凍結保存細菌の反復利用効率を高めるための分散媒の改良


[要 約]
 凍結保存した細菌を融解して一部を取り出し,残りを再び凍結すると,生き残る菌数が減少する。その程度は菌種によって異なる。既知の分散媒にトレハロースを添加すると,凍結・融解の処理を多数回反復した後でも十分な生存菌数が得られる。
[担当研究単位] 農業環境技術研究所 生物環境安全部 微生物・小動物研究グループ 微生物評価研究官
[分 類] 技術

[背景・ねらい]
 大多数の細菌種は適当な分散媒に懸濁して凍結すると長期間保存できる。凍結保存細菌を融解して一部を取り出し,残りを再び凍結すると,生き残る菌数が減少する。その程度は菌種によって異なる。ここでは多数回の反復利用ができるように分散媒を改良する。
[成果の内容・特徴]
  1. グルタミン酸ナトリウム添加スキムミルク分散媒には長い利用実績があるが,これにトレハロースを 0.2% 〜 5% の割合で添加すると,濃度に比例して融解時の生存菌数が増加する (表1)。
  2. 凍結障害に対する耐性が低い細菌にはトレハロースの添加効果が高く,耐性が高い細菌には添加効果はない。
  3. トレハロースの添加が凍結障害を助長する事例は見られない。
  4. トレハロースと同様の有益な効果は,スクロース,マルトース,ラクトースでも見られる(表2)。
  5. 推奨分散媒の組成は 1.5% グルタミン酸ナトリウム,5% トレハロース,10% スキムミルクである。
[成果の活用面・留意点]
  1. 添加効果の認められた二糖類がなぜ有効に作用するのかは不明である。
  2. 凍結保存細菌は 1010 cfu/ml 以上の高濃度懸濁液にすることが望ましい。
  3. 凍結保存細菌を移植した際に,集落が点在して生育するようになった時は,その保存標本は利用限度に近づいているので,更新の準備をする。

[その他]
 研究課題名 : 微生物ジーンバンク
 予算区分  : 農林水産ジーンバンク
 研究期間  : 2003年度(2001〜2005年度)
 研究担当者 : 西山幸司
 発表論文等 : 1)西山, 平成15年度日本植物病理学会関東部会講演要旨集,14(2003)

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