農業環境技術研究所は10月9日(水曜日)から10日(木曜日)まで、つくば国際会議場 (茨城県つくば市) において、MARCO-FFTC ワークショップ 「アジアにおける遺伝子組換え食用作物のベネフィットとリスク」 (MARCO-FFTC Joint International Workshop 2013 on Benefits and Risks of Genetically Modified Food Crops in Asia) を開催します。
開催趣旨
世界で最も人口が増えているアジア太平洋地域において、遺伝子組換え(GM)作物の輸入や国内栽培の促進はきわめて重要な課題です。実際、海外におけるGM作物の栽培は急激に拡大しており、2012年には、世界28か国において、1億7030万ヘクタールに作付けされ、1730万人がその栽培に従事しています。なかでも開発途上国におけるGM作物の栽培面積は2012年に先進国を上回り、モンスーンアジア地域では、現在は5か国が商業栽培しています。そのため、アジア各国で、それぞれのニーズに合った研究開発や、輸入や栽培に関する法制度の充実が図られています。
本ワークショップでは、アジアを中心としたGM作物の開発と利用の現状を把握し、それに伴うベネフィット (食料安全保障・作物増産) とリスク (生物多様性減少) に関する様々な要因解析とその対策について、さらに議論を進めるとともに、アジア各国相互の有用な情報の交換や技術協力のためのプラットホーム構築を目的とします。
開催時期: 2013年10月9日(水曜日) 〜 10日(木曜日)
開催場所: つくば国際会議場(茨城県つくば市竹園2−20−3)
共催: 独立行政法人 農業環境技術研究所 (NIAES)、 アジア太平洋食料肥料技術センター (FFTC)
後援: 茨城大学農学部、 独立行政法人 農業生物資源研究所
参加: 無料 (事前登録制)
使用言語: 英語
プログラム
詳細プログラム(英語) (PDF ファイル 0.3 MB)
[ 平成25年10月9日(水曜日) ] 9:00〜17:30
■ 基調講演
開発途上国における食料保障とGM作物 (Josette Lewis, World Food Center, アメリカ合衆国)
■ セッション−1: GM作物開発・生産の概観
GM食用作物の商業栽培と将来展望 (Randy A. Hautea, ISAAA, フィリピン)
標的とした植物ゲノム部位の改変 (土岐精一, 農業生物資源研究所)
■ セッション−2: 植物保護におけるGM作物の新技術
WRKY45 を使ったイネの耐病性の開発:イネ防御機構のキーとなる転写因子 (高辻博志, 農業生物資源研究所)
インドネシアの隔離圃場試験におけるジャガイモ疫病耐性の現状 (Muhammad Herman, ICABIOGRAD, インドネシア)
リングスポットウィルス耐性GMパパイヤ (Parichart Burns, BIOTEC, タイ)
カノーラにおける除草剤耐性:オーストラリアにおける雑草防除のための不可欠な道具(Christopher Preston, Univ. of Adelaide, オーストラリア)
インドにおける害虫抵抗性Btナス (Vanga Siva Reddy, ICGBE, インド)
ベトナムにおけるBt遺伝子を発現する害虫耐性GMトウモロコシにおける圃場試験 (Nguyen Van Liem, Plant Protection Research Institute, ベトナム)
フィリピンにおけるトウモロコシのGMスタック系統 (Saturnina C. Halos, DA-BAT, フィリピン)
マーカーフリーな形質転換植物の開発 (横井彩子, 農業生物資源研究所)
[ 平成25年10月10日(木曜日) ] 9:00〜17:30
■ セッション−3: 環境や健康におけるGM作物の新技術
塩類耐性遺伝子組換えコムギ(T. aestivum)のクローニング、表現型解析および圃場における評価 (Nasir Ahmad Saeed, NIBGE, パキスタン)
乾燥耐性作物のための転写因子をコード化する干ばつ誘導遺伝子の探索 (篠崎和子, 東京大学)
中国におけるフィターゼ遺伝子を発現するGMトウモロコシ (Chunyi Zhang, BRI-CAAS, 中国)
マングビーンにおける MIP、PAP およびフィターゼ: 環境負荷低減および家畜栄養向上における成功への道を整える (Sutkhet Nakasathien, Kasetsart Univ., タイ)
スギ花粉症を予防するための食べるイネを用いたアレルギーワクチンの開発 (高岩文雄, 農業生物資源研究所)
遺伝子組換え植物において発現する豚繁殖呼吸障害症候群ウイルス抗原に対する経口免疫原性 (Pung-Ling Huang, National Taiwan Univ., 台湾)
フィトエン合成およびカロテンデサチュラーゼ遺伝子を持ったβ-カロチン強化米と非遺伝子組換え米の栄養組成の比較解析 (Yunsoo Yeo, National Academy of Agriculture, 大韓民国)
■ セッション−4: GM作物のリスク評価
GM作物の環境影響評価の概要 (與語靖洋, 農業環境技術研究所)
GM作物および食品・飼料に関する安全評価 (Willem Seinen,Utrecht Univ.,オランダ)
GM作物の環境影響と管理:科学と規制における比較的展望 (立川雅司, 茨城大学)
日本における遺伝子組換え作物の生物多様性影響とその適切な管理 (芝池博幸, 農業環境技術研究所)
■ パネルディスカッション
アジア地域におけるGM作物栽培の便益とリスク
■ ポスター発表: 開催期間中行います。