9月9日と10日、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)において、第9回有機化学物質研究会・第26回農薬環境動態研究会 「水田から流出する農薬の水系への影響」 を開催します。
開催趣旨
モンスーンアジアにおける農業は水稲によって特徴付けられます。水田は陸水と直結しており、田面水(でんめんすい)に処理される農薬は畦畔(けいはん)や排水を介して河川や湖沼などの水系に流出する危険性があります。結果として、飲料水や河川・湖沼生態系に及ぼす影響を常に念頭に置く必要があります。そのため、農薬関連行政においては、水道法では総農薬方式、農薬取締法では水産動植物(魚類、ミジンコ類、藻類)への影響試験、食品衛生法では魚介類への残留基準値設定が義務付けられています。
一方、水田から流出した農薬に関連した研究については、動態予測モデル、生態毒性、モデル生態系研究など、近年多くの成果が公表されています。また、都道府県では、環境保全型農業の観点からさまざまな取り組みがなされています。しかし、水田で使われる農薬と水系に限定しても、農業環境保全に関連した、行政、研究、現場の連携は必ずしも十分ではありません。
そこで、本研究会では、水田で使われる農薬に焦点を絞り、行政、研究、現場から、それぞれの取り組みを紹介することにより、情報を共有し、農薬のリスク評価やリスク管理に結びつけたいと考えています。
開催日時: 2009年9月9日(水曜日)10時 〜 10日(木曜日)12時
開催場所: 農業環境技術研究所 大会議室 (茨城県つくば市観音台3−1−3) (農業環境技術研究所への交通案内)
参加費: 無料(「情報交換会」を除く)
(参加を希望される方は、下記の申込み先までご連絡ください)
プログラム
平成21年9月9日(水曜日)
10:00−10:10 あいさつ
農業環境技術研究所理事長 佐藤洋平
10:10−10:25 研究会の趣旨説明
農業環境技術研究所 與語靖洋
<第一部> 行政における取り組み
10:25−10:55 農地・水・環境保全向上対策について
農林水産省・農村振興局 橋本陽子
10:55−11:25 農薬取締法における水産動植物への影響に関する最近の動向
環境省・水・大気環境局 日置潤一
<第二部> 研究における取り組み
11:25−11:55 生態系保全の要素としての水田の重要性:水生昆虫による水田の利用
農業環境技術研究所 田中幸一・山中武彦
[ 昼食 11:55−13:00 ]
13:00−13:30 水田地帯における水管理について
筑波大学 佐藤政良
13:30−14:00 水田の水管理と農薬の流出について
東京農工大学 渡邊裕純
14:00−14:30 魚介類における農薬の生物濃縮試験と魚類農薬残留実態について
株式会社エスコ 北條敏彦
[ 休憩 14:30−14:50 ]
14:50−15:20 水生生物に対する毒性研究の最近の話題
農業環境技術研究所 横山淳史
15:20−15:50 除草剤の生態系影響評価のためのメソコズム試験
日本植物調節剤研究協会 村岡哲郎
15:50−16:20 農薬と生物多様性は共存できるのか?
〜リスクベースのアプローチはさらなる進化を必要とする〜
農業環境技術研究所 永井孝志
16:20−17:10 質疑応答
[ 情報交換会 17:30−19:00 ]
平成21年9月10日(木曜日)
<第三部> 現場における取り組み
9:00− 9:30 水田における止水管理による除草剤の流出防止効果について
日本植物調節剤研究協会 田中十城
9:30−10:00 水田の水管理による農薬排出量の削減
北海道環境科学研究センター 沼辺明博
10:00−10:30 環境に配慮したワサビにおける総合的作物管理システムの確立
静岡県農林技術研究所 河村 精
[ 休憩 10:30−10:50 ]
10:50−11:20 琵琶湖水中の農薬実態調査について
滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 津田泰三
11:20−12:00 総合討論
テーマ 「水田と関連した陸水環境を保全するために」