2009年2月27日、農業環境技術研究所において、第25回気象環境研究会 「開放系大気CO2増加(FACE)実験 −過去、現在、未来−」 を開催します。
1998年に岩手県雫石 (しずくいし) 町で本試験を開始した世界初のイネFACE実験 (雫石FACE) は、開放ほ場条件におけるイネのCO2応答の実証的研究のプラットフォームとして、多くの重要な成果をあげてきました。また、最近では世界各地で実施されたFACE実験の定量的レビュー (メタ解析) が実施されるようになり、CO2増加による 「相対的な影響」 については、一定の見解が得られつつあります。
この間、世界的な情勢も大きく変化しました。近年は気候変動を実感させるような状況に加えて、食料や燃料の価格の大きな変動など、将来の作物生産に対する懸念事項が顕在化してきました。2007年のIPCC (気候変動に関する政府間パネル) 第4次評価報告書(第2作業部会)では、今後の気候変動の影響評価・適応研究におけるFACE研究の重要性が指摘され、次世代のFACE実験の議論が世界的に展開されています。
このような背景から、世界最初のFACE実験開始から約20年、雫石FACE開始からは約10年が経過した現時点で、雫石FACEを終了し、つくば近辺に発展的に移設する計画が進められています。
そこで、この研究会では、おもに雫石FACEで得られた成果を振り返るとともに、CO2応答を高めるような遺伝的形質・栽培技術の特定、他の環境要因との相互作用 (とくに非生物的・生物的ストレス) の解明・ストレス耐性向上のための形質の特定、土壌代謝の変化および気候システムへのフィードバック効果の推定など、新たな研究の展開について幅広い専門分野の方々と議論を行い、今後の気候変動影響・適応研究におけるFACE実験の役割を明確にします。
開催日時: 2009年2月27日(金曜日) 10:00−17:00
開催場所: 農業環境技術研究所 大会議室
共催: (独) 農業環境技術研究所、 (独) 農業生物資源研究所
後援: (独) 農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
参加費: 無料 (参加を希望される方は、下記の申込み先までご連絡ください)