農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成19年度 (第24集)

主要研究成果 3

輸入穀物に種子が混入しやすい外来植物の特徴

[要約]
カナダからの輸入コムギに混入していた植物種子の特徴を分析しました。その結果、「生産地の畑での発生量が多い」、「背が高い」、「種子に冠毛が無い」、「作物種である」、ことが混入率を高める要因であることが推定されました。
[背景と目的]
日本は年間約2700万トンという膨大な量の穀物を輸入しています。これらの輸入穀物には、割合は少ないながらも、様々な植物の種子が混入しています。現在、国内の河川敷、飼料畑あるいは穀物畑で問題となっている雑草の一部は、それら輸入穀物の混入種子が起源であると考えられています。今後侵入してくる雑草に備えるためにも、どのような特徴をもった植物が輸入穀物に混入しやすいかを明らかにする必要があります。
[成果の内容]
 2006年にカナダより輸入されたコムギ(20kg、20kg、10kgの3検体、計50kg)に混入していた植物種子を選別・同定し計数しました。その結果、13科42種類の種子が混入しており、10kgあたり平均1700個、重量比0.23%(輸入コムギにおける異物混入率輸入基準0.5%)の種子が見つかりました。中でも特に多かったものは、オオムギ、カラスムギ等のイネ科とアブラナ科の種子でした(図1右)。
 この結果と、カナダのコムギ畑における既存の発生量調査(Lesson et al. 2005)の結果(図1左)を参考に、以下の6要因について混入率との関係を解析しました。
 (1)収穫時期におけるコムギ畑での発生量、(2)一年草か多年草か、(3)植物の背丈、
 (4)植物種子の大きさ、(5)種子の冠毛の有無、(6)雑草種か作物種か
 分析の結果、上記の(1)、(3)、(5)、(6)の要因が混入率と相関が高いことがわかりました(図2)。すなわち、「生産地の畑での発生量が多い」、「背が高くコムギとともに収穫されやすい」、「冠毛が無くコムギから異物を取り除く過程で残りやすい」、「穀物輸出時の設備が各種の作物で共有されているために収穫後の過程で混入しやすい」、といった要因が輸入コムギへの混入率を高めているものと考えられます。
 今後、このような性質を持つ外来植物に特に注意をはらい、その出現を監視してゆく必要があるでしょう。
本研究は、文部科学省科学技術振興調整費「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」による成果です。
リサーチプロジェクト名:外来生物生態影響リサーチプロジェクト
研究担当者:生物多様性研究領域  小沼明弘、下野嘉子
発表論文等:Shimono and Konuma, Weed Research, 48: 10-18 (2008)

図表

図表

目次へ戻る このページのPDF版へ