝子組換え作物(GMO)の規制を強化する改正指令案を採択した。
欧州委員会は、GMOに関する意志決定手続きの透明化、リスク評価のハーモナイゼーションの促進、市場に流通するGMOのラベル表示に関する規則の明確化などを目的に、GMOの環境への影響に関する指令(90/220/EEC)の改正指令案を作成し、98年2月23日に同案を採択した。
改正指令の主な内容は、
1)GMO製品の将来的な市場流通を考慮し、それが試作的なものもしくは商業的なものであるかにかかわらず、関係当局への通知ならびに当局が定める様式に沿った詳細情報の提供を義務付ける。
2)GMOのラベル表示や市場流通後のフォローに関する一般規定を定める。
3)流通期間は最大限10年間とし、期間更新に際しても新たな流通期間は10年間とする。
などである。
さらに、市場流通後のGMOの監視義務の内容を規定しているほか、関連科学委員会等への諮問の義務付けなどが決められた。
6.EU、010216、厳しい新GMO法案を可決
GMOに強く反対してきた欧州議会が新GMO法案を可決したことで、EUは停止していた認可手続きの再開に大きく近づいたと言える。これを阻む最大の要素は、フランスをはじめとする6カ国の反対である。これら6カ国は、環境面の責任に関するEU規則が施行されるまで、この再開を延期するよう求めている。
7.EU、001222、GMの収益性をOECDが疑問視
遺伝子組換え(GM)作物の栽培は農家が思うほど利益が上がらない可能性がある。経済協力開発機構(OECD)は、このような内容の報告書を発表した。
8.EU、001117、独のGM作物禁止令を認めず
EU科学委員会は、ドイツ政府によるGMトウモロコシ禁止措置を正当であるとは認められないとの判断を下した。これを受け、欧州委員会は同国にこの措置の撤廃を促す必要があるが、先のイタリアの場合と同様、他の加盟国が難色を示すことも考えられる。
9.EU、001020、イタリアのGM大豆禁止問題
イタリア政府が4種類のGMトウモロコシを原料とする食品の販売を中止させた問題で、EU常設委員会は、この措置を同国に撤廃させるという措置案に反対を表明した。同委員会がEUの包括的なGM法が制定されるまで待つ方針を固めた場合、この撤廃が来年以降にずれこむのは確実である。
10.EU、000728、IPにより生産コストが17%上昇
欧州委員会は「遺伝子組換え(GM)作物を分別するコストは、産品の庭先価格の6%〜17%に上る可能性が高い。」との内容の報告書をまとめた。
GM産品と従来の産品のいずれを選ぶか、その選択肢を求める消費者の声が高まれば、当然、IP(identity preservation)管理システムを導入する必要が生じる。しかし、生産者、加工業者、消費者のうちどこが費用を負担することになるかは依然として不透明である。主なGM作物(トウモロコシと大豆)の最大の輸出国は、GM技術が最も広く受け入れられている北米と南米であり、その最大の輸出先は、GM食品に対する懸念が最も強いEUと日本である。これが、この問題をより難しくしている。従って、GM産品が大量に取引される可能性は低い。
11.EU、000721、GM認可手続きを巡る議論
欧州委員会が環境相理事会に提出した、保留中の新GM製品の認可手続きをファスト・トラック(早期・一括承認)するとの試案に、フランスは猛反対している。各加盟国環境相の間では、新GM製品が再び市場に投入される前に、より厳しい規則の導入を求める声が強い。フランスがドイツの支持を取りつければ、同試案は難関にぶつかることになる。
12.EU、000714、GM製品の認可に向けた動き
企業が自主的に取り決めを守ることを条件に、欧州委員会がGM製品の認可手続きを再開させる提案を行ったことで、GM製品認可の一時凍結措置が来年までに解除される可能性が出てきた。このように欧州委員会が態度を軟化させたことに対して、米国政府の圧力に屈したなどとして、環境保護団体などから批判の声が上がっている。
13.EU、000623、種子諮問委員会がGM規制を検討
6月19日に種子諮問委員会(advisory Seeds Committee)が会合を開き、EUは輸入種子に関する遺伝子組換え生物(GMO)混入の規制措置確立に向け徐々に動き始めた。
