稲作農業は、アジアモンスーン諸国の基幹農業であり、数千年にわたって各国の多くの人々に主食であるコメを供給してきた。そのため、各国の文化には、稲作農業の強い影響を見いだすことができる。また、各国の農村には、水田を中心とした湿潤で独特な景観がひろがり、そこには稲作農業が育んできた多くの生物が生息している。とくに、灌漑のための用排水路やため池などには、多様な水生生物をみることができる。
一方、アジアモンスーン諸国の多くは、増加する人口を支えるために、コメの増産が必要となっている。このため、農薬や化学肥料などの農業資材は、今後も継続使用されるであろう。これに対して、OECDは、農業資材の使用にあたっては、人の健康だけではなく生態系への影響を認識し、それらをふまえて適切なリスク管理等を行う必要があることを勧告した。しかし、これまで、アジアモンスーン諸国では、稲作農業に使用する農業資材の環境安全性を、有用水産動物である魚類及び甲殻類を対象とした毒性検査のみに基づいて確認してきた。このため、生態リスクの適正な評価手法の開発が遅れており、早急にこれを確立することが重要な課題となっている。
農業環境技術研究所と韓国農業科学技術院が共催する本国際ワークショップでは、アジアモンスーン諸国の水田周辺における生物多様性を保全するために、稲作農業で使用する農業資材の環境安全性評価手法の開発に向けて、次の3つの視点から研究成果の発表と論議を行う。
本シンポジウムに参加希望の方は、メールまたは下記の申込用紙に必要事項(氏名、所属、連絡先、懇親会参加希望等)をご記入の上、FAXで平成17年2月10日(必着)までにお送り下さい。
305-8604 茨城県つくば市観音台3−1−3
独立行政法人 農業環境技術研究所
生物環境安全部 植生研究グループ 小川恭男
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