1.イタリア、010406、穀物にGM種子混入の疑い
イタリアでは、輸入された種子がGM製品であった疑いが浮上したために、主要な農作物であるトウモロコシと大豆の種子が不足し、これら作物の栽培が大きな打撃を受ける可能性が出てきた。
モンサント・イタリア社が輸入した大豆種子がGM製品であった可能性があるとの報告を受けて、全国農業者連合のオーガスト・ボッチーニ会長が、この論争の口火を切った。これに対して、同社はマスコミに「仮に問題の種子からGMOが検出されたとしても、それは誤って混入したものと考えられる。」との見方を示した。
イタリアは、大豆種子の80%を主に米国から、トウモロコシ種子の60〜65%を主にフランスから輸入している。
2.スイス、000609、GMO穀物の輸入制限法成立
スイスではトウモロコシ、ナタネ、大豆などの穀物は75%から100%輸入に依存しているが、遺伝子組換え体(GMO)の穀物の輸入は全面禁止と定められていた。しかし、輸送段階などで、やむを得ずGMOが混入するケースもあることから、連邦農業局は法律を改定し、GMOの含有率0.5%以下なら輸入を認めることとした。ただし、スイスで認可されているGMO種はトウモロコシ2種と大豆1種だけであり、これ以外のGMO種の混合は当然認められない。
このほかスイスでは、食品については1%以上、飼料については3%以上のGMOを含有する場合に表示義務を課し、GMO作物の栽培を制限するなど、GMOに対しては厳しい規制を行っている。
3.オーストリア、990528、GMトウモロコシを禁止
オーストリア政府は、欧州委員会が認可したモンサント社のBtトウモロコシの使用を独自に禁止する方針を発表した。これは、害虫ヨーロッパアワノメイガに強い遺伝子組換え(GM)トウモロコシの花粉で、オオカバマダラという蝶の幼虫が死ぬとする報告書が公表されたことを受けての措置である。オーストリア政府が今後どのような手続きを踏む意向であるのかはまだ不透明であるが、ある欧州委員会の関係者によると、その正当性を裏付ける科学的根拠を他の加盟国および欧州委員会に提出すれば、加盟国には最高3カ月間の禁止措置を講じることが認められる。この一時禁止期間は、「当該根拠がある」ことを条件に暫定的措置を認める、いわゆる「予防措置的原則(precautionary principle)」に基づいて設けられている。
すでにオーストリアとルクセンブルグの2カ国は、EUが認可した他のノバルティス社製Btトウモロコシを独自に禁止する措置を取っている。Btトウモロコシが野生生物に悪影響を与える可能性があるとする科学的調査の結果が発表されたことを受け、欧州委員会は、GM作物の認可手続きを凍結するとの方針を明らかにした。これにともない、パイオニア・ハイブリッド・インターナショナル社が販売するBtトウモロコシの認可が見送られることになる(認可されていれば、これで3品種目となる)。
4.アイルランド、980904、政府のGM法に関する諮問
GM製品の問題に関して、アイルランド政府は、消費者とバイオ技術関連企業との間に挟まれ、苦しい立場にある。政府はGM原料の食品への使用とGM作物の栽培に関する法案をまとめており、現在、諮問を行なっている。この法案の柱は、試験的栽培やGM種子の商品化に関し、一般から広く意見を聞く公聴制度の導入である。
5.スウェーデン、990212、農業者がGM作物に反対
農業者向けの雑誌ATLが行なった調査によると、スウェーデンでは農業者の10人に7人が遺伝子組換え(GM)作物を裁培するつもりがないことがわかった。 「GM作物を自分の農場で栽培するつもりはあるか」との質問に「ある」と答えたのは、調査の対象となった農業者1,051人のうちわずか19%で、「わからない」との回答も11%にとどまった。
GM作物に対しては消費者も農業者と同じような意識を持っている。協同組合研究所(Kooperative Institutet)が実施した調査では、対象者のうち4分の3がGM食品は食べないと答え、80%が人体や自然環境への悪影響を懸念していることがわかった。
最初にスウェーデンの農家で栽培されるGM作物は、ノバルティス社のラウンド・アップに強いテンサイになるものと思われる。この作物が同国に入ってくるのはおそらく2001年で、その後GMナタネもスウェーデン市場に投入される見込みである。同国はすでにGM加工ジャガイモの申請書もEUに提出している。
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