GM汚染の危険性をいかに規制するかを巡る協議は、まだ結論に達していない。しかし、同委員会は、主要な協議事項を、対象とすべき製品と、対象とすべき第三国、種子積荷の許容GM含有率の3項目に絞り込むことを決めている。許容含有率については、0.5%という欧州委員会案に反対する声が出て、合意に至っていない。
14.EU、000602、農相理事会でGMナタネ問題を協議
ポルトガルで開催された非公式農相理事会では、先頃起きたナタネの種子のGMO汚染問題が大きく取り上げられた。考えられる対応策は、現在すでに検討中である、GM種子に関する新規則の制定をはじめ、栽培した作物が知らずにGM品種に汚染されていて、販売できないと気付いた農家のための枠組み作りまで幅広い内容である。今回の汚染問題の原因は、カナダにおける偶発的な他家受粉であった。
15.EU、000526、GMナタネを廃棄処分
GMナタネが間違って植え付けられた問題で、汚染された疑いのあるナタネをフランスとスウェーデンは廃棄処分することを決定した。一方、環境保護の活動家らの抗議行動にもかかわらず、英国政府は廃棄処分する必要はないとの姿勢を崩していない。
16.EU、000414、「実施不能な」GM規則が発効
遺伝子組換え(GM)原料を含有する食品のラベル表示に関するEUのルールが発効したが、関連業界がこれらルールを客観的かつ首尾一貫した手法で適用することについてはほとんど期待できない。この規則49/2000は、GMの含有なしと表示された輸入食品の場合、GM大豆およびGMトウモロコシの含有を1%未満とすることに加え、不慮の事故によりGM原料が混入することの防止を貿易業者に義務付ける内容である。この1%未満という最大許容量はすでにEUが認可したGM作物だけに適用され、認可を受けていない製品の場合、従来通り一切含有が認められない(上限はゼロ)。
17.EU、000414、欧州議会がGM法見直し案を否決
欧州議会は、GMOの規制の抜本的な見直しに係る一連の変更案を否決した。特に、環境や健康に与える影響の責任を関連企業に負わせることに反対したため、環境保護団体は強く反発している。新指令が採用され、新たな規制基準の枠組みが決まれば、現在凍結されている新GMOの認可手続きがようやく再開されることになる。
18.EU、000310、GMO委員会が新製品承認を見送り
欧州委員会のGMO委員会は、十分な情報がないとの理由で、3新品種のGMO製品の認可を再び見送った。欧州委員会は、数年後に導入される新しいGMO認可手続きをにらみ、企業の認可申請書に自主的な遂行事項を盛り込ませる方針である。GMO委員会がこれらの審査を行うのは、少なくとも6カ月後になる見通しである。
19.EU、000204、欧州委員会が予防措置的原則を定義
欧州委員会は2月2日、「予防措置的原則」に関する指針を定めた文書を発表した。この「予防措置的原則」は、EUが食品安全性に関する政策を策定する上で基盤となる考え方である。
この原則は本質的に、「科学的に明らかでなくとも、懸念を生じさせる妥当な理由がある場合、しかるべき措置を講じること」をEUに促す。
この「政策案」に法的拘束力はない。しかし、同原則のより厳密な定義と正当な使用法を明確に示す内容である。今までその定義が曖昧であったものの、この原則は、食品の安全性を脅かす恐れがあるとの理由でEUが輸入禁止を決定する際に、その正当な根拠として用いられてきた。代表的事例が、EUによる米国産ホルモン処理牛肉の輸入禁止措置である。同措置は、予防措置を装って貿易障壁を築いたとして非難を受けた。
EUは1月28日、遺伝子組換え生物の取引きに関する国際的な協定に予防措置的原則を盛り込むことに成功し、さらに国際的な食品基準の機関であるコーデックス食品規格委員会でもこの考え方に対する世界的な認識を得られるよう強く求めて行きたい考えである。また、同政策案は、世界貿易機関での合意事項を引き合いに出し、「これは事実上、予防措置的原則を認める内容である。」と強調している。
20.EU、991203、WTOでのバイオテクノロジー論議
