農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成19年度 (第24集)

主要研究成果 15

日本に生息するサトウキビ白すじ病菌の遺伝子型

[要約]
サトウキビの重要病害であるサトウキビ白すじ病菌は、3つの遺伝子の塩基配列の違いから、5つのタイプ(A〜E)が存在し、国内(沖縄県)にはそのうちBタイプのみが存在することがわかりました
[背景と目的]
サトウキビ白すじ病(図1)は、サトウキビの葉身、葉鞘を白化させて収量を低下させることから、サトウキビ生産地帯で大きな問題になっています。わが国では沖縄県において近年発生が多くなり、種苗を管理する上で、本病原細菌の早期診断技術や、伝搬経路の解明が求められています。しかし、そのためには、沖縄県や世界各地に生息する本病原細菌の遺伝的特徴を解明する必要があります。そこで、世界各地で分離された菌株を入手し、3つの遺伝子の塩基配列を基に本病原細菌の遺伝的特徴を解析しました。
[成果の内容]
  1. サトウキビ白すじ病菌Xanthomonas albilineans図1)の分離菌32菌株(国内22菌株、国外10菌株)について、16SリボゾームRNA遺伝子(以下、16S rDNA)、DNAジャイレースのβ-サブユニット遺伝子(同、gyrB)、およびσ70ファクター遺伝子(同、rpoD)の各DNA領域の塩基配列を解析・比較しました。その結果、16S rDNAは2グループ、gyrBは5グループ、rpoDは4グループに分かれました(表1
  2. これら3つの遺伝子それぞれのグループの組み合わせにより、供試された32菌株は全体として5つのタイプ(A〜E)に分れました。このうち、国内(沖縄県)で分離された22菌株の全てとスリランカと南米で分離された4菌株はBタイプでしたが、南アフリカとフィジーで分離された6菌株はB以外のものでした(図2
  3. このことから、サトウキビ白すじ病菌は遺伝的に少なくとも5タイプが存在し、国内にはそのうちひとつのタイプ(Bタイプ)が存在することが明らかになりました。
  4. 今後、サトウキビ白すじ病菌の国内への新たな侵入が検出された際には、上記3遺伝子の塩基配列を調べることにより、いち早くタイプを判定することができるとともに、国外に分布する菌のタイプの情報をさらに蓄積することにより、侵入経路の推定も可能となります。
本研究は、運営費交付金、農林水産省ジーンバンク事業費による成果です。
研究担当者:生物生態機能研究領域 對馬誠也、篠原弘亮(現:東京農業大)、中里工(現:(独)種苗管理センター)、
      安藤杉尋(現:(独)農業生物資源研究所)、杉澤武(現:(独)種苗管理センター)、田部井豊(現:(独)農業生物資源研究所)
発表論文等:Tsushima et al., J. Phytopathology, 154: 683-687 (2006)

図表

図表

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