1.豪州、000805、厳格なGM表示規則を採用
オーストラリアは、他国に比較して厳格なGM(遺伝子組換え)食品の表示制度を採用している。同国ではGM食品の表示最低基準を含有量1%とする案が却下されたものの、ある種の食品については表示の免除が認められている。
2.豪州、000803、GM食品の表示制度に合意
オーストラリア・ニュージーランド食品基準協議会は、7月28日、遺伝子組換え(GM)食品の表示制度に合意した。GM食品の表示対象の範囲や実施時期など具体的内容が決定したことを受け、オーストラリア・ニュージーランド食品局(ANZFA)は食品基準コード(GM食品を含む食品全体に関する規制が定められている)の改正作業を進めている。
3.豪州、000508、GM作物をめぐる最近の事件
オーストラリアでも遺伝子組換え(GM)農作物の生産について、様々な意見や行動が見られる。連邦政府や生産者および流通業者の間には、他の農産物輸出国のようにGM農作物の研究・開発と生産に積極的に取り組むべきという意見と、非GM農作物供給国としてのステータスを維持し、GM農作物の生産には取り組むべきではないという意見の二つがある。また、消費者の多くや環境団体はGM農作物の生産に消極的であるが、表示基準や研究・開発に関する法律の制定等を整えるべきであるとして、一部の過激な反対運動には批判的というのが、その一般的な見方である。
GM農作物をめぐり、事件が相次いで発生したことに対して、関係者からは「グリーン&クリーン(オーストラリア産輸出食品のキャッチフレーズ)であるオーストラリア産食品の評判に傷がついた」、「試験栽培を進めることと非GM農作物の輸出を振興することを一緒に行うのは困難である。試験栽培を5年間は停止すべきである」、「試験を行う企業は試験圃場のある地方の自治体や住民と会合を持ってきちんと了解を得るべきである」、「早く法律による規制を導入すべき」など、行政や企業の責任を求める意見が多く出されている。
なお、GMACによれば、現在オーストラリア国内で行われているGM農作物の試験栽培面積は4,735ヘクタールで、このうち綿実が70%、キャノーラが23%である。
4.豪州、000208、GM食品に関するパンフレット
連邦政府であるバイオテクノロジー・オーストラリアは、GM技術等バイオテクノロジー技術の普及には消費者に対してGM食品についての正しい情報を提供することが必要不可欠との考えから、消費者向けのパンフレットを作成、スーパーマーケット等で配布を始めた。
5.豪州、000125、GM食品表示規則案
オーストラリアでは、すべてのGM食品に表示を義務づけることが決定されているが、そのためにかかるコスト等が問題となり、実施時期等の最終決定が遅延している。オーストラリア・ニュージーランド食品局(ANZFA)は、広く意見を聴取するため、表示規則案を公表し、広く意見を求めている(ANZFAのホームページ http://www.anzfa.gov.au/ (相当するページがみつかりません。2014年10月)参照)。
6.豪州、991026、GM食品表示の実施が遅れる可能性
10月のANZFSCの会議において、その実施内容を決定する予定であったGM食品の表示問題については、製造業者側での表示実施に係るコスト問題の大きさのため、その決定が先送りされた。なお、次回会議は来年早々の予定である。
7.豪州、990901、GM製品販売の監督体制を強化
8月22日、オーストラリア連邦政府は、遺伝子組換え(GM)技術を用いた製品(GM製品)について、GM技術の研究およびGM製品の商業的販売を行う場合には、その安全性について、連邦政府の保健・老人福祉省(日本の厚生省に相当)の中に新たに設置する暫定的遺伝子技術規制局(IOGTR)で管理することを発表した。
IOGTRは、2001年7月の設立が既に決定されている遺伝子技術規制局(OGTR)が設立されるまでの間暫定的におかれる仮設機関で、OGTRが設立されればこの業務は同局に引き継がれることとなる。IOGTRの設置により、GM製品を商業的に販売する場合には保健・老人福祉大臣の認可が必要となる。保健・老人福祉大臣は認可に当たり、遺伝子組換え技術について、環境面からの安全性を評価するため専門家によって構成されている遺伝子操作諮問委員会(GMAC)と環境省の助言を受けることになっている。
8.豪州、990812、GM食品の認可を巡る議論
