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外来植物のリスクを調べて、その蔓延を防止する
開催趣旨 プログラム 交通案内 プロジェクト

■Q&A

講演タイトル これ以上外来植物を侵入させない
− 侵入経路を調べて遮断する −
講演者 仙田貴之(畜産草地研究所)

Q1.

侵略的な外来植物の侵入を初期段階で検知するとのことですが、現状ではどこまで検知されているのでしょうか。

A1.

日本には年間20〜30種の外来植物が新たに入ってきているようですが、その情報を統一的に取りまとめていくシステムはまだありません。帰化植物や外来植物は非常に広範囲に動きますので、どこに何が来たか、どんな状態で生えているか,といった情報をできるだけ早く交換することが重要と考えて、ここ3年ほどは農林水産省のメーリングリスト(naturplant)を利用して、植物分類学者の方から一般のご家庭の方々や学生さんまで含めて情報交換をしています。現在、北海道から沖縄まで約450名の方々が加入しており、2900通ほどの情報を交換しています。
また,初期の侵入をいち早く確認するためには、侵入危惧雑草種の情報を発信して発見しやすくするとともに、日本の植物分布情報の整理を行う必要があるでしょう。本プロジェクトでは、侵入リスクの高い植物の摘出を進めるとともに、外来植物の分布の変化がわかるような分布情報の整理を行う予定です。

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Q2.

外来生物の侵入を防ぐためには侵入経路を調べる必要があるとのことですが、具体的にどこまで調べ,それをどうやって判断し、どういった形で防除態勢を作っていくのでしょうか。

A2.

蔓延しやすい外来植物とは,種子生産量が多い、ばらばらにちぎってもそこから再生してくるなど,特に繁殖力が高いことが一つの生態的特徴としてよく言われています。この繁殖特性に注目してまず対象植物を絞り込むのが、一つの重要な過程だと考えています。
次に、意図的に導入される外来植物に関しては、法律による規制を利用すれば,防除体勢作りは容易です。しかし、難しいのは非意図的に導入される外来植物の場合です。グローバル化が進んだ現代では、すべての輸出入物資に対して外来植物種子の混入をモニタリングすることは事実上不可能です。しかし、輸入穀物などへの種子混入は明らかであり、それらの対策は国家レベルで行う必要があるでしょう。そういった対策をすぐに行うことが困難であったとしても、例えば侵入経路が輸入穀物を介したものとわかっていれば、そこから入ってくる侵入危惧種を一次侵入地(飼料としての流通の場合ならば飼料畑など)でモニタリングし、早期発見・早期対策を講じることが重要であると考えています。また、すでに蔓延している外来植物に対しても、侵入経路は解明していく必要があるでしょう。侵入経路が解明されれば、何らかの対策を講ずることができると考えています。このプロジェクトでは、いくつかの外来植物を対象に絞って研究を行いますが、侵入経路を解明する先駆的な研究例となるように進めていこうと思っています。

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主催:独立行政法人 農業環境技術研究所