主要研究成果 15
農業環境インベントリーシステムの Web 公開
- [要約]
- 昆虫、微生物、土壌や植物標本情報の登録・編集、検索・閲覧および採集地点を地図上に表示する機能をもつデータベースシステムを開発・公開しました。分野の異なる標本の時間的・空間的情報を地図上で同時に把握することができます。
- [背景と目的]
- 農業環境技術研究所には農業環境に係わる膨大なデータや標本がインベントリー(目録)として蓄えられています。これらの貴重な情報を整理して、データベース化し、新たな情報の蓄積や検索・利用を容易に行うことができるシステムを開発することにより、分野を越えた情報の流通、高度利用、多面的利用を図ることが求められていました。そこで、分野を異にする標本情報を地理情報システムにより統一して扱うシステムを開発し、Web 公開しました。
- [成果の内容]
- このシステムには現在、昆虫800件、微生物標本500件、土壌モノリスと呼ばれる土壌断面標本137件、亜硫酸ガス被害を受けた煙害植物と称する標本1,600件の情報が登録されています。
Web閲覧ソフトで、公開 URL( このページはサービスを終了しました。2013年12月 )にアクセスすると検索・閲覧モードの画面が表示されます。標本の種類ごとに、検索条件を指定して検索することができます。検索項目は標本の種類によって異なります。
検索結果は一覧表形式と地図上への地点表示の2つの形式で閲覧できます(図1)。一覧表形式は、基本情報と詳細情報の表示切替えができます。また、標本の中には写真画像を閲覧できるものがあります。地図表示は採取地点の詳細な地図を表示します。本システムには、緯度・経度が特定されていないデータについても地名から該当する緯度・経度を自動的に割り当てる機能を搭載しており、古い標本などの情報も表示しています。
地図上に表示されたアイコンをクリックすると登録された標本の情報が閲覧できます(図
2)。選択地点の標本一覧が表示され、識別番号(ID)をクリックすると基本情報が表示されます。さらに、詳細ボタンをクリックすると標本の詳細情報が表示されます。
以上のように、本システムを使うことにより標本の採取時期別、種類別の地理的な分布を容易に見ることができるので、例えば新害虫の発生分布の時間的な変化を確認したり、土壌特性に対応した植物分布とその植物に棲息する昆虫の関係を調べることなどに利用することが期待されます。
リサーチプロジェクト名::環境資源分類・情報リサーチプロジェクト
研究担当者:農業環境インベントリーセンター 上田義治、大倉利明、中井 信、吉松慎一、中谷至伸、生物生態機能研究領域 小板橋基夫
発表論文等:上田ら、インベントリー、5:20-23 (2006)