1.中国、010301、遺伝子組換え食品表示の制度化に関する動向
香港特別行政区政府環境食物局は2月26日、遺伝子組換え食品の表示義務化に向けた公聴諮問文書を発表、市民からの幅広い意見を募ることを発表した。この文書は食物環境衛生署、民政事務総署の各地区事務所で配布され、また翌日からはインターネット上でも公開されている(http://www.info.gov.hk/efb/front.html)。
2.韓国、000901、増えるGM大豆の輸入
遺伝子組替え食品に新たにラベル表示が求められるようになったにもかかわらず、遺伝子組換え穀物の韓国への輸入は減少しそうにない。ある種の団体(KFEM、AFMCなど)は、消費者の不安に応えて、すべての遺伝子組替え食品へのラベル表示を求める陳情運動を行い、穀物の買い入れを、遺伝子組替えを施していない通常の大豆に限っている。
国営の農漁業販売公社(Agricultural and Fishery Marketing Corporation - AFMC)は、消費者の健康への関心が高まっていることを理由に、来年輸入する食用の大豆はすべて、非遺伝子組換えのものにすると報告している。AFMCは、年平均27万5,000トンの食用大豆を主として米国から輸入しているが、米国が遺伝子組替え大豆と通常の大豆の分離要求に従わない場合は、輸入先を他に求めることを明らかにした。
3.韓国、000701、国内でのGM食品論争
韓国政府は先日消費者を対象として、GM作物であるラウンドアップ・レディ大豆安全宣言を出した。この大豆は米国のモンサント社(Monsanto Co)の製品であり、特別処理された酵素を大豆に注入して農薬に対する耐性を高めている。GM大豆は韓国の大豆市場において20〜30%を占めるにもかかわらず、GMO(遺伝子組み換え作物)がKDFA(韓国の食品安全当局)によって公式に安全と認定されたのは今回が初めてである。
4.韓国、000517、GMO食品の表示基準を制定へ
韓国食品医薬品安全庁は、消費者に遺伝子組換え食品に関する正しい情報を提供するべく、遺伝子組換え食品の表示基準を制定するため、4月10日に表示基準案を作成した。関係者からのコメントを踏まえ、7月12日から施行する予定である。
5.韓国、000401、GM作物の表示制度
韓国では2001年3月までに特定のGM(遺伝子組換え)作物に関して表示義務付け制度を実施する計画である。これを受けて、農水産物流通公社では非GM大豆の入札を公示した。また、市民団体はGMO(遺伝子組換え作物)に対する製品不買運動(ボイコット)を計画している。
6.韓国、000125、GMO作物の表示案を作成
韓国農林部は農林部公告第1999−113号で、7条から成る遺伝子組換え農産物の表示要領案を発表した。この表示要領案は農水産物品質管理法施行令第26条および27条の規定により、遺伝子組換え農産物の表示対象品目、表示基準および表示方法等を規定することを目的としている。対象となる農産物は未加工の大豆、大豆モヤシ、トウモロコシの3品目である。
7.韓国、000101、GMO作物の輸入に難問
韓国では最近、遺伝子組換え食品の表示制度に関する論議の中で、GMOを含んでいる輸入作物を実際に分離して扱う可能性が浮上している。現在、業界からはGMOと非GMOの輸入作物は別々に取り扱うべきとの要求が出されている。また、遺伝子組換え食品の検査の重要性も論議の的となっている。
8.韓国、991201、GMO食品に関する委員会を設置
韓国で99年7月1日に制定された、GMO表示の規定を含む農業漁業品質管理法(the Agro Fisheries Quality Management Act )の施行にあたって、KFDAは新たに委員会を創設した。この新しい委員会は、GMOを含む食品の表示条件に関する問題を担当する。委員会は、学会、産業界、消費者団体および政府機関の代表者25名で構成される。同委員会の主たる任務は、消費者に食品の内容を知らせるための表示制度を実施する際に必要とされる具体的な基準について討議を行うことである。
タイ
9.タイ、001215、GMO論争での消費者団体の不満
