鹿沼土・ゼオライト併用バイオジオフィルター水路による窒素・リンの効率的除去


[要 約]
 ヨウサイ,さといも,パピルスなどを栽植した鹿沼土,ゼオライト濾材併用バイオジオフィルター水路は,合併処理浄化槽処理水を全窒素と全リンの平均負荷量1.35と0.34gm-2d-1で供給すると,夏期には流出水の全窒素,全リン濃度を0.31mgL-1と0.22mgL-1まで浄化できる。
[担当研究単位] 農業研究センター 土壌肥料部 水質保全研究室
[部会名] 農業環境・環境資源特性
[専 門] 環境保全
[対 象]  
[分 類] 指導

[背景・ねらい]
 生活排水中の全窒素(T-N),全リン(T-P)は,霞ヶ浦など閉鎖性水域の水質汚濁の主要原因物質となっている。水質保全研究室では,排水中の窒素,リンを資源として有効利用するため,有用植物と天然鉱物濾材を組合せ,植物の養分吸収機能,濾材の吸着・濾過機能及び付着微生物の浄化機能を有効に利用できるバイオジオフィルター水路(幅0.4m,長さ19.5m,高さ0.4m,水深0.2m,以下BGF水路と略す)を用いた農山村向きの資源循環型水質浄化システムの開発を進めている。
[成果の内容・特徴]
  1. 本成果は,ゼオライト(粒径3〜10mm)を濾材とした1996年夏期のBGF水路(水生植物栽植水路と陸生植物栽植水路の2系列)の浄化成績およびT-Pの浄化効率を高めるため,水生植物水路のゼオライトを水路流入口から7.3mまで鹿沼土(粒径3〜6mm,384kg)に入れ替えた 1997年夏期の浄化成績である(図1,表1〜3)。
  2. ゼオライトを濾材とした水生植物水路の夏期(6〜9月)の流出水の平均T-P濃度は3.61mgL-1で,流入したT-Pの57.7%しか除去できなかった(表1)。
  3. 鹿沼土とゼオライト濾材を併用した水生植物水路の夏期の流出水の平均T-P濃度は0.22mgL-1で,T-Pの除去率は98.0%に向上した(表2)。
  4. 鹿沼土濾材を用いた水生植物水路(1997年8月)では,合併処理浄化槽処理水が水路内を4.88m流下する間に,T-P濃度は6.78mgL-1から1.68mgL-1に低下し,ゼオライトに比べると鹿沼土濾材は,効率よくT-Pを除去できることが判明した(図1)。
  5. 鹿沼土とゼオライトを併用した水生植物水路の8月と9月の流出水の平均T-N・T-P濃度は,それぞれ0.29mgL-1と0.03mgL-1以下になり,湖沼の水質基準値(類型V,T-N:0.4mgL-1,T-P:0.03mgL-1以下)よりも低いレベルにまで浄化できた(表2,表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 本試験では,1996年10月14日に鹿沼土を充填後,合併処理浄化槽処理水を1日当たり400〜 500L供給(滞留時間 約2.5日)し,T-Pの浄化機能の変化を調査しているが,少なくとも2年間は,リンの浄化効果が認められる。
  2. 浮遊物質濃度の高い汚水を供給すると濾材の目詰まりが生じ,BGF水路の水質浄化機能が低下することがある。

具体的データ


[その他]
    研究課題名:有用植物と濾材を組合せた資源循環型水質浄化システムの開発
    予算区分 :公害防止(水質浄化),経常
    研究期間 :平成10年度(平成8〜12年)
    発表論文等:
       1)野菜,資源植物を用いた生活排水の循環・共生型浄化システム,水 40(15) (1998)  
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