ワークショップ-2:モンスーンアジアにおける持続的農業の展望:生物多様性に配慮した農法と景観管理

日程:
8月27日(木)10:00~17:00
会場:
つくば国際会議場 中会議室 202A

開催趣旨

 生物多様性条約「愛知目標」において、2020年までに農林水産業の行われる地域が生物多様性の保全を確保するよう持続的に管理されることが目標とされた。 これに対し、2014年10月に地球規模生物多様性概況第4版(GBO4)が公表され、「愛知目標」の達成見込みが評価された。農業に関しては、有機認証や環境保全型農業の増加など、 一定の改善を認めながらも、持続的ではない慣行農法が依然として重大な環境の劣化や生物多様性の損失を引き起こしていると評価された。 農業は、本来、自然の恵みである生態系サービスを享受する生産活動である。しかし、生物多様性の損失に伴い、農業の基盤となる生態系サービスの劣化も懸念されている。
 環境保全型農業(有機栽培や減農薬栽培)は持続的ではあるものの、その収量が目標水準より低下すると、目標収量を獲得するために新たな農地開発が必要となり、 生物多様性の損失につながる問題が指摘されている。一方、農地の生物多様性には農地周辺の景観構造が強く影響することも指摘されている。 例えば、一般的に景観構造がモザイク的であるほど、野生生物が増加する。したがって、景観構造に基づく栽培地域の選定や適切な景観管理によって、農地の生物多様性を向上させることが期待できる。 これらの点を踏まえると、景観構造の地域性を考慮するとともに、適切な景観管理を実現することで、環境保全型農業の生物保全機能を向上させることが期待できる。
 そこで本ワークショップでは、国内外における農業と生物多様性の両立を目指すさまざまな取り組みの例や、環境保全型農法や景観構造の生物多様性保全効果を検証した研究例を報告し、 それらの比較から、アジアモンスーン地域における生物多様性保全の実現に向けた持続的農業のあり方について検討を行う。

コンビーナー

安田 耕司(農環研)
池田 浩明 (農環研)

プログラム (講演タイトルをクリックするとPDFファイルをダウンロードできます)

  1. 基調講演
    座長 時間 講演内容 講演者  所属 
    小沼 明弘 (農環研) 10:00-11:00 Regional Riceイニシアティブ (FAO):アジアの水稲生産に由来する多様なサービスと価値の持続的管理 [PDF] [図表] [PDF] Alma Linda M Abubakar FAO
    Jan Willem Ketelaar FAO
    Naoki Minamiguchi FAO
    11:00-11:50 農業景観における生物多様性保全の二つの価値 [PDF] [図表] [PDF] 宮下 直, 筒井優 東京大学
  2. 昼食    11:50-13:20
  3. 国別報告
    座長 時間 講演内容 講演者  所属 
    楠本 良延 (農環研) 13:20-14:00 日本の水田生態系における環境保全型農法とマルチスケールの環境要因が広食性捕食者に及ぼす影響 [PDF] 馬場 友希 農環研
    14:00-14:40 韓国における生物多様性増強のための水田生態系の管理と復元に関する研究の最前線 [PDF] [図表] [PDF] Myung-Hyun Kim 韓国・国立農業科学院
    L.J. Choi 韓国・国立農業科学院
    S.K. Choi 韓国・国立農業科学院
    J.U. Eo 韓国・国立農業科学院
    M.S. Han 韓国・国立農業科学院
    H.S. Bang 韓国・国立農業科学院
  4. 休憩    14:40-15:10
  5. 国別報告
    座長 時間 講演内容 講演者  所属 
    大久保 悟 (農環研) 15:10-15:50 中国における生物多様性保全と持続的農業生産のための景観管理のあり方 [PDF] [図表] [PDF] Yunhui Liu 中国農業大学
    15:50-16:30 ベトナムにおける自然環境配慮型農業 [PDF] [図表] [PDF] Ho Thi Thu Giang ベトナム国家農業大学
  6. 総合討論   16:30-17:00(座長:安田耕司・池田浩明(農環研))

▲ページの先頭へ戻る