最近のタイ国内におけるGMO(遺伝子組換え作物)論争の中で、いくつかの消費者団体および農家利益団体は、政府がGMO問題に十分な注意を払っていない点を批判している。これに対して政府代表者の多くは、GMO製品が国民の健康や環境に対する脅威になると決めつける前に、追加的な製品検査を実施する必要があると主張している。
10.タイ、000403、バイオテクノロジー研究の状況
タイにおけるバイオテクノロジー研究は国立遺伝子工学センター(BIOTEC)や大学が中心となり進められている。特に、BIOTECは遺伝子工学の中心的な研究機関であるとともに、GMO政策に関しても重要な役割を果たしている。
植物に関しては主に農業利用を目的に研究が進められており、ウイルス抵抗性を付与したトウガラシ、トマト、パパイヤ、綿、コメなどの遺伝子組換え体が開発されている。しかし、これらは試験レベルであり商業的生産は行われていない。これらの研究のほとんどは、カセサート大学構内に設置された、BIOTECが運営する植物遺伝子工学研究ユニット(PLANT GENETIC ENGINEERING UNIT)で実施されている。タイ政府は商業目的でのGMOの生産を禁止しているが、現在16種類の植物に対する安全性試験が行われている。
11.タイ、991115、遺伝子組換え作物に関する政策
タイの国際経済政策委員会(International Economic Policy Committee)は10月、商業的栽培用に遺伝子組換え作物(GMO)を輸入することを一部禁止すると発表した。しかし、GMO加工製品に加え、研究向けや家畜飼料生産用、加工用の輸入は引き続き認められる。この禁止措置はGMの安全性が科学的に証明されるまで続く。タイの農業省(Agriculture Department)は、1964年植物検疫法を施行することにより、今回の禁止措置を講じる方針である。この法律は、トウモロコシや大豆を含むGM製品40種類の輸入を禁止している。
12.タイ、991018、進む遺伝子組換え農産物への対応
現地報道(ロイター通信、POST紙など)によると、欧州連合(EU)の精米業者組合は、タイの輸出業者に対し、遺伝子組換え作物が混入しているコメは受け取りを拒否する可能性があると警告している。また、遺伝子組換えされた大豆が混入しているとして、タイの食品加工会社の製品がドイツ輸入業者から受け取りを拒否された。ただし、この食品加工会社は、遺伝子組換え大豆の混入を否定している。
このような状況の中で、食品輸出業者は国立の研究機関(The National Centre for Genetic Engineering and Biotechnology)に食品サンプルを持ち込み、遺伝子組換え農産物が混入していないことの証明を依頼したり、大豆やトウモロコシなどの非遺伝子組換えの農産物の原料調達などに取り組んでいる(タイでは、大豆の供給の大半は輸入に頼っており、そのうち約6割が遺伝子組換え作物の多い米国からの輸入となっている)。
13.タイ、991015、高まる非GMO飼料用穀物の需要
遺伝子組換え生物(GMO)を含有するタイ産輸出品に一部の欧州諸国が強い抵抗を示しているため、タイの家畜用飼料業界および畜産業界は非GM穀物の争奪戦を繰り広げている。現在タイ市場が大豆や大豆粉、トウモロコシなど飼料用原料の輸入を増やそうとしている相手国はブラジルである。
EUは、鶏肉やオイル漬けツナの缶詰、エビなどタイ産食品にとって重要な市場である。一部のEU諸国がタイ産鶏肉の輸入を削減しているが、その理由はGMO問題に対する懸念とラベル表示制度が整っていないことである。タイは、GMO技術を使う諸国から年間何百万トンもの家畜用飼料の原料を輸入している。
フィリピン
14.フィリピン、010415、GMOの実地試験を望む声
フィリピンでは国内の科学者がグロリア・マカパガル−アロヨ(Gloria Macapagal-Arroyo)大統領に対して、GMO問題に対する政策姿勢を見直すよう進言している。同大統領は今年3月に出した声明の中で、遺伝子組換え作物(genetically modified organisms−GMO)の実地試験に反対する立場を表明している。これに対して同国の農薬企業および科学者は、引き続き実験を支持するよう大統領を説得している。これらの勢力は、実地試験によってフィリピン国内の栄養、健康、および食品品質の向上においてGMOが果たす役割に加え、および農業生産における遺伝子組換え技術の有用性も調査可能であると主張している。すでに同国ではGMOに関する実験を規定するガイドラインが発効しているが、現在までに病害虫に耐性のある遺伝子組換えトウモロコシの実地試験の許可を受けている企業はわずか2社のみである。
