農業環境技術研究所 最終更新日: 2007年 7月18日 農環研NIAESロゴ
 7月のセミナー予定
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セミナー開催記録

領域横断セミナー
    日 時 : 7月6日(金) 15:30〜17:00
    場 所 : 4階会議室(453号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
根系形態・機能の改良を通したイネ有用品種育成の試み 犬飼 義明
(名古屋大学大学院 生命農学研究科 植物遺伝育種学研究分野)

838-8327
内   容
 人類は少なくとも1万年以上も前から野生植物を栽培化し、作物として改良してきた。この間、植物の持つ多様な形態とそれに伴う有用な形質が栽培種へ導入されてきた。その結果、現在の栽培作物はその祖先種と大きく形が異なっている。このような形態の改良は主として地上部諸形質において行われてきたが、根系形態・機能の改良はほとんど進んでいない。土壌環境中に存在する様々なストレス要因が作物の生産性に大きく影響するため、私たちは現在、根系形態・機能の遺伝的改良を通した有用品種育成を目指している。
 作物の生産性を向上させるには、その制限要因を正確に同定することが鍵である。生産にとって理想的な環境条件下では、その要因は植物内にあり、養水分供給やホルモン生産等の根の機能が地上部での物質生産機能を最大化する上で、律速要因になっている場合がある。一方、ほとんどの作物栽培現場では、環境側にその律速要因があり、多くは土壌(水、養分、生物性など)に関連しているので、根の機能が重要になってくる。しかも、それぞれの条件下で根系機能を最大化する形質が異なるという可能性を認識した上で、その形質を同定することがとりわけ重要である。これさえ正確に捉えることができれば、あとは、近年、猛烈なスピードで開発されている、遺伝解析の技術や材料を利用して、以前よりは格段に効率的に目的とする形質を具備した品種を育成することができる条件が整いつつある。具体的には、交雑育種を通した品種改良を行う上では、有用形質を支配する遺伝子を持つ系統をDNAマーカーにより選抜することが極めて効果的である。この場合、それら遺伝子の染色体座乗位置を特定することが必要不可欠である。
 そこで私たちはまず、イネを材料に、突然変異体と野生型間、あるいは亜種間や品種間における根系形態の差異を決定する遺伝子座の同定、および座乗位置の特定を試み、現在は発生や伸長速度、さらには伸長方向に関わる遺伝子の座乗候補領域が徐々に明らかになってきた。また一方で、対象とする作物を栽培する生態的条件下でもっとも高い機能を発揮する「理想的な根系」が具備すべき形質を明らかにすることを栽培試験により試みている。その結果、土壌環境に応答し根系形態を改変する能力が、その中でも最も重要なものの一つであることが明らかになってきた。さらに、この環境応答に関わる遺伝子の座乗位置に関する情報も徐々に得られつつある。
 このように、将来的には、これら以外のものも含めて、様々な優良根系形質を支配する遺伝子を交雑により組み合わせることにより、対象とする環境条件下で作物の生産性を最大化するような根系構造を自在にデザインし、制御しうる可能性が見えてきた。



土壌環境研究領域セミナー
平成19年度(第4回)
    日 時 : 7月12日() 16:00〜17:00
    場 所 : 4階会議室(453号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
Transformation of iodate in the presence of soil organic matter 山口 紀子 前島
838-8314
石川
838-8315
内   容
 To understand the fate of radioiodine in the terrestrial environment, it is important to elucidate the reaction pathways of iodine species in soil. Soil organic matter can act both as an electron donor and acceptor in the soil environment, providing binding sites for various iodine species. We investigated the transformation of iodate (IO3- ) incubated in soils of varying amounts of organic matter by using X-ray absorption near-edge structure. In the presence of soil organic matter, IO3- was reduced to I2, associated with the organic matter. Since I2 is highly reactive with organic matter, the association of I2 with soil organic matter appears to be an important sink of iodine in soils.
テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
「第2回微量元素と健康に関する国際シンポジウム」参加報告 石川 覚 前島
838-8314
石川
838-8315
内   容
 6月18〜20日、フィンランド(ヘルシンキ)で開催された「2nd International Symposium on Trace Elements and Health」の概要を報告する。



