環境問題の重要性については世界的にみても年々認識が高まる傾向にある。農業においても,これまで人頬が長く追求してきた生産性向上という根本的目標がまず環境とのかかわりを考慮することなしには論じられない段階にいたった。またいわゆる環境資源のなかで大きな部分を占める農業関連の環境要素に対してもさらに評価とその利用について新しい角度からの詳細な検討が求められている。農業も単に食糧生産の面からみるのでなく,むしろ多面的なはたらきから評価しなければならない状況となった。このように環境問題への対応は農業の今後を左右する大きな問題となりつつある。
これらの状況に対応して農業環境分野の試験研究のなかからは時代の要求に即応した貴重な成果がつぎつぎにうみだされている。
この冊子は平成8年度農業環境試験研究推進会議に提出された主要な研究成果の中から,各推進部会及び評価情報部会における審議,検討の結果に基づき,本会議において選定した研究成果情報44課題について,一部表現を改めるなどして編集したものである。成果情報のとりまとめにあたり多大の労をとられた関係場所各位に謝意を表したい。農業環境問題に関する有効な技術情報として、関係各方面において参考にしていただければ幸いである。
平成9年8月
農業環境技術研究所所長
永 田 徹