ポイント
・ 農業環境技術研究所が10月5日から3日間の国際シンポジウムを開催。
・ アジアを中心に約50名の外国人研究者が参加し、モンスーンアジアの農業に共通する環境問題や研究の動向について議論。
・ 特に5日の全体会議の講演には日本語同時通訳がつき、広く市民の参加を期待。
独立行政法人農業環境技術研究所は、10月5日から7日まで、つくば国際会議場(茨城県つくば市)において、MARCO シンポジウム 2009 「モンスーンアジアにおける農業環境問題と研究の課題」を開催します。
近年、モンスーンアジア(アジアの中でもモンスーン気候に属する東アジア、東南アジア、南アジア地域)では、人口の増加や経済発展に伴う食料需要の増大に加え、農業の集約化による環境への負荷の増大や自然資源の劣化、さらには地球温暖化の進行など、農業と環境をめぐる問題が深刻化しています。環境との調和を図りながら農業生産を維持していくには、この地域の農業と環境にかかわる研究者・技術者・行政担当者などが国際的に密接な連携を保ち、情報を共有することが重要です。
この3日間の国際シンポジウムでは、各国に共通する農業と環境をめぐる問題の現状や動向、研究の最先端について発表し、今後の研究方向や連携協力について議論します。特に1日目の全体会議では日本語同時通訳もありますので、広く市民の参加を期待します。
開催日時: 平成21年10月5日 9:00 〜 10月7日 15:00
開催場所: つくば国際会議場(エポカルつくば)
(〒305-0032 つくば市竹園2-20-3)
主催: (独)農業環境技術研究所
後援: 農林水産省農林水産技術会議事務局
対象: 一般市民、行政機関、関連団体、独立行政法人、大学など
参加: 参加費無料 (当日参加が可能です。定員600名)
(詳細については 別紙 をご参照ください)
開催責任者
農業環境技術研究所 理事長 佐藤 洋平
開催担当者
農業環境技術研究所 連携推進室長 鳥谷 均
電話 029-838-8181 FAX 029-838-8167
電子メール coord@niaes.affrc.go.jp
広報担当者
農業環境技術研究所 広報情報室 広報グループリーダー
田丸 政男
電話 029-838-8191 FAX 029-838-8191
電子メール kouhou@niaes.affrc.go.jp
(別紙)
開催日時: 平成21年10月5日 9:00 〜 10月7日 15:00
(一部のワークショップは9日まで実施します)
開催場所: つくば国際会議場 (エポカルつくば)
(〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-3)
開催趣旨
水田を中心としたモンスーンアジアの農業は、独特の農業生態系を育むとともに、持続的生産を可能にしてきました。しかし近年、人口の増加や経済発展に伴う食料需要の増大に加え、新たなバイオ燃料生産などの動きにより、この地域の農業生産に対する需要が著しく増大しつつあります。その一方で、農業の集約化による環境への負荷の増大や自然資源の劣化、さらには温暖化の進行など、農業と環境をめぐる問題は深刻さを増しています。
こうした背景のもと、環境との調和を図りつつ農業に対する需要の増大に応えていくために、同地域内の各国の農業と環境にかかわる研究者・技術者・行政担当者などが国際的に密接な連携を築くことが一層重要になってきています。3日間のシンポジウムでは、問題の現状や動向、研究の最先端について発表するとともに、今後の研究方向や連携協力について議論します。
1日目の全体会議では、モンスーンアジアの農業と環境をめぐる問題を概括的にとりあげます。2日目、3日目のワークショップでは、分科会形式で、重金属汚染、農作物の高温障害、植物資源、水田農業と生物多様性、土壌メタゲノム解析といった個別の課題をとりあげ、講演、討論を行います。3日目の全体会議では、それぞれのワークショップからの報告とMARCOに関わる国際会議の開催報告を受け、問題の解決に向けた連携、研究協力について議論します。
参加方法
参加費無料
当日参加が可能です(定員600名)
シンポジウムWebサイト
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/marco/marco2009/
開催事務局
独立行政法人農業環境技術研究所 連携推進室
〒305-8604 茨城県つくば市観音台 3-1-3
Eメール: coord@niaes.affrc.go.jp
電話: (029) 838-8181
MARCO(モンスーンアジア農業環境研究コンソーシアム、The Monsoon Asia Agro-Environmental Research Consortium) とは?
モンスーンアジアの農業環境研究を推進するため、2006年に農業環境技術研究所を中心として発足した国際的な研究協力ネットワークです。現在、韓国・中国・インドなど9か国から17の機関・大学が参加し、研究情報を交換するためのワークショップやシンポジウムの開催、人材育成のための研究者の受け入れなどを行っています。
○ 全体会議(同時通訳あり) 10月5日(月曜日) 9:30 〜 17:15
開会式
基調講演
モンスーンアジアの自然と農業 久馬 一剛 (京都大学名誉教授)
講演
(1) アジア農耕地の重金属汚染の現状
Yongming Luo (中国科学院土壌科学研究所、中国)
(2) モンスーンアジア地域における農業食糧植物遺伝資源の保存と利用
河瀬 眞琴 (農業生物資源研究所)
(3) 気候変化に強いイネの生産体系と国際協力
Holger Meinke (ワーゲニンゲン大学(UR)、オランダ)
(4) 穀物・植物貿易による外来植物の導入と生物多様性への影響
小沼 明弘 (農業環境技術研究所)
(5) 東アジアにおける食料生産・消費による窒素フローの変化とその環境への影響
新藤 純子 (農業環境技術研究所)
(6) 土地利用と炭素ストックを宇宙からとらえる−ラオス焼畑生態系における研究から−
井上 吉雄 (農業環境技術研究所)
(7) 地球温暖化時におけるアフリカの土地荒廃 −大気中の二酸化炭素増加による施肥効果によってアフリカの土地荒廃はかくされるのか?−
Paul L. G. Vlek (ボン大学開発研究センター、ドイツ)
○ ワークショップ 10月6日(火曜日) 9:00 〜
(1) 植物機能を利用した農作物中の重金属低減技術の開発
(10月6日 9:00 〜 10月7日 12:00)
植物の能力を利用してカドミウムを減らす技術の開発を議論。また、アジア各国で問題となっているヒ素汚染の現状について情報を交換し、汚染対策技術を考えます。
(2) 地球温暖化に伴う農作物高温障害の発生、予測と適応戦略
(10月6日 9:00 〜 10月9日 12:00)
*農林水産省委託事業「食と農の安全確保のための多国間研究交流ネットワーク事業」
東・東南・南アジア、環太平洋地域のコメ生産国での温暖化影響を把握するとともに、科学的データを蓄積するための耕地環境の観測と解析の方法を議論し、「国際的温暖化影響モニタリングネットワーク」の確立をめざします。
(3) モンスーンアジアの植物資源とアレロケミカルの探索
(10月6日 9:00 〜 10月7日 12:00)
モンスーンアジアに分布する植物から新たなアレロケミカルを探索し、利用を図るため、地域内の植物資源が豊富な国の研究の現状を報告し、今後の共同研究方向を討議します。
(4) 水田を中心としたモンスーンアジアの農業生態系と生物多様性
(10月6日 10:00 〜 17:00)
ヨーロッパでは、伝統的なヘッジロウや畑作地の縁辺部の機能を重視する、生物多様性と調和した農業生産の確立に向けた動きが活発です。本ワークショップでは水田農業と生物