WTOシアトル閣僚会議では、米国とカナダがバイオテクノロジーを用いた農産物の市場参入機会拡大を促す措置案を提出し、大きな波紋を呼んだ。EUは、この提案に反対するものと予想されるが、バイオテクノロジー審議会新設に関しては、今までの姿勢を転換し、これに向けた動きを妨害しないことを決めた。
21.EU、991203、非GM供給ライン問題に関する見解
ロンドンで開かれた同一性保持(Identity Preservation - IP)会議で講演を行った専門家の間では、非遺伝子組換え(GM)作物・製品のIP製品供給ラインの整備には依然として不透明な点が多いとの見方が強かった。一方で、米国の講演者2名は、2000年産からIP穀物とIP大豆を要件に従って欧州に輸出したいと米国側が考えており、その態勢も整っていると明らかにした。
22.EU、991022、GMラベル表示の欧州委員会案
1%を超えるGM原料を含む全ての食品にラベル表示を義務付けるという欧州委員会案は、常設専門委員会(SCF)の支持を得ることができた。この案の内容は概ね歓迎されており、環境保護団体や米国政府当局も好意的な見方を示している。一方で、試験の手順が複雑であること、非GM食品に対応した制度ではないことなどの問題もある。
23.EU、991001、GM飼料の新しいラベル表示案
欧州委員会は今年末までに、ラベル表示案を含めた、GM家畜用飼料についてのEU規則すべてを対象とした改正原案を提出する。また、飼料のダイオキシン汚染問題に対応し、EUレベルの防止計画案も来年10月末をめどに発表する予定である。
24.EU、990917、米国がGMO政策の見直しを要請
新欧州委員会の委員と会談中の米国のアーロン商務次官は、GMO問題に関して、EUに政策の見直しを強く求めると同時に、WTO次期貿易交渉で取り上げる意向のないことを明言した。また、EUが認定を一時凍結している問題で、米国政府がWTOに提訴する可能性があることも示唆している。
25.EU、990730、GM問題でオーストリアに法的措置
オーストリア政府が遺伝子組換え(GM)作物に関連し、消費者が被った損害から農家を免責することを決定したが、これに対して欧州委員会は、法的措置も辞さない方針であることを明らかにした。 欠陥製品に対する責任についてのEU法(指令85/374/EEC)の対象範囲を一次産品(農産物)に拡大することが決定したのは、オーストリアが議長国を務めた昨年12月のことである。これには、GM作物に関連し健康に害を及ぼした場合、生産者にその責任を負わせることも含まれている。
しかし、「オーストリア政府は、問題となる一次産品(農産物)を農家自らが遺伝子組換えを行っていないことを証明できれば、こうした責任をその農家に負わせないことを決めた(欧州委員会の弁)」。専門機関が実施するような研究を農家が行うとは考えられず、この措置により、農家は実質的に法的措置を免れることになる。
26.EU、990716、欧州理事会が新GMO作物に反対
欧州委員会が新たに3種の遺伝子組換え作物を承認したが、すでに環境相理事会がGMO承認の事実上の一時停止を決定しているため、加盟国がこれら新製品の販売を認める可能性は極めて低い。欧州委員会は承認の申請を受けているGMOに関し、自国の方針を明らかにするよう加盟国政府に要請した。
27.EU、990630、遺伝子組換え体に対する規制
EU環境大臣会合の結果、組換え体に関するEEC理事会指令による規制が強化される方向で見直されることとなった。また、新たな組換え体の市場流通の認可の延期措置が事実上、採られることとなり、米国など組換え作物生産国の対応が注目される。
28.EU、990625、新たなGMO製品の認定を凍結
環境相理事会は、改正後のEU指令が2002年以降のいずれかの時期に施行されるまで、遺伝子組換え作物(GMO)の認可を一切停止するとの姿勢を鮮明にした。
同理事会は6月25日未明、GMOの認可に関するEU指令(指令90/220)の一連の改正案を了承し会合を終えた。今回合意された改正点としては、GM製品の認可期間を最高10年に制限すること、ラベル表示規則の明確化、食物連鎖全体を通じてGMOによる影響の追跡調査を義務付ける条項の追加などが挙げられる。