農業環境インベントリーセンターセミナー
平成19年度(第3回)
    日 時 : 7月18日() 13:30〜15:00
    場 所 : 5階会議室(547号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
カザフスタン北部における土壌有機炭素収支の時空間変動解析と持続的農業の確立に関する研究
Analysis of spatial and temporal variation of soil organic carbon budget and its application to sustainable agriculture in northern Kazakhstan
高田 裕介 中谷
838-8348
稲生
838-8235
内   容
 カザフスタン北部穀作地帯において、土壌有機物(SOM)資源の減耗が問題となっている。本研究では、州域でのSOM資源の地図化手法の確立、土壌有機炭素(SOC)動態のモデル化、SOC収支の時空間変動解析を地理情報システム上で行い、SOM減耗を抑制するための輪作体系の提言を行った。SOC収支の時空間変動解析の結果、休閑を含む輪作体系でSOMの減耗が予測され、休閑頻度の増加と共にSOMの減耗が増加すると示唆された。本地域においてSOMの減耗を抑制する輪作体系として、休閑の排除、または採草地の導入が推奨された。
テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
国際集会参加報告(国際影響評価学会(IAIA)、ソウル)
Consequence and future perspective of development a natural resourcesinventory and its utilization - a pragmatic implication of IAIA07 Theme Forum.
大倉 利明 中谷
838-8348
稲生
838-8235
内   容
 6月ソウル(韓国)にて開催されたIAIA大会に参加した。さらに、天然資源インベントリー情報の利活用というテーマでフォーラムの座長を務めたので、その概要を報告する。



有機化学物質研究領域セミナー
平成19年度(第2回)
    日 時 : 7月19日() 15:30〜17:30
    場 所 : 5階会議室(547号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
JSPSフェローの2年間を振り返って−日本と韓国柱状堆積物における残留性有機汚染化学物質等について−
Persistent organic pollutants (POPs) in the sediment core from Ariake bay, Japan and Gwangyang bay South Korea
金 倫碩 岩船
838-8302
内   容
 残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants:POPs)は、難分解性、生物濃縮性及び長距離移動性の特性を有するため、地球規模の環境汚染の恐れがある。POPs指定の12化合物(有機塩素系農薬、ダイオキシン類及びPCBs)をはじめとする複雑なPOPs様物質群等(HCHsとPAHs18種化合物)について、日本と韓国の柱状堆積物における経年的な環境残留実態の把握、異性体特異分析による汚染源の推定及び異性体別毒性評価等の結果を発表する。
テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
担子菌類による環境汚染物質の分解
Degradation of environmental pollutants by basidiomycetes
亀井 一郎 岩船
838-8302
内   容
 担子菌類に含まれる白色腐朽菌は木材細胞壁中の高分子リグニンを分解できることが特徴であり、さまざまな芳香族化合物を代謝可能であるとされている。その反応には細胞外および細胞内の複数の酵素が関与している。演者は特に塩素化ダイオキシン類を対象としてその分解経路について検討してきた。本セミナーでは、これまでの研究結果を中心に解説し、バイオレメディエーションへの応用についての問題点に触れたい。



領域横断セミナー
    日 時 : 7月24日(火) 16:30〜17:30
    場 所 : 5階会議室(547号室)
数年前に特別研究員として農環研に滞在していたこともあるスウェーデン・ウプサラ大学のLars Hylander博士によるセミナーを開催します。
お問い合わせは メールでお願いします。E-mail msaito@affrc.go.jp

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
水俣病から50年:世界の水銀と銀の使用の現状: 
私たちは教訓を学んでいるのだろうか?
50 years after Minamata -- does global mercury and silver uses indicate that the lessons have been learned?
Dr.Lars Hylander
(スウェーデン・ウプサラ大学)
研究コーディネータ齋藤
内   容
 Minamata disease was officially reported in 1956 and the cause scientifically proved in 1959. Still, mercury (Hg) pollution continued for another decade in Minamata, causing thousands of residents to suffer unnecessarily. In Sweden, Hg was introduced in medical care by Linn・in the 18th century. Starting with banning the use of methyl mercury for seed dressing in 1966, Sweden has subsequently worked to phase out all uses of Hg and is presently in the process of banning all remaining, dominant uses of Hg with the exception of that in fluorescent lamps. Also EU has adapted a Hg policy, comprising the end of primary Hg mining, a ban on Hg exports, and banning Hg in several electric/electronic and measuring instruments. In many developing countries the trend is the opposite as Hg has been introduced in small-scale gold and silver mining and in China in plastics production. Meanwhile, the large consumption of Hg in the chemical industry continues globally. One important reason for continued Hg use is that the polluter pays principle is rarely being enforced. To reduce future damages to health and environment from toxi heavy metals, political guidance, eventually employing economic incentives, is necessary on both national and globallevels. Silver is another toxic heavy metal of concern, presently with booming uses in society as a bactericid with unpredicted risks. Silver has been shown to triggering antibiotics resistance and risks due to its use in nano technology has not been evaluated. Silicoses indicates that cells have poor capacity to withstand small particles.



