1.ドイツ、010306、遺伝子組み換え作物に狂牛病の余波
連邦政府は1月末、遺伝子組換え作物の研究計画をしばらく棚上げにすると発表した。狂牛病問題の影響で食品への不安が高まるなか、消費者をいたずらに混乱させることを避けるのが狙いである。しかしながら、遺伝子組換え作物に関する問題は、狂牛病の感染防止のために需要が高まる飼料用大豆を輸入に頼らざるを得ないドイツの現状とも密接に関連しており、今後のドイツ政府の方針が注目される。
シュレーダー首相が遺伝子組換え作物の大規模な作付計画について初めて言及したのは2000年6月である。同首相は、ドイツ最大の種苗会社KWS社を訪れた際、バイオテクノロジー企業は2001年から2003年末まで3年間に限って、研究・調査目的でのみ遺伝子組換え作物を作付け、その間に政府は遺伝子組換え技術の農業分野への適用に対する社会的な合意を取り付けるとの発言をした。
政府はこの場で3年間のプログラムの内容を明らかにした。同案によると、プログラムの重点は遺伝子組換え作物の安全性と環境への影響を調査することにあり、作付け面積は、現在の500ヘクタールから3,000ヘクタールまで増やし、連邦教育・研究省はこれに対して5,000万マルクの予算措置を行うとしていた。
しかしこの会合は合意に至らず、12月中旬の対話でも何ら収穫はなく、1月19日の話合いは狂牛病騒ぎの影響でキャンセルされてしまった。
2.ドイツ、000614、遺伝子組換え種子が混入したナタネ問題
英国、ドイツなど欧州4カ国でまかれたナタネの種子に、欧州ではまだ作付けが認可されていない遺伝子組換えナタネの種子が混入していた問題で、フンケ連邦農相は「遺伝子組換え種子の混入率が非常に低いため問題はない。」と述べた。また、フランス、スウェーデン政府が該当する畑のナタネについて、廃棄を決めたことに触れ、「事前に何の相談もなく決定したことが、ドイツでの激しい抗議運動を引き起こした。」と両国の姿勢を批判した。
ドイツでは、2.1トンの種が300ヘクタールの畑にまかれ、遺伝子組換え種子の混入率は0.03〜1%とみられている。ナタネから加工された油はバイオディーゼルとしてのみ使われ、食用には使用されない。主にドイツ南部のバーデン・ヴュルテンベルク州で栽培されているが、後にバイエルン州、ノルトライン・ヴェストファーレン州、ヘッセン州などでも該当する畑があることがわかった。バーデン・ヴュルテンベルク州では特別な対策をとらないが、ノルトライン・ヴェストファーレン州では州政府が3.5ヘクタールにまかれたナタネの全量を買い上げ、廃棄することにした。
さらにイェナ大学の研究所は、ミツバチと遺伝子組換えナタネの関係について興味深い研究結果を報告している。除草剤耐性を持つ遺伝子組換えナタネの花粉を集めているミツバチの腸内バクテリアのいくつかが除草剤耐性を示したというもので、実験室レベルでの研究であるとはいうものの、特定の遺伝子が生物種を超えて移動した可能性が指摘されている。ドイツの公共放送ZDFは、「蜂蜜には花粉が含まれており、その多くを遺伝子組換えナタネの多い米国、カナダなどから輸入しているドイツにとって非常にセンセーショナルな研究結果である。」としている。
3.ドイツ、991111、遺伝子組換え食品をめぐる動き
ドイツでは最近、大手食品スーパーが、自社ブランド食品への遺伝子組換え原料の使用禁止を次々と決めている。また、ドイツの規則に基づき「遺伝子工学なし(ohne Gentechnik)」と表示された自社ブランド食品が初めて登場した。
4.ドイツ、990507、未承認のGMトウモロコシ問題
遺伝子組換え(GM)トウモロコシの品種のうち違法なものがドイツで発見されたことが、環境保護団体、大地の友(FoE)により明らかにされた。FoEは、パイオニア社がEU域内で販売している非GMトウモロコシの種子がGM物質に「汚染されている」としている。
報じられるところによると、サンプルを調べた結果、EUが承認した品種のGMトウモロコシだけではなく、違法な品種(2品種)に汚染された非GMトウモロコシが一部に発見された。
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