29.EU、990618、WTO交渉におけるGM問題
世界貿易機関(WTO)の衛生植物検疫委員会では、作物の遺伝子組換えを中心とするバイオテクノロジー問題が討論されなかった。これが、WTO次期貿易交渉に暗い影を投げかけている。
同委員会からは、各国がこの問題を非常に慎重に扱っている様子がうかがえた。特に米国は、ウルグアイラウンド合意の一部である衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)の見直しを求める声が上がるのではないかと危惧していた。しかし、今後、バイオテクノロジー問題で米国とEUが衝突するのは目にみえており、この問題に正面から取り組まざるを得なくなるのは必至である。
ひとつの可能性としては、今年11月にシアトルで開催されるWTO閣僚会議において、準備作業を行うための加盟国特別委員会を設置することが考えられる。そうなれば、この特別委員会が、関連するWTO協定(SPS協定、技術的貿易障壁(Technical Barriers to Trade - TBT)協定、関税と貿易に関する一般協定(GATT)、原産地規約(rules of origin)等)をすべて分析し、バイオテクノロジーと関連があると思われる部分を特定し、WTO交渉で提起される可能性のある問題に十分対応できるか否かを確かめた上で、必要と思われる追加条項を提言すればよくなる。
GM種子と農作物の他家受粉に関連した措置は、現行の規則では、植物検疫に分類することが可能であると思われる。しかし、SPSでは保菌生物の問題に対応できないなど、食品安全性と家畜衛生に関連した措置の場合は、分類がこれよりもずっと難しくなる。
加盟国には正当な目的を達成するために、貿易制限措置を講じる権利がある。こうした規制措置はTBTに分類できよう。この「正当な目的」の対象がわかりづらいため、どちらかというとTBTの方がSPSに比べ規定が緩やかである。
[実質的同等の問題]
GM作物を原料とする製品に関しては、「実質的同等(対象となるGM製品を分析しても、同等の非GM製品と区別がつかない)」の問題もある。この問題を議論する場合、GATT協定の第3条(ある特定の国の製品に対する差別的措置)、あるいは輸入品と比べた場合の国産製品への優遇措置に関する条項に抵触しているか否かが問題とされると思われる。
SPSに関連した紛争処理小委員会は現在までのところ、米国・カナダとEUのホルモン牛肉問題およびオーストラリアのカナダ産冷凍サケに対する輸入制限措置、米国と日本の果実検疫制度問題の4ケースでのみ設置されている。
30.EU、990611、GMO認可制度の法制化の動き
議長国のドイツが、EU加盟国からの圧力を排除できるよう、独立した認定機関の設置を提案したため、EUの遺伝子組換え生物(GMO)の認可制度改正をめぐり、環境相理事会内の緊張が高まった。同じ会合でスウェーデンも、「倫理的な配慮」をするよう求めている。
この結果、GMの認可に関する議論がいっそう複雑になり、今月末に開催される環境相理事会において、評判の悪い「GMOの販売流通に関する指令」90/220(1990年に発効)の改正問題で、妥協が成立するかどうかについての見通しは不透明となった。
ドイツの提案のように、米国の既存機関に似た、GM作物を認定するEUの中央独立機関を設立すれば、GMの認可という感情的な部分が大きな比重を占める問題において、加盟国政府および欧州委員会の政治的圧力を排除することができる。しかし、この提案は他の加盟国と欧州委員会により直ちに拒否された。
スウェーデンは、同指令の目的を規定する部分に「人間の健康と環境を保護すること」という文言を挿入するよう求め、デンマークとギリシャ、スペインの3カ国もこれを支持した。
作業部会会合では、「危険評価を行うときには抗生物質に耐性を持った遺伝子の問題も検討すべきである。」との文言を盛り込むことをはじめ、同制度をより具体的な内容にするよう求める声が相次いだ。抗生物質に耐性を持つ遺伝子を含有するGM製品すべてを禁止するよう求める加盟国も5カ国(デンマーク、ギリシャ、オーストリア、スウェーデン、ルクセンブルグ)あった。
