G.カナダ
 
1.カナダ、010301、バイオ技術に関する新たな報告書
 カナダ王立委員会(The Royal Society of Canada)は『食品バイオテクノロジーの将来に関する報告書』(the Report on the Future of Food Biotechnology)を提出し、遺伝子組み換え食品の規制制度を強化するための勧告案を示した。勧告案では、同国の食品制度が将来求められる条件に対し、より効果的に対応できるよう、新開発の食品に信頼性の高い規制および評価方式を適用することが提案されているが、現在市場に流通している遺伝子組み換え食品の安全性に対する懸念はまったく示されていない。
 
 
2.カナダ、000901、GMOのラベル表示を望む消費者
 カナダ健康食品協会(Canadian Health Food Association-CHFA)がGMOのラベル表示についてカナダ国民1,000人を対象に最近、行った調査の結果、94%がGMO強化食品にはラベル表示が望ましいと回答した。この結果にもかかわらず、カナダではGMO適用食品のラベル表示を義務づけておらず、このラベル表示に対する基準も存在しない。そこで農業・農業食品局(Department of Agriculture and Agri-Food)およびCHFAは、遺伝子組替え食品のラベル表示の基準作成に取り組んでいる。
 
 
3.カナダ、000201、科学者がGMO食品を支持
 カナダの著名な科学者150名が、現在のバイオテクノロジー作物、およびカナダの食物規制システムを支持する文書に署名した。この文書は、国内の食品製造業者、大手食料品チェーン、それ以外の独立した食料品店に送られた。この文書には、世界中の400名の科学者も署名している。
 
 この文書の目的は、小売業者がGMO反対派から多大の圧力を受けていることを認識し、これまでの研究で明らかになった遺伝子組換え製品の利点を伝えることである。科学者たちは、栄養価が改善される、収量が上がる、農薬や化石燃料の使用量が減少する、などのプラス面を集中的に取り上げている。
 カナダではGMOを「新種の食品(Novel Foods)」というカテゴリーに分類しているが、食物品目および商品をこのカテゴリーとして承認するにあたっては、非常に厳しい基準を設けている。科学者グループは、人口が増大し続けるカナダにおいて、国民に健全かつ適切な食糧を供給するために、現行の規制システムを継続することを求めている。
 
 
4.カナダ、000101、期待されるカノーラの輸出
 カナダ産カノーラの輸出は、1999/2000年度には、前年度の390万トンから430万トンに増加する見込みである。これは、中国での需要が高まっただけではなく、他の国々での需要も増加した結果である。
 
 
5.カナダ、991101、遺伝子組換え作物の作付け拡大
 ヨーロッパではGM作物に対する抵抗があるが、カナダは2000年には、遺伝子組換えカノーラおよび大豆の栽培を拡大する予定である。カナダ・カノーラ委員会は、2000年のカノーラの栽培面積は今年と同程度と見ている。1999年には、カナダ産カノーラ860万トンの55%が遺伝子組換え食品(GMO)であった。
 
 しかし、カナダの生産者はGMOに対する懸念が高まっているのを痛切に感じており、来春の作付けシーズンの前に、GM作物栽培に関する態度を変える可能性もある。現在カナダでは、GMカノーラに対しても非GMカノーラに対しても、加工業者が奨励金や割増金を支払うことはない。しかし、米国では状況が異なり、ADMなどの加工業者が、非GMの大豆その他の穀物に対して、割増金を支払っている。
 
 
6.カナダ、990901、良好なカノーラの収穫見通し
 ナタネの改良品種カノーラは、小麦に次いでカナダで第2位の販売額(年間21億米ドル)を誇る。9月に霜害に遭わなければ、今年の豊作は確実である。
 
 
7.カナダ、990901、WTO農業分野交渉でのカナダの方針
 世界貿易機関(WTO)次期貿易交渉において、カナダは、農業貿易改革をより一層推進することを目指している。バイオテクノロジーによる遺伝子組換え食品の認定問題については、米国と協同で科学的根拠に基づく厳格な国際規則を設けることを強く求めることを決めている。米国と自由貿易協定を結んで以来、カナダの食品業界は急激な変貌を遂げ、かつての分工場は、世界各国で加工食品の製造が可能な、競争力のある企業へと成長した。北米自由貿易協定によりカナダが自由に米国市場に参入できるため、現在カナダ産製品の大半は米国に輸出されている。
 
 一方、欧州、日本およびその他の新興市場では、関税および非関税障壁がカナダ企業の前に大きく立ちはだかっているのが現状である。欧州は、そのほとんどが遺伝子組換えされているとの理由で、カナダ産キャノーラ油の輸入を全面的に禁止している。また、欧州、日本およびその他の新興市場では、カナダ産加工食品に対して高率の関税を課している。
 
 WTO次期貿易交渉において、カナダ政府はこの関税の撤廃を要請する方針である。また、遺伝子組換え食品に関しては、健康あるいは安全性の理由により各国が輸入を禁止する際の国際規則を定めた「衛生植物検疫措置に関する協定」に付帯事項を加えるよう求める予定である。

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