Q&A
講演タイトル |
アレロパシーの強い外来植物、および有毒成分を含む外来植物 |
講演者 |
藤井義晴(農業環境技術研究所) |
Q1.
ニセアカシアの場合、とげがあるものを言っているのですか。とげがないものは関係ないのですか。農林省の四国農業試験場の松本先生だと思うのですが、昭和25年に四国中にとげなしニセアカシアを普及させ、それがたくさん残っているのです。
A1.
検定しているのは、ほとんどとげがあるほうのニセアカシア、ハリエンジュです。とげの有無は変種で、恐らく成分的にはあまり変わらないと思うのですが、その話は知らなかったので調べてみます。
  
Q2.
定量的でなく定性的でもいいのですが、形態学的な分類学上でアレロパシーの相対的な比較はできるのですか。私が気になっているのは、ある公園の小さな池に、半分はスイレンが密生し、半分はヒシで、当然ヒシは動きますが一緒になることはほとんどないのです。素人感覚ではヒシのほうがアレロパシーは強いと思うのですが、スイレンのほうがが強いのか。形態学的に外観上で評価できるものはないのですか。
A2.
非常に面白いご指摘で、ヒシは私どもの検定では強い部類に入りますが、スイレンもやってみたいと思います。植物の場合、なかなか相手を本当にやっつけている現象を見ることは難しいのですが、微生物の場合はアバージョン(aversion)といって、一緒に培養しておくと相手のものをやっつけていってテリトリーを広げるという現象は、よくシャーレの上で見られます。アフリカではアジャップという毒の木がどんどんテリトリーを広げて増えていくといった話もあります。アメリカでもサルビア現象といって、サルビアの木の周りには草が生えず、裸の土地ができるという話もあります。水生植物でというのは非常に面白い現象なので、せひ検討してみたいと思います。
  
Q3.
強いものだけでなく、どんな草でも大なり小なりアレロパシーを持っているのか。また、いろいろな植物が群生する場合、アレロパシーを出してほかの植物を抑えながら自分の仲間の成長も促進することがあるのかどうか。事例があれば教えてください。
A3.
例えばステビアという甘味料に使われる植物の成分は、薄めていくと促進活性があるので、それを使っての作物の増収などが考えられます。ただ、濃くすると阻害が表れてきます。
それから、確かにある植物が大群落を作る場合、ほかの植物に対しては毒となるけれど自分自身には全く影響しないというケースもありますが、アメリカのゴムタンポポのように、だんだん真ん中の成育が悪くなって自分自身がやられてしまう自家中毒の事例もあります。確かに非常に面白い現象で、これから解明されていくと思います。
  
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