1999年8月3日、オーストラリア連邦政府は、原則としてすべての遺伝子組換え農産物を原材料とする食品について、その旨の表示を義務付けることとした。現時点でのオーストラリアにおける遺伝子組換え食品の流通事情は、次のようになっている。
連邦政府は、98年7月に食品基準コードに遺伝子組換え食品を含めることを決定し、99年5月13日にその基準を施行した。それ以前から綿実(92年より国内で試験栽培)と大豆(96年より米国から輸入)の遺伝子組換え品種が国内で流通していたが、同食品に関する基準がなかったため、安全性評価を受けないまま食用油などとして加工、消費されていた。
オーストラリアでも、消費者団体や環境保護団体は他国と同様に遺伝子組換え食品の流通に慎重な立場をとっており、同食品には例外なく表示をすべきとしており、先般の原則表示義務付け決定にあたっても強くその旨を主張していた。一方、遺伝子組換え農産物の生産者である農業関係者の中には、既に遺伝子組換え農産物の生産が広く普及している他国とは異なり、その導入の歴史が浅いことから、他国に遅れをとらないためにも遺伝子組換え技術の開発に積極的に取り組もうとしている者もいる。
その反対に、非遺伝子組換え農産物を生産し、将来的にこれらの農産物の需要が増大すると予想される、EU諸国や日本などへの供給者になるべきとの意見もある。
9.豪州、990809、GM食品表示義務拡大へ
8月3日、GM食品の表示に関するANZFSCの会議において、今年5月から施行された基準では除外されている実質的同等性のある食品も含めて、その旨表示することの義務づけが決定した。具体的表示方法等の詳細については、10月の会議で決められる予定である。
10.豪州、990514、GM食品基準が発効
5月13日より、ANZFAによる遺伝子組換え食品についての食品基準が発効となり、豪州国内で発売されるGM食品についてANZFAによる認証が必要となった。現在、除草剤耐性大豆や害虫耐性コーンなど5企業の20品種が認証申請されている。
11.豪州、990419、GMO技術に対する新たな取組み
オーストラリア穀物業界は、4月14日、西オーストラリア州パースで開催されていた穀物生産農家の団体であるオーストラリア穀物協議会(GCA)の年次総会「穀物週間」(Grain Week)の場において、オーストラリア小麦庁、連邦政府の研究開発機関であるCSIRO(連邦政府産業科学研究機構)および穀物関連の研究開発機関であるGRDC(穀物研究開発公社)という3つの機関の合弁により、新たに遺伝子組換え作物の研究開発などバイオテクノロジーの開発を行う「グレインジーン」を設立することを発表した。
この「グレインジーン」の設立は、オーストラリアが遺伝子組換え技術分野での特許をほとんど所有していない現状にかんがみ、このままでは世界の技術開発競争で遅れを取り、将来リスクにさらされかねないことを懸念していたオーストラリア穀物産業界が、オーストラリア人の主導によるオーストラリアのための技術開発を行うことを目指したものである。
12.豪州、990305、遺伝子組換え食品の認可の動向
保健省の食品安全性の監督機関、豪州・ニュージーランド食品局(ANZFA)はラウンドアップ種大豆とインガード種綿実の2種に対して、人体への影響や安全性の懸念はないとする安全性の評価を下した。同大豆は除草剤耐性、綿実は害虫耐性で遺伝子操作がなされており、従来の食品と成分、味、色、栄養学的な価値において変化はないという実質的同等性(substantially equivalent)も証明された。遺伝子組換え原料を使用した加工食品にはその明示が本年5月から義務づけられるが、実質的同等性が証明された場合にはこの制約を受けない。
13.豪州、990205、日本への非遺伝子組換え穀物供給を検討
クーイーンズランド州の穀物集荷企業であるGrainco Australiaは、他の国内企業とともに、日本市場の非遺伝子組換え作物の需要に応える方法を検討、テストを開始した。このきっかけとなったのは、昨年末、同社の専務理事ら一行が主に大麦とソルガムの売り込み交渉のために訪日した際、日本には遺伝子組換え作物の摂取を懸念している健康指向の強い消費者の要望があることを知ったことにある。
14.豪州、990105、遺伝子組換え食品の表示規則を導入
