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第2回 公開セミナー 「外来植物のリスクを調べて、その蔓延を防止する」
開催趣旨 プログラム 交通案内 プログラム

Q&A

講演タイトル 現在日本に侵入して蔓延している外来植物を防除する技術を開発する
講演者 村岡哲郎(日本植物調節剤研究協会研究所)

Q1.

2006年5月から、残留農薬の規制が厳しくなると聞いています。また、除草剤の使用にあたっては、人体や環境に対する影響を心配する必要はないでしょうか。

A1.

残留農薬の規制が厳しくなるというお話は、その除草剤を使ってもいいと許可された作物について、その作物体内にどの程度除草剤が残留していてもよいかという基準のお話です。これまでは登録のない作物については残留基準が無かったのですが、これからは登録のない作物についても0.01ppm以下という残留基準が適用されます。例えば外来植物の防除にグリホサート剤を使った場合、周りにグリホサート剤に対する登録がない作物があった場合、なるべく作物にグリホサート剤がかからない方法で散布すれば良いのです。人間や環境への影響は、例えば河川敷で除草剤を使った場合には、水道水に求められている目標値があります。グリホサート剤は人体に対する安全性がもともと高いので、2ppmが目標になっています。私たちが調べたところによると、川の近くでグリホサート剤を使っても川に流出する可能性はほとんどありません。川の中に直接散布すれば検出される可能性はありますが、そのようなことはほとんど起こらないはずです。これは、グリホサートは非常に土にくっつきやすいためで、現実には目標値よりも低い濃度でしか検出されないと思われます。

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Q2.

外来植物であるニセアカシアは環境修復機能を持った植物といわれていますが、現在ではやっかいな外来種と位置づけられ、伐採が推奨されています。このようにしてニセアカシアが伐採されていくのは問題があるのではないでしょうか。

A2.

河川敷のように水の流れのある場所では、我々人間によってコントロールできないほど蔓延する外来植物もあり、これを防除するには大きな費用がかさむ場合があります。ニセアカシアの場合、河川敷に侵入すると、日本固有の河川敷植物の生育環境を奪うような現象も観察されています。このような場合にはどんな防除方法があるのかを、このプロジェクトでは明らかにしていきたいと思っています。除草剤の使用もその防除方法の一つですが、生態系に悪影響を及ぼさないことが条件になります。今後、このプロジェクトでは、生態系に悪影響が及ばないような除草剤の使用方法について提言していきます。誤解していただきたくないのは、私たちは全てのニセアカシアが悪いと結論付けているわけではないということです。河川敷に侵入・蔓延しているニセアカシアについては問題が指摘されていることから、あくまでもモデル植物として防除試験を行っています。

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Q3.

ニセアカシアの防除に関して、最近の情勢を教えてください(平成18年3月現在)。

A3.

長野県では養蜂協会が長野県知事に対して、ニセアカシアを特定外来生物に指定しないように国に働きかけてほしい、ニセアカシアの伐採をしないでほしい、伐採する計画があるならば事前に養蜂協会に知らせて欲しいなど、いくつかの項目について要望書を出すようです。ニセアカシアは重要な蜜源となっており産業と密接に関係していることから、ニセアカシアが特定外来生物に指定されるかどうかは、とても神経質な状況になっています。
ニセアカシアは、日本ではかなり広い面積にわたって侵入・分布拡大しており、問題の大きい侵略的外来植物としての一面も持っています。そのため、必要に応じてニセアカシアの駆除を進めるべきとの声も大きいのも事実です。しかし、ニセアカシアを拙速に特定外来生物に指定して全国一律に排除しようとするのは、養蜂産業が既に存在しているため、良い選択肢とは言えないでしょう。例えば、養蜂業を営むためのニセアカシア林の場所を指定してもらい、その場所ではニセアカシアをしっかり管理し、かつその場所から周辺に分布を広げないような駆除活動もある程度養蜂業の方々に協力していただければ、合意形成ができるかもしれません。

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Q4.

除草剤・グリホサートを使った雑草防除法について教えてください。

A4.

グリホサートは、散布によって薬剤が葉や茎に付着した植物に対してのみ効果が発揮されます。夏冬を問わず、イネ科、広葉、1年性、多年性と幅広い植物に対して効果があります。ただし、土壌に落ちたグリホサートはすぐに不活性化され、除草効果は無くなります。ですから、グリホサート散布時にまだ芽を出していない植物に対しては効果はありません。

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主催:独立行政法人 農業環境技術研究所