農業環境技術研究所刊行物研究成果情報平成25年度 (第30集)

平成25年度主要成果

フィールドで土壌情報を簡単利用
−スマートフォン用アプリ “e-土壌図” の開発−

[要約]
フィールドで土壌情報を利活用するため、iOS および Android 用スマートフォン・アプリ “e-土壌図” を開発しました。“e-土壌図” は携帯端末に搭載された GPS により、土壌図を簡単に検索・表示できます。また、クラウドを活用することにより、写真や土壌診断結果等のメモも土壌図と関連付けてユーザー間で共有することができます。
[背景と目的]
スマートフォンなどの急速な普及により、野外で基盤地図情報を利活用しようとする試みが増えてきました。本研究では、フィールドで土壌図などの土壌情報を簡単に検索でき、写真やメモなどのデータを土壌図と関連付けて編集・共有することができるスマートフォン用アプリケーションソフトウェア(アプリ) “e-土壌図” を開発しました。
[成果の内容]
“e-土壌図” は携帯端末に搭載された全地球測位システム(GPS)により、現在地の土壌図を簡単に検索・表示することができます(図1)。また、“e-土壌図” では、土壌図上にメモ、画像ファイルおよび PDF ファイルを保存できるピン(図2)を自由に配置できます。ピンは GoogleDrive(以下、クラウド;ネット上にファイルを保存できる米国Google社のサービス)上にも保存することができるので、クラウド上にユーザー独自の土壌図を作成できます。
主要機能
  1. スマートフォン搭載の GPS により、ユーザーの位置情報から農耕地土壌図(縮尺1/5万)を表示し、農地の土壌分類名を調べることができます(図1A)。
  2. GoogleMap を土壌図の背景図として使用しており、用途に応じて背景図を一般地図か衛星画像に切り替えることができます(図1のAとB)。
  3. 土壌の種類毎にその特性や作土層の理化学性(全国平均値)などをフィールドで閲覧することが可能です(図1C)。
  4. メモ、画像ファイルおよびPDFファイルを保存できるピンを土壌図上に自由に配置でき(図1D)、ピンはクラウド上にも保存することができます。そのため、複数の異なるデバイス(パソコン, Android端末, iPhone, iPad)で共有可能なユーザー独自の土壌図をクラウド上に作成できます(図2)。
  5. クラウド上のデータはデータフォルダ毎にアクセス権限を設定できるので、ユーザーやグループ毎にデータ管理を行うことができます。
“e-土壌図” は iOS 用については APP Store にて、Android 用については Google Play にて無料で公開しています。
リサーチプロジェクト名:農業環境情報・資源分類リサーチプロジェクト
研究担当者:農業環境インベントリーセンター 高田裕介、表祐志
発表論文等:1) 高田、農環研プレスリリース、平成26年1月8日

図1 “e-土壌図”の操作画面

図2 “e-土壌図”とクラウド(Google Drive)との連携

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