農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成22年度 (第27集)

主要成果 33

土生コレクション・オサムシ科の標本目録

[要約]
ゴミムシ類の研究者として著名な(故)土生昶申(はぶあきのぶ)博士が収集したコウチュウ目オサムシ科の標本コレクション22,914点の目録を作成し、出版しました。本目録には、約1,050種の標本情報と190点のホロタイプの情報が掲載されています。その中から特筆すべき種として47種を挙げ、各種について解説すると共に全形写真を掲載しました。
[背景と目的]
農業環境技術研究所の前身に当たる農業技術研究所の元主任研究官・土生昶申博士の昆虫標本コレクション(図1)は、コウチュウ目オサムシ科が中心で、種同定の基準となる世界でただ一つのタイプ標本であるホロタイプ190点と種まで同定された日本・外国産種の標本があります。オサムシ科に属する種は一般に生息環境に対する感受性が強く、生物多様性を評価する上での指標性が高いことが知られています。そこで、2004年から本コレクションのデータベース化を進めた結果、一部の未同定標本を除く全標本情報の入力が完了しました。この度、学術的価値の高い本コレクションの利活用を促進するため、その情報を目録化し、2011年3月発行の当研究所報告誌上で公表することにしました。
[成果の内容]
  1. 土生コレクション標本目録には、コウチュウ目オサムシ科に属する約1,050種22,914点の標本情報と190点のホロタイプの情報が掲載されています。
  2. 本目録では、ホロタイプ(図3)と一般標本(図4)に分けて情報を提供しています。ホロタイプについては、学名と和名、ラベル情報(採集地名、採集年月日、採集者名等)、農環研所蔵昆虫タイプ標本コード番号、原典となる文献情報を知ることができます。各種(または亜種)の一般標本については、採集地域ごとに標本の個体数、ラベル情報、農環研所蔵昆虫標本番号等の標本情報を知ることができます。
  3. その他、土生コレクションの日本産オサムシ科のうち、特に種レベルでの減少傾向が著しく、保全生物学的な重要性が高いと考えられる47種を特筆すべき種として挙げ、各種について解説すると共に全形写真を掲載しました。
  4. 土生コレクションは、オサムシ科の種同定の参照標本コレクションとして有用であるばかりでなく、採集年代の古い標本を多く含み、各種の分布の変遷を知る上でも重要です。したがって、本目録は国内の昆虫相の解明や生物多様性研究に必要な標本情報を提供し、その発展に寄与することが期待できます。

リサーチプロジェクト名:環境資源分類リサーチプロジェクト
研究担当者:農業環境インベントリーセンター 吉武 啓、吉松慎一、中谷至伸、栗原 隆 生物多様性研究領域 安田耕司
発表論文等:吉武 啓ら、 農業環境技術研究所報告、28:1- 327 (2011)


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