15.フィリピン、010323、Btコーンの試験栽培をめぐる動向
世界的に遺伝子組換え作物の安全性が論議されている中、フィリピンでは米国系の種子会社2社がバイオテクノロジーにより遺伝子を組み換えたトウモロコシ(Btコーン)の大がかりな試験栽培に乗り出す。トウモロコシはコメと並ぶ基幹穀物でありながら、フィリピンでは生産性が上がらず近年輸入依存率を高めている。このため主産地のミンダナオ地方では、Btコーンを早期に導入して増産体制の確立を急ごうとする地元の自治体や生産者団体などと、安全性を疑問視する環境保護団体などとが対立、当該企業を巻き込み事態は紛糾している。
ミンダナオ地方でのトウモロコシの単収は1ヘクタール当たり1トン台に低迷し、国際水準といわれる3トン台には遠く及ばない。フィリピンでは年間2%を超す人口の伸びに食糧供給が追いつかず、トウモロコシも年々、輸入増の傾向にある。このため、最大産地の南コタバト州などの関係者は「バクテリアの遺伝子が組み込まれ害虫への耐性が強いBtコーンは、イエローコーンの場合、単収は4トン台まで向上する」と期待している。
16.フィリピン、990915、GMトウモロコシの試験
フィリピンは多国籍アグリビジネス企業が遺伝子組換えトウモロコシの圃場試験を実施することを認めた。しかし、アグリビジネス企業は、自社が行う試験により環境を破壊した場合、民法および刑事法に基づく制裁措置を受けることになる。
インドネシア
17.インドネシア、010315、遺伝形質転換作物への懸念
情報筋によると、インドネシアでは2月に議会を通過した農業省(the Ministry of Agriculture)の新環境法案に対して、多くの環境保護団体の指導者が訴訟の準備に入っている。一方で業界の指導者は、新法がインドネシア国内における遺伝子組換え綿花の生産を可能にすることで、同国の消費者および環境に被害が出る可能性があると述べている。さらに業界では、遺伝形質転換作物(transgenic crops)の安全性に関する政府の主張を裏付ける科学的な根拠はまったく示されていないと主張している。また業界指導者は、政府が現行の多数の環境基準規則に違反している点を非難している。
インドネシアで形質転換綿花を栽培している7つの地域の中で、栽培に関する情報を公開しているのは2地域のみであるとしている。この2地域における遺伝形質転換綿花の作付許可面積は500ヘクタールと推定されている。
18.台湾、010401、遺伝子組み換え食品に関する新規則
台湾保健省(the Taiwan Department of Health)は、遺伝子組み換え食品の表示および登録に関する新規則を公表した。情報筋によると、最初の段階では、この規則は台湾で市販が予定される大豆、トウモロコシ、および関連製品にのみ適用されるとのことである。新規則には、遺伝子組み換えの大豆またはトウモロコシを原料として製品重量の5%以上含む、すべての食品に対する表示の義務付けが盛り込まれている。表示規則は2003年1月1日をもって発効する予定であり、その対象は加工食品、調理済み食品、パッケージ食品、および輸出入品とされている。
19.台湾、001201、スターリンク論争に対する台湾の反応
台湾の穀物輸入業者は、最近、「スターリンク(遺伝子組替えトウモロコシの商品名)」が物議をかもしているにもかかわらず、米国産トウモロコシの輸入を継続する予定である。日本の輸入業者が米国産トウモロコシの輸入を事実上停止することを決めたのに対し、台湾の主要輸入業者は、これまでどおり現在取り引きのある米国の供給業者との関係を維持するつもりであると発表した。台湾当局は、スターリンクに対する調査を開始したが、現在のところ、遺伝子組替え農産物に対する特定の規制を確立するには至っていない。
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