これら5カ国がこのような意向を示した背景には、科学的問題に関する欧州委員会の諮問機関、科学運営委員会(Scientific Steering Committee - SSC)が、商品化する前に、製品から可能な限り抗生物質に耐性のある指標遺伝子を除去する必要性を示唆したことがある。
31.EU、990430、GMO問題がWTO交渉協議事項に
米国がWTO次期貿易交渉の場においてバイオ技術関連製品に対するEUの認証手続きに異議を申し立てる方針であることが明らかになった。その一方で、米国の消費者団体の代表者は米国政府がGM製品の認可を強く迫っても、EUはこれに抵抗すべきとの考えを強調している。
32.EU、990423、カーギルがEUのGM基準に従うことを発表
米国の穀物商社カーギルは、EUが承認していない遺伝子組換えトウモロコシの取り扱いを止めると発表した。他の主要業者2社はすでに、同様の発表をしている。その一方で、採算が取れなくなるとの理由で、米国政府は分別措置について検討することを拒否する姿勢を変えていない。
33.EU、990226、新たなGM作物製品群が登場
モンサント社の広報担当取締役は品質面および栄養面の特性を持つ第2弾目のGM作物製品群製品に引き続き、第3弾目「工場としての作物」をまもなく市場に投入する予定であることを明らかにした。
34.EU、990122、均衡の取れたバイオ技術の必要性
農産物関連のバイオ技術は、世界中の人々により多くの食料を供給するという潜在的利点と環境に与える潜在的危険性の均衡をほどよく保って開発する必要がある。このような見解が国際連合食糧農業機関(FAO)により示された。
世界の人口は2020年までに75億人に達する見込みであり、マルサスの主張から見てもバイオ技術が持つ生産性を向上させるための潜在能力がいかに大切であるかは言うまでもない。
作物の単収の増加と農薬使用量の削減といった利点と同時に、同報告書が指摘しているのは、農家が「遺伝子的に均質な品種」を採用することにともない「遺伝的多様性を間接的に低下させる危険性」が高まることである。FAOはまた、「遺伝子組み換え生物(GMO)から放出された遺伝子により、野生種の生長状態が一層悪化するのではないか。」と警鐘を鳴らしている。
一方で、同報告書は「(バイオ技術は)同時に多様性の保護および持続可能な利用方法の可能性を高める。」としている。
[生物学的安全性(バイオセイフティー)対策の必要性]
同報告書は、「生物的安全性の全側面に関して、適切な形で法律を取りまとめ、適切な管轄機関を設置するよう。」開発途上国を中心とした世界各国を奨励し、支援する必要があると結論づけている。
英国の上院特別委員会も、バイオ技術に関する議論は均衡を欠いているとして懸念を表明した。
35.EU、981009、GM製品についての国際会議
欧州における遺伝子組み換え(GM)作物およびこの作物を原料とする製品の導入の速度は、法制度の整備の立ち遅れや消費者側の信頼が薄いことなどから鈍ってきている。また、環境保護団体が今後も反対運動を繰り広げていくことは確実である。その一方で、GM製品の流入の阻止がもはや不可能なことも事実である。ロンドンで開かれた「食品産業におけるバイオ技術」会議では、欧州で広く受け入れられるためには、風味や栄養、健康への効果など、消費者が求める利点を備えたGM製品の開発が不可欠であるとの見方が示された。
36.EU、980918、加盟国のGMトウモロコシ禁止措置
欧州委員会は、GMトウモロコシ禁止措置の解除に応じないオーストリアとルクセンブルグに対して、法的措置を講じる方針である。しかし、オーストリアが12月末まで議長国を務めているため、実際の手続きは来年にずれ込むものと思われる。フランスもGMナタネの暫定的禁止措置を取る決定を下しており、今後の行方が注目される。
37.EU、980904、新GMラベル法に対する批判
組換え(GM)大豆やGMトウモロコシを原料とした食品にラベル表示を義務づける法律が、EUにおいて施行されたが、環境保護団体はその内容を酷評している。
38.EU、980828、バイオ企業がGM植物の危険性否定
スイスの農業化学企業ノバルティス社は、同社の遺伝子組み換えトウモロコシが無害な昆虫を殺す可能性があるとの訴えをはねつけた。
