サイエンスキャンプは研究機関の持つ学習資源としてのポテンシャルを最大限活用した高校生・高等専門学校生のための「科学技術体験合宿プログラム」です。
研究の現場を知り、日頃経験したことのない最先端の研究装置で身の回りのことを調べてみることなどにより、参加者が日常生活の中にある「不思議」を発見し、科学技術をより身近なものと感じられるようになることをねらいとしています。
農業環境技術研究所は農業生産環境の安全性の確保を目的に、有害化学物質や外来生物等のリスク評価・管理をはじめ、農業生態系の構造と生物多様性、温暖化等の環境変動の解明など、農業と環境に関わる基礎的な調査及び研究を行っています。
今回のキャンプでは、「農耕地から発生する温室効果ガスを観測する」、「農村地帯の小河川の流量・水質を調べ、農村環境の変化を考えよう」、「リモートセンシング技術を使ってイネの姿や健康状態をとらえてみよう」の三つのコースを設けました。
研究者がどのようにして環境問題に取り組んでいるかを実際に体験してください。
1.期日 |
2007年8月1日(水) 午後1時 − 3日(金) 午後3時30分 (2泊3日) |
2.会場 |
農業環境技術研究所 住所: 〒305−8604 茨城県つくば市観音台3−1−3 研究所までの交通案内 Tel: 029−838−8191(広報情報室広報グループ) Fax: 029−838−8191 宿泊場所: 農林水産省農林水産技術会議事務局筑波事務所 国内研修生宿泊施設 |
3.プログラムの概要(予定) |
A: 「農耕地から発生する温室効果ガスを観測する」 コース |
田んぼや畑は、食料を生産する大切な場です。でも、こうした農耕地が、地球温暖化にも関係しているのです。それは、農耕地の土壌から二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素といった温室効果ガスが発生しているからです。どれも、その大気中濃度はppmレベル(体積比で百万分の1)か、それ以下というわずかなものですが、地球の気候変動に大きな影響を与えています。水田土壌から主として発生するメタンや畑土壌から主として発生する亜酸化窒素を、どんな装置を使って計測するのか、また、温室効果をもたらす物質とはどのようなものなのか、学んでみましょう。そこから、皆さん独自の考えで、地球温暖化をストップさせるアイデアが生まれるかもしれませんね。 |
講義:温室効果とは、温室効果ガスの種類と影響力、発生と吸収のメカニズム、ガスの観測手法を学びます。 実習:水田土壌から発生するメタンの測定、畑土壌から発生する亜酸化窒素の測定、ガス発生率の算出を行います。 |
B: 「農村地帯の小河川の流量・水質を調べ、農村環境の変化を考えよう」 コース |
農業環境の変化を調べるためには土壌、生物、土地利用など様々な調査方法がありますが、このコースでは河川の水量・水質の調査を行うことにより,農村を取りまく水環境の変化の実態に迫ってみます。まず、筑波山東麓の石岡市八郷地区の小河川に行き、実際の流量測定と水のサンプリングを行ったうえ、研究室で水の分析(懸濁物質,窒素,リンの各濃度)を行い、過去の調査データと比較を行います。そして、最近10年前後の変化を読み取り、環境庁が示している水質基準とも比較を行い、水質の変化を通して、農村集水域の環境とその変化について学んでいきます。 |
C: 「リモートセンシング技術を使ってイネの姿や健康状態をとらえてみよう」 コース |
人工衛星を使って宇宙から撮影された画像は、私たちの身近な地域の土・水・生き物のあり様をとらえています。また、農業分野では国内外の農作物の栽培状況や品質、そして災害による被害程度などを正確で迅速に知るために活用されています。このコースでは、植物や農作物の情報を調べるリモートセンシングの原理を地上実験で学びます。参加者の皆さんは、人工衛星に載せられている装置と同じように光の波長ごとの強さを測ることのできるスペクトロメータという機械を使って、研究所内の水田のイネから反射されている光を実際に測定します。そして、同時にイネの葉の茂り具合や緑色の濃さなどのデータなども計り、リモートセンシングでイネの生育の良し悪しや、栄養状態を診断してみます。 |
・携帯型スペクトロメータを使って、水田に生育中のイネの反射光を測定します(太陽の光が強く安定している日中に行います)。 ・上記で測定したイネの葉の面積や緑色濃度を別の測器で計ります。 ・測定データを統計学の方法を使って分析し、スペクトロメータの測定結果からイネの生育量や栄養状態を推定します。 |
4.募集人数 |
各コース4人,合計12人 |
5.スケジュール(予定) |
<第1日目>8月1日(水) |
13:00〜14:00 開講式/オリエンテーション 14:00〜15:00 研究所施設見学 15:15〜17:00 コース別説明 17:30〜19:00 研究者との懇親会 |
<第2日目>8月2日(木) |
9:00〜12:00 コース別実習 12:00〜13:00 昼食 13:00〜17:30 コース別実習 |
<第3日目>8月3日(金) |
8:50〜12:00 コース別実習およびまとめ 12:00〜13:00 昼食 13:00〜14:00 まとめ(コース別発表会の準備) 14:00〜15:00 コース別発表会 15:00〜15:30 閉講式 |
昨年の様子 (PDFファイル) |
○サマー・サイエンスキャンプ2007参加応募の締切は、
6月27日(水)〈日本科学技術振興財団サイエンスキャンプ事務局 必着〉です。
○応募要領などについては、日本科学技術振興財団 サイエンスキャンプ公式WEBサイト の 特設ページ: サマー・サイエンスキャンプ2007 ( http://ppd.jsf.or.jp/camp/2007/index.html )をご覧ください。