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第2回 公開セミナー 「外来植物のリスクを調べて、その蔓延を防止する」
開催趣旨 プログラム 交通案内 プログラム

Q&A

講演タイトル 外来植物のリスクを評価する日本型雑草リスク評価法を開発する
講演者 西田智子(畜産草地研究所)

Q1.

オーストラリアのモデルを一部改変したリスク評価モデルを開発しているようですが、これによると既に日本に入っている多くの植物も国内への輸入が禁止されるべき植物となってしまうようです。これらの植物は、地域によっては農業や環境保全に役立っているものもあると思いますが、ほんとうに危険と判断しても良いのでしょうか。

A1.

私たちが開発しているリスク評価法は、あくまで日本にはまだ入って来ていない植物を対象にしています。そして、この評価法が妥当であるかどうかを判断するために、日本に既に定着している植物の雑草性や蔓延特性などを基準にしました。ですから、この評価法は既に日本に侵入・定着している植物について善悪を決めるものではありません。また、このリスク評価法は外来植物が侵入する場を日本国内の特定の場所と決めていません。地域性を考慮する必要がある場合には、より詳細な情報を取り入れることにより適用できるようになるでしょう。

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Q2.

河川敷に生えているアレチウリは特定外来生物に指定されており、問題も大きいのだとは思いますが、例えば今は河川敷も護岸工事が十分に施されていて、そのために河川のかく乱が減り、結果的に河川敷が本来提供してきた生息環境が減ってしまったようにも思います。これが、多くの河川敷に生息する植物が絶滅しかけている原因となっていないでしょうか。絶滅しそうな昆虫が河川敷で外来植物であるアレチウリに訪花している様子を見たこともあります。アレチウリもよくないと思いますが、根本の原因についても見直す必要があるのではないでしょうか。

A2.

ご指摘の点は非常に大切なことだと思います。今後、このような視点もリスク評価を行っていくうえでは非常に重要になってくるとは思いますが、現段階ではそこまで考慮できていないのが現状です。

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Q3.

このリスク評価は、非意図的に導入される外来植物に対しても評価可能でしょうか。また、評価したことによる効果は現れるでしょうか。

A3.

非意図的に導入される外来植物についても、その植物種自体の評価は可能です。ただし、ご指摘の通り、意図的に導入される外来植物を阻止することよりはずっと難しくなりますし、コストもかかってくることと思います。この非意図的に導入される外来植物を排除するためには、コストがいくらかかるかという点に加えて、リスク−ベネフィット(利点)分析や、防除に当たっては広くコンセンサスを得る必要があるでしょう。

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Q4.

外来植物のリスク評価では、現在は輸入禁止リストを作成しているとのお話でしたが、今後は輸入許可リストを作成するようなことは考えているでしょうか。輸入許可リストが作成されれば、リストに挙げられた外来植物の情報や危険性の評価、およびその防止や対策も考えやすくなるのではないでしょうか。

A4.

輸入禁止種を挙げる方式は一般にホワイトリスト方式と言われており、輸入許可種を挙げるブラックリスト方式よりも優れているのではないかと最近は指摘されています。どちらの方式を採るかを決めるのは、わたしたちではなく行政関係の方々の判断です。現在のところ、環境省が採用しているのは輸入禁止種を挙げるブラックリスト方式です。これをホワイトリスト方式に移行させるのは短時間では難しいと思いますが、研究が進展して多くの知見が蓄積すれば、行政側の判断もそれに応える形になっていくものと思います。

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Q5.

最近、急傾斜カンキツ園の雑草を抑制するために、カバープランツとして雪印種苗等から販売されている北米原産のヒルガオ科アオイゴケ属の「ダイカンドラ」の草生栽培を試験しています。現在、ダイカンドラは特定外来生物には指定されていないようですが、今後有害な特定外来生物として指定されないようにするためには、どのような点に留意する必要があるでしょうか。

A5.

ダイカンドラは確かにカバープランツとして非常に優れた特性を持っています。しかし、雑草化する危険性も持っています。ですから、雑草リスクアセスメントで評価した結果、もしも危険性が高いと判断されたなら、無理に使わない方が良いでしょう。ただし、ダイカンドラを使わなければ急傾斜カンキツ園の雑草防除ができないと判断されれば、一方的に使用を禁止することはできません。これは、この外来生物法は全ての人の合意のもとに法律が実施されることが前提となっているからです。どの植物を特定外来生物に指定するかは、専門家の意見を聞くことにはなっていますが、社会的・経済的な影響が大きい種については、産業界の方々や一般家庭の皆さんの意見も十分に配慮するよう、この法律はできています。

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Q6.

アゾラ・クリスタータ(アカウキクサ、Azolla cristata)が特定外来生物に指定された背景を教えてください。

A6.

アカウキクサ属植物のうちオオアカウキクサ節の分類には諸説があり混乱していましたが、2005年3月に Azolla microphylla、 A. mexicana、A. caroliniana を統合してAzolla cristata(アゾラ・クリスタータ)とすることが提案されています。外来生物法では、旧分類の A. microphylla、 A. mexicana、A. caroliniana を含む A. cristata (アゾラ・クリスタータ)を規制の対象としています。アゾラ・クリスタータはアイガモ農法と共に使われることが多いので、近年急激に増えたと思われます。アゾラ・クリスタータは、空中の窒素固定をする能力があるため肥料にもなるし、アイガモのエサにもなります。従って、イネは肥料成分を得て大きくなるし、アイガモの肉は取れるし、除草もできるので、アイガモ農法は普及していました。しかし、アカウキクサ属植物は日本にも2種存在しており(アカウキクサ A. imbricata とオオアカウキクサ A.japonica )、その2種ともが絶滅危惧植物にリストアップされています。これらの在来のアカウキクサ属植物はアゾラ・クリスタータと交配することができ、雑種を形成することにより在来アカウキクサ属植物の遺伝的攪乱が危惧されています。このため、外来種であるアゾラ・クリスタータは規制の対象となりました。現在アイガモ農法では、アゾラ・クリスタータの代わりに別のアカウキクサ属植物を使用しているようです。

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主催:独立行政法人 農業環境技術研究所