ノバルティス社種子部門(バーゼル)の広報担当主任であるシェイラ・ベテル(Sheila Bethell)氏は、「科学雑誌上で発表された新たな証拠により、Btトウモロコシが、自然環境において無害な昆虫の死亡率を高くすることが証明された。」との環境団体グリーンピースの訴えをはねつけた。同氏は、問題となっている研究は実験室試験の結果だけに基づいたものであり、これでは実際の自然環境のなかで何が起こるか正確には把握できないと語っている。
39.EU、980731、有機食品へのバイオ技術の使用禁止
各加盟国の専門家からなる特別調査委員会は、バイオ技術を使って生産された製品の有機農業への使用を全面的に禁止することを全員一致で決めた。今回の禁止措置は、バイオ種子やバイオ飼料だけではなく、殺虫剤、除草剤、肥料から獣医用医薬品や洗浄溶剤までに及ぶすべてのバイオ製品に適用される。
40.EU、980522、新GM作物の安全性を科学者が保証
EUの植物専門家は、パイオニア社とプラント・ジェネティック・システムズ社の遺伝子組換え(GM)作物2品種の販売を新たに許可した。パイオニア社のトウモロコシは害虫に強く、プラント・ジェネティック・システムズ社のナタネは他花受粉で除草剤に強いという特長を持っている。
欧州委員会の発表によると、諮問委員会である植物科学委員会(メンバーは加盟各国の専門家)は、「これら2品種の作物を市場に投入しても、人体および環境に悪影響を及ぼすという兆候は見られない。」との結論を出したということである。
41.EU、980501、GMO製品のポイントは信頼性
アグラ・ヨーロッパ主催の「GMO:政策を実行に移すにあたって」と題された会議において次のような結論が導き出された。
長期的に見れば、組換え生物(GMO)を原料とした製品が市場に広く出回ることは避けられない。しかしながら、消費者の信頼は狂牛病騒動で大きく揺らぎ、そのあおりを受けてGM食品に対する懸念が強まっており、事態がなかなか進展しない状況にある。
共通農業政策(CAP)改革をめぐる論争と同様に、欧州の法制度をより規制の少ないものに改正しない限り、域外の企業に大きく遅れをとる結果になるという声がGM推進論者の間で強まっている。また、米国が、バイオテクノロジーは新たな貿易摩擦を生む可能性があると見ているのも事実である。
42.EU、980417、GMO禁止措置撤回案を否決
オーストリアおよびルクセンブルグに遺伝子組み換え作物の国内禁止措置を撤回させるという欧州委員会の提案は、フランスが棄権にまわったことなどから規定の賛成票が得られず否決された。欧州委員会は、提案を環境理事会に回して判断を仰ぎ、徐々に各国の支持を得ていきたい考えである。
オーストリアとルクセンブルグがノバルティス社の遺伝子組み換えトウモロコシの植え付けおよび販売の禁止措置に踏み切ったのは昨年のことであった。この禁止措置について、両国は、その理由をせん孔性害虫に強いこのトウモロコシは動物や人間の体を抗生物質が効きにくく変化させてしまう危険性があるためであるとしている。一方、欧州委員会は人体に害を及ぼす可能性があるという科学的証拠を提示できないでいると指摘して2カ国の主張を受け入れず、今回の撤回案を提示するに至ったもの。
43.EU、980116、遺伝子組換え体(GMO)のラベル表示法案が見送り
欧州委員会が提出したGMOラベル表示法案は、食品常任委員会の承認を得ることができず、域内市場理事会に送付されることになった。法案の中で疑問視されているのは、GMOか否かの判断基準として、DNAの有無を基準としている点である。今後、欧州委員会の提案は域内市場理事会(Internal Market council)に送付され、採決が行われる見通しである。
44.EU、980109、オーストリア・ルクセンブルグのGMO禁止措置への対応
オーストリアとルクセンブルグがとっている組換え(GMO)トウモロコシ禁止措置に関して、EUの判断が示される見通しである。一部には反対の声も聞かれるが、2カ国に撤回を求める決定が下されるものとみられる。
45.EU、971128、GMO政策の地域主義化を求める声
