農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成19年度 (第24集)

主要研究成果 5

外来植物アカギに含まれる植物生育阻害物質はL−酒石酸

[要約]
小笠原で繁茂して問題となっている外来植物アカギに含まれる植物生育阻害物質を、活性を指標に分離し、L-酒石酸を同定しました。植物体中に含まれる濃度と阻害活性を考慮した全活性により比較した結果、この成分がアカギの阻害物質の主成分でした。
[背景と目的]
外来植物のリスクを評価する上で、それに含まれる有害成分の研究や生態系への影響調査が必要です。アカギは有用樹として導入されましたが、小笠原で繁茂して在来樹を排除し純群落を形成しています。その競争力として、切り倒しても根から萌芽する強い再生力が考えられますが、明るい樹下でも植生がまばらであることからアレロパシーの関与が示唆されていました。そこで、アカギに含まれる植物生育阻害物質を探索し、単離・同定しました
[成果の内容]
  1. 小笠原父島で採取したアカギの葉の抽出液の水画分に強い植物生育阻害活性がありました。この画分から、阻害活性成分として有機酸を分離し、13C-NMRで酒石酸であると同定しました。旋光度は16.9であり、光学活性のL-(+)-体とわかりました(図1)。
  2. L-(+)-酒石酸はアカギ葉の新鮮重当たり8mg/g(0.8%)の高濃度で含まれていました。また、粗抽出液が示した生育阻害活性と、粗抽出液中の含量に換算した酒石酸標準品の活性がほぼ一致したことから、L-(+)-酒石酸がアカギの植物生育阻害成分の本体であると結論しました(図2)。全活性(濃度/EC50)は140と高活性です。
  3. アカギの根圏土壌を採取し、根圏土壌法で検定しましたが、強い阻害活性は見られませんでした。石灰質土壌、火山灰土壌、沖積土壌にL-(+)-酒石酸を混合したときには、植物生育阻害活性が顕著に減少したことから、現地におけるアレロパシーの発現は生葉あるいは落葉から溶脱されるL-(+)-酒石酸による作用であると推定しました。
本研究の一部は、文部科学省科学技術振興調整費「外来植物のリスク評価と蔓延防止策」による成果です。
リサーチプロジェクト名:外来生物生態影響リサーチプロジェクト
研究担当者:生物多様性研究領域 山谷紘子、平舘俊太郎、藤井義晴

図表

図表

目次へ戻る このページのPDF版へ