農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成19年度 (第24集)

普及に移しうる成果 4

スズメノナスビを台木としてナス果実中カドミウム濃度を低減

[要約]
ナスの接木栽培において、スズメノナスビ(トルバム・ビガー、トナシム、トレロ)を台木に用いることで、土壌、穂木品種や作型によらず、果実中カドミウム濃度を1/2〜1/4に低減することができます。
[背景と目的]
近年、食品中のカドミウム濃度の国際基準値(果菜類0.05mgkg-1)が合意されました。農林水産省が行った国内実態調査の結果によるとナスはカドミウム濃度が比較的高いため、カドミウム吸収抑制技術を確立することが必要です。ナスは接木栽培されることが多いので、台木の違いによる果実カドミウム濃度の差を検討しました。
[成果の内容]
  1. スズメノナスビの台木に接ぎ木した場合、土壌の種類(沖積土壌:褐色低地土および灰色低地土、火山灰土壌:黒ボク土)、作型(6月定植7〜9月収穫、9月定植10〜5月収穫)、穂木の種類(千両二号他3種類)によらず、自根栽培およびその他の台木(ヒラナス、台太郎、カレヘン、耐病VF、ミート、アシスト)に接木した場合に比較して果実中カドミウム濃度を約1/2〜1/4のレベルに低減できました(図1にはその結果の一部を示します)。スズメノナスビの市販台木品種はトルバム・ビガー、トナシム、トレロがあり、いずれも同様のカドミウム濃度低減効果を示します。
  2. スズメノナスビ台木に接木したナス果実や穂木茎葉ではカドミウム以外の金属濃度には台太郎を台木とした場合と比べて大きな違いはありません。また、カドミウムを添加した水耕栽培において、地上部(穂木の茎葉、台木の茎)のカドミウム濃度はスズメノナスビ台木で低くなりますが、根の濃度には差がありませんでした(図3)。これらのことから、スズメノナスビには根から地上部へのカドミウムの移行を特異的に抑制する何らかの機能が備わっていると考えられます。
  3. 国内のナス用台木調査(野菜茶業試験場研究資料第9号)ではトルバム・ビガーは寒地・暖地によらず広く使用されており、トルバム・ビガーの割合の少ない県でもトナシム、トレロが使用されていました。これらのことから、スズメノナスビを台木とした接木栽培でナスのカドミウム濃度を低減することは全国的に普及可能と考えられます。
本研究の一部は、農林水産省委託プロジェクト研究「農林水産生態系における有害化学物質の総合管理技術の開発」の成果です。
リサーチプロジェクト名:重金属リスク管理リサーチプロジェクト
研究担当者:土壌環境研究領域 荒尾知人、竹田宏行・佐藤淳(新潟県農総研)、西原英治(新潟県農総研、現:鳥取大)、大崎佳徳・飯田佳代(高知県農技セ)
発表論文:竹田ら、日本土壌肥料学雑誌、78(6): 581-586 (2007)

図表

図表

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