オーストリア農業省のバイオテクノロジー担当ハスルバーガー(Haslberger)氏は、GMO製品の使用は、薬品と同様に、環境の改善や消費者の生活向上に役立つと証明された場合にのみ認めるべきであるとの考えを述べ、さらに、環境に対するプラス面とマイナス面を正確に消費者に公表しなければ、GMO製品に対する一般の者の支持を得るのは極めて難しいと警告している。
さらに同氏は、GMOが科学的に未知数である現状を重く見て、全てのGMO製品がいかなる場合でも安全というわけではなく、GMOが自然環境に放出された際に生じる二次的影響についてリスク・アセスメントを行なう必要があるとしている。また、現在の法律では、産業化された農業にGMOが与える長期的影響等の二次的影響に対して、具体的に対応することができないことも指摘した。
46.EU、971128、遺伝子組換え体(GMO)認可手続きの変更
欧州委員会は、遺伝子組換体(GMO)の販売・使用の認可方法を改正することで合意した。この改正案は、農相理事会と欧州議会の承認後に成立するが、今回の主な変更点は、新たなGMO製品の認可の効力を7年までとすること、その後再評価を行うこと、そして環境・人体に悪影響がないかどうか製品のモニタリングを義務づけることにある。
[新たなGMO製品に対する7年後の再評価]
欧州委員会が97年11月26日の週例会議で承認したEU指令90/220の改正案では、GMO製品の認可の有効期限を7年間に限定し、これを過ぎた時点で再評価するとしている。またこの7年間の試験期間中、GMO製品のモニタリングが義務づけられる。
一方、これらの新規のGMO製品のラベル表示に関しては、欧州委員会が7月に発表したガイドラインに沿い、GMOを原料とする製品はその旨の表示が、また、GMOを含有する可能性がある製品は、GMO含有の可能性あり旨の表示が義務づけられる。
47.EU、971114、GMOを暫定的に認可する動き
GMO(組換え体)の認可は、10年程度に期間を限定した暫定的なものになる見込みである。また、GMOの認可手続きが迅速になされるよう、認可手続きの変更が検討されている。
48.EU、971031、組換え体(GMO)食品のラベル表示をめぐる混乱
遺伝子組換え(GMO)作物を原料とする食品のラベル表示の具体的な内容がまとまらず、食品業界は困惑している。EU共通のラベル表示規則が固まらないまま、加盟各国が独自のラベル表示を義務づけることは、単一市場において問題となる恐れがある。
49.EU、970926、非GMO大豆は、GMO大豆に比べ15%高
遺伝子組換え(GMO)大豆が業界の標準となった場合、従来通りに生産された非GMO大豆には15%程度のプレミアム(割増し金)がつくことを、米国に本拠を置くバウディッチ・グループ(Bowditch Group)のデビッド・ウィート氏が明らかにした。
ウィート氏は、コスト面で有利なGMO大豆が今後数年以内に一般的になるとした上で、この場合、現在「普通の」非GMO大豆は高級品に位置づけられることから、非GMO大豆の購入にはそれなりの金額を覚悟しなくてはならないとしている。
ウィート氏の試算によれば、モンサント社のラウンドアップ・レディー等のGMO大豆を導入した場合、農家は農薬の散布量を減らすことが可能となるとから、1ha当たり最低13ドルの経費を節減できるとしている。
50.EU、970912、組換え(GMO)トウモロコシの輸入禁止措置の撤回について
欧州委員会は、オーストリア・イタリア・ルクセンブルグが行っているGMOトウモロコシの販売禁止措置を撤回するよう求めることを決定した。この3カ国は、GMOトウモロコシの安全性を欧州委員会が承認したにもかかわらず、独自の販売禁止措置を取っている。なお、GMO製品の安全性については、科学者と環境論者の間で大きく意見が分かれている。
51.EU、970822、GMOの承認手続の新たなガイドライン
欧州委員会は、新しい食料規則に基づくGMO承認手続きの簡素化をはかるため、新たなガイドラインの草案をまとめた。かねてから承認に時間がかかり過ぎると業界から批判があったからである。
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