2015年4月現在

氏名

岩崎亘典  Iwasaki, Nobusuke

個人Web Site : http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/niwasaki/

所属・職名

生態系計測研究領域 主任研究員

現在の研究内容

農業環境の持つ機能一つとして,生物生息地としての独特な生物相を保全していることが評価されている。しかし,日本の農業環境は,生物生息地として二つの相反する問題を抱えている。一つは生息地としての質の劣化に伴う生物多様性の危機の問題であり,もう一つは近年になって生息域や生息数を拡大させている野生生物による農作物や人間に対する害の発生である。これらの問題は,野生生物の保護・保護と,被害の予防・管理という正反対に見える。しかし,これらの問題はともに,里地や里山と呼ばれる二次的自然に対する人間の働きかけが大きく変わったことにより,二次林やため池のなどの農業環境の構成要素の樹種構成や水質などの質的側面と,面積や近接する同じ土地利用までの距離などの空間的側面が変化したことが原因の一つと考えられる。

このような農業環境の空間構成要素の変化に関する研究は,燃料革命や化学肥料の普及などが生じた1960年代以降を中心に行われている。しかし,日本における農業の近代化は明治時代に急激に進み,購入肥料の消費量や,単位面積当たりの生産量,農業生産額が急激に上昇したことが知られており,これらの変化が起きる前の農業環境の空間構造の復元と,それ以降の時系列変化を明らかにすることが必要とされている。

そこで,これらの点を考慮して農業環境における野生生物の適切な管理と多様性の保全を行うために,明治時代初期に発行された迅速測図から現在までの様々な地図を,地理情報システム (Geographical Information System, GIS) を用いて比較し,過去100年以上にわたる農業環境の空間構造変動を定量的に明らかにする手法の開発を行っている。更にこれらの土地利用と肥料や薪炭材などの生産,消費量の関係を考察し,物質循環の視点から農業環境の持続性を評価することを目標とする。

そして,空間構成要素の変動により農業環境を生息地とする生物の種数や分布に与える影響を明らかにするとともに,野生生物の生息地として農業環境を評価するとともに,その持続的な管理方法を明らかにするため空間構造指標を開発することを目的とする。

また、これらの地理空間情報を広く利用できるようにするために、FOSS4Gを用いたWebGISの構築にも取り組んでいる。現在、歴史的農業環境閲覧システムを公開中である。

業績

(論文 査読有)

(論文 査読無)

(著書)

(資料)

(学会発表・過去5年間)