外来植物ニセアカシアのアレロパシー活性と作用物質


[要 約]
 在来および外来植物,各28種のアレロパシー活性をサンドイッチ法で検定したところ,外来植物ニセアカシアの活性が強い。その作用物質はカテコール構造を持つフラボノイド類であり,とくに(-)-カテキンとロビネチンの寄与率が高い。
[担当研究単位] 農業環境技術研究所 生物環境安全部 植生研究グループ 化学生態ユニット
[分 類] 学術

[背景・ねらい]
 近年,農地周辺や河川敷にニセアカシア,オオブタクサ,シナダレスズメガヤなどの外来植物が 侵入・繁茂し,景観を損ねるばかりでなく,生物多様性にも悪影響を与えている。そこで,これらの外来植物種の蔓延要因の一端を解明するために,農地周辺に 生育する在来および外来植物のアレロパシー活性を比較検定するとともに,作用が強い外来植物についてはその作用物質を解明する。
[成果の内容・特徴]
  1. 葉から出る物質による作用を検定するサンドイッチ法によって,多摩川の河川敷に生育する56種(外来植物28種,在来植物28種)のアレロパシー活性を検定し,外来植物種群と在来植物種群について比較した(表1)。両植物種群ともに,活性の強いものと弱いものが混在していた。
  2. 侵略性が強い外来種でアレロパシー活性の高かったものは,セイタカアワダチソウ(他感物質としてシスデヒドロマトリカリアエステルを産生することが知られている),ニセアカシアであった。しかし,侵略性が強いアレチウリ,オオブタクサの活性はやや低く,シナダレスズメガヤ(ウイーピングラブグラス)は活性が低かった。オオニシキソウ,カタバエノコロはアレロパシー活性が強いが小型の植物で現状では侵略性は高くない。
  3. ニセアカシアに含まれる植物生育阻害物質の単離を試み,ロビネチン(robinetin),ミリセチン(myricetin),ケルセチン(quercetin),および(-)-カテキン((-)-catechin)を同定した(図1)。それぞれ,ニセアカシアの生葉1g当たり1.0, 0.6, 0.09, 1.3μmol含まれ,EC50(生育を50%阻害する濃度)はレタスに対しそれぞれ,330, 330, 360,270μmol/Lなので,(-)-カテキンとロビネチンの寄与が高いと推定される。カテキンはニセアカシアが生育する河川敷の根圏土壌からも検出され,濃度は根圏の生土壌1kg当たり10mg程度である。
[成果の活用面・留意点]
  1. (-)-カテキンは,ヨーロッパから北米に侵入したキク科植物Centaureaの他感物質として最近報告があり(Science, 301:1377,2003),この侵入植物の繁茂する原因として,北米の在来植物はこの物質に抵抗性がないためであると説明されている。
  2. 米国では,(-)-カテキンの活性が天然物として強力なので,天然の除草剤として開発しようと提案されている。ただし,植物による感受性の違いが大きい。

[その他]
 研究課題名 : 導入・侵入植物の生物検定法による他感作用の検定と作用物質の同定
        (カテコール関連物質を放出する植物の導入が周辺の植物ならびに土壌環境に及ぼす影響解明)
 予算区分  : 運営費交付金,重点支援研究[導入侵入植物]
 研究期間  : 2004年度(2001〜2005年度)
 研究担当者 : 藤井義晴,Zahida Iqbal(JST), Habib Nasir(アイベックス),荒谷博,平舘俊太郎
 発表論文等 : 1)Nasir et al., 雑草研究, 48(S), 160-161 (2003)
               2)Iqbal et al., 雑草研究, 49(S), 98-99 (2004)

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