農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成22年度 (第27集)

普及に移しうる成果 4

気象、土壌、農地利用、温室効果ガスに関する情報をまとめて取得できるwebシステム(gamsDB)

[要約]
農業環境技術研究所で収集・整備した複数の農業環境情報を横断的に利用するためのwebシステムを公開しました。気象、土壌、農地利用、温室効果ガスに関するデータをまとめて手軽に取得することができ、様々な分野での活用が期待されます。
[背景と目的]
近年の情報科学の発達により、複数の情報資源を横断的に利用する動きが広がっています。しかし、個別のデータベースを横断的に利用するためには、それぞれのデータを別々に取得した上で結合する必要があり、多大な労力を要します。農業環境情報の横断的利用を促進するために、これまで農業環境技術研究所で収集・整備した気象、土壌、農地利用、温室効果ガスなどの情報をまとめて取得できるシステムが求められていました。
[成果の内容]
  1. WebシステムgamsDB (Ghg Agro-stat MeteoCrop Soil-information Data Base, http://agrienv.dc.affrc.go.jp/) には、これまで農業環境技術研究所で収集・整備してきた気象、土壌、農地利用、温室効果ガスの各種データが収録されており(図1)、それらを基準地域メッシュ(3次メッシュ、約1km×1km)、および測定地点単位で取得することができます。ユーザ登録等の手続きは不要です。
  2. 3次メッシュ単位で取得できる情報には、1970〜1995年の農業統計情報、農耕地土壌の分類別面積、1980年からの気象データ(日単位)があります。気象情報には、気温、降水量等があり、月平均や年平均の値を取得することも可能です。
  3. 地点のデータとして取得できる情報には、全国850か所の作物気象データ、全国9か所の農耕地でモニタリングされている温室効果ガス発生量のデータがあります。作物気象データは定期的に更新され、最新のデータが取得できます。
  4. メッシュと地点のデータを組み合わせて取得することもできます。例えば、3次メッシュの気象データと、温室効果ガスのデータを組み合わせることが可能です。
  5. データを取得したい3次メッシュのコードや、測定地点の名称がわからなくても、該当する位置をGoogleMapから選択することができます(図2)。
  6. 取得できる情報はテキスト形式のファイルなので、GISソフト等で容易に利用できます。複数のデータを組み合わせて窒素等の養分溶脱量を推定する(図3)など、様々な分野での活用が期待できます。

リサーチプロジェクト名:気候変動影響リサーチプロジェクト、温暖化緩和策リサーチプロジェクト、農業環境情報・指標リサーチプロジェクト
研究担当者:大気環境研究領域 桑形恒男、物質循環研究領域 須藤重人、 農業環境インベントリーセンター 大澤剛士、神山和則


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