Q&A
講演タイトル |
これ以上外来植物を侵入させないために、侵入経路を調べる |
講演者 |
黒川俊二(畜産草地研究所) |
Q1.
アレチウリやワルナスビの種子の分散のタイプは、どういうタイプなのでしょうか。
A1.
まず増殖のしかたですが、アレチウリは主に種子で増えます。これに対して、ワルナスビは種子と根(栄養繁殖器官)の両方で増えることができます。今のところ、ワルナスビは主に根を中心に増殖していると考えています。ただし、最初の侵入は種子経由だったと考えています。種子の分散のタイプですが、アレチウリの場合にはトゲがあるので動物などに付着して分散する可能性もあると思います。また、水系を伝って分散するという説もあります。ワルナスビの場合には、動物がワルナスビの果実を食べることによって種子が分散されているようです。原産地では、ワルナスビを食べる動物がいて、その動物が食べることによってはじめて種子が発芽能力を獲得するという状況もあるようです。ただし、日本ではワルナスビの種子を散布する動物がいるかどうかはまだ分かっていません。鳥が食べている可能性もあると考えて観察はしているのですが、今のところ食べる様子はまだ観察されていません。
Q2.
外来植物の侵入経路が明らかになった場合、その侵入経路を遮断する技術は既に確立されているのでしょうか。
A2.
最も効果的な侵入経路の遮断とは、例えば輸入穀物に混入している外来植物の種子の場合では、この外来植物の種子が混入した穀物を国内に輸入しないことです。しかし、輸入穀物を餌として利用している畜産業では、現実には外来植物の種子が入っていない穀物を輸入しようとするとそこに大きな経費がかかってしまい、経営が成り立たなくなってしまいます。しかし、侵入経路が畜産業経由と特定できていれば、家畜排せつ物をきちんと堆肥化処理し高温処理を施すことで種子を死滅させることもできます。ワルナスビについては、街路樹などの植え込みで生育していることもあることから、恐らく苗木の苗圃に有機物が投入される時に一緒にワルナスビの種子も混入してきている可能性が考えられます。ハコベホオズキも同じような経路で広がった可能性があります。もしも、植え込み苗の産地などで外来植物が多いという情報をお持ちでしたら、是非とも情報提供をお願いします。
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