生物生態機能研究領域セミナー
平成19年度(第4回)
    日 時 : 7月25日() 16:00〜17:00
    場 所 : 5階会議室(547号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
いいひと いいこと つぎつぎ とちぎ
Something's coming in Tochigi.
齋藤 匡彦
(栃木県農業試験場)
石井
838-8307
内   容
 栃木県の農業および県農業試験場の取り組みを紹介する。また、今回の派遣研修の背景にある耕畜連携について、本県の現状を報告する。@栃木県の風土と農業 A県農業試験場の取り組み B耕畜連携の現状と課題
テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
雪腐黒色小粒菌核病菌に関する蔵出し予定のネタ3題
Three unpublished findings on Typhula ishikariensis
松本 直幸 石井
838-8307
内   容
 @地史学的証拠から寿命1万年以上と推定される個体、A北海道のアイヌ遺跡の炉の灰から見つかった小さな球状の炭、およびB岩手県北上山地の直径50mのゴジラパッチについて報告する。



生物多様性研究領域セミナー
平成19年度(第3回)
    日 時 : 7月27日(金) 15:00〜17:00
    場 所 : 5階会議室(547号室)

テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
植物揮発性物質を用いた害虫管理技術の開発
      〜京都府中山間地における水菜栽培での試み〜
Application of herbivore-induced plant volatiles for pest management
釘宮 聡一 鈴木
838-8254
平舘
838-8246
内   容
 植物は、これを食べる植食性昆虫(害虫)による被害を受けると、揮発性物質を誘導的に生産・放出し、このSOSシグナルによって誘引された捕食性昆虫(天敵)に害虫を排除してもらっているらしい、ということがこの数十年の間に多く示されてきた。アブラナ科植物では、害虫であるコナガによる被害を受けると、その寄生性天敵であるコナガサムライコマユバチが誘引され、コナガに産卵・寄生する。そこで、この植物由来の揮発性物質を用いて寄生蜂を誘引し、難防除害虫であるコナガを管理しようと目論むプロジェクトがスタートした。以前に演者が関わった本プロジェクトについて、産学官から成る研究チームの様々な試行錯誤や奮闘ぶりとともに紹介します。
テ ー マ 講 演 者 連 絡 先
谷津田周辺の刈り取り草地における植物相分布をもたらす要因
Factors affecting plant species distribution in meadows verging to paddy field in the Japanese rural landscape
山田 晋 鈴木
838-8254
平舘
838-8246
内   容
 農村生態系において維持されてきた草地的環境の減少は、国内外を問わず大きな問題である。こうしたなか、たとえ規模が小さいものであっても、現存する草地を保全する必要性が高まっている。日本の台地や丘陵地の刈り取り草地としては、水田脇で局所的に維持されてきた草地が知られる。しかし、立地条件や農業活動様式が変化に富む農村環境において、多様な植物相を維持する刈り取り草地の環境条件や、面的分布の現状を検討した事例は少なく、保全に向けた知見の蓄積は不十分である。そこで本研究では、千葉県の下総台地を開析する小流域において、谷部に分布する水田(谷津田)の周辺を対象に刈り取り草地の分布を調査し、成立植生と環境条件の関係を解析した。
 得られた植生データをTWINSPANにより分類した結果、刈り取り草地の植生は、一年草、多年草、木本の出現種が卓越するグループにそれぞれ分類された。地域レベルの希少種は、多年草が卓越するプロットに集中した。分類樹木による解析の結果、多年草が卓越した草地は、舗装された農道に隣接せず、斜面上部における1940年代の土地利用が二次林である立地に分布しやすい傾向がみられた。本結果から、多様な植物相を維持するための条件、地理情報システムなどを用いた谷津田脇における刈り取り草地の広域的分布予測の可能性を考察した。

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