政府機関は、98年12月17日、遺伝子組換え技術を使用した食品に、その表示の添付を義務づける決定をした。国内消費者協会はこの決定を歓迎しているが、食品会社や農業者団体は、管理が困難な上に意味の薄い規則であり、将来の食品貿易に影響が出ると批判している。
ニュージーランド
15.NZ、010115、GM食品の新表示規則を巡る動き
ニュージーランドの食品企業は、遺伝子組換え製品に関する政府の新規立法措置に備えて、自社製品に対策を講じていると伝えられている。新規則では、0.1%以上の遺伝子組換え原料を含むすべての製品に表示が義務付けられることになっている。
遺伝子組換えに関する王立委員会(the Royal Commission on Genetic Modification)では食品、家畜、および作物の遺伝子実験を通じてGM問題の研究を行っている。同委員会の研究結果は、2001年6月に政府に報告される見通しである。
16.NZ、000815、GM食品の表示基準を設定
ニュージーランドの厚生相は、オーストラリアの厚生相と共同で設定したGM(遺伝子組換え)食品に関する表示基準に、下限値ゼロ(少量でも遺伝子組換え作物を含有する食品にはすベて表示を義務付けること)の採用を決定した。しかし、料理店や喫茶店で提供する食品、多数の食品添加物および食品加工用の補助原料に関しては、表示義務付けが免除される見通しである。
17.NZ、000505、GMOに関する調査委員会を設置
4月17日にニュージーランドの環境相(Minister for the Environment)は、同国でGM(遺伝子組換え)に関する王立調査委員会を設置すると発表した。同委員会の調査項目は以下の通りである。
1)ニュージーランド国内において遺伝子組換え技術および組換え作物が、どの地域で、いかなる方法および目的をもって使用されているのか。
2)遺伝子組換え技術および遺伝子組換え作物・農産物が使用された証拠を、どの程度の確率で突き止められるのか。
3)遺伝子組換え技術および農産物を利用する場合と利用しない場合で、それぞれどのようなリスクと利益があるのか。
4)ワイタンギ条約(Treaty of Waitangi、ニュージーランドの建国基本法)に基づく政府の責任と遺伝子組換えとの関連はどのようなものか。
5)遺伝子組換えに関してニュージーランドはいかなる国際法上の義務に直面するのか。
18.NZ、990615、遺伝子組換え食品の動向
ニュージーランドでは、新たな法規の制定により、遺伝子組換え食品の価格が上昇する可能性が出てきている。しかし、一部の企業は、値上げをおこなわず、コストを自ら負担すると言っている。これまでに5つの企業から20の認可申請がなされており、それにより、現在市場に出回っているおよそ500の遺伝子組換え食品がその対象となると考えられている。一方、各種消費者団体は、各地のスーパーマーケットに対し、遺伝子組換え原材料を使用した食品を置かないように求めている。
19.NZ、990415、GMO食品に関する法律制定
ニュージーランド食品基準委員会(the New Zealand Food Standards Council)の発表によると、5月13日付で新しい法律が発効し、現在ニュージーランド国内で販売されているGMOの大半が違法になる。新法のもとでは、、オーストラリアおよびニュージーランドの食品当局による審査で安全とされたものでない限り、遺伝子技術を用いて生産された食品の販売はすべて非合法とされる。これまでのところ市場に出ている約500種の遺伝子組換え製品のうち、安全と評価されたのは2種類だけである。5月13日の最終期限までに全食品を評価するだけの財源が当局にはないことが懸念されるため、食品基準委員会では、予定された食品規制の実施を14カ月も遅らせることを検討している。認可を得た2つの製品とは、トウモロコシの種子と大豆である。
20.NZ、980315、遺伝子組換食品のラベル表示問題
食品製造業者と食品安全性提唱者の双方から出ている議論を検討し、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局は、遺伝子組換食品を含む食料品は必ずしもすべてについて表示をする必要はないと発表した。遺伝子操作技術を使って大きく改変されている食品のみ、その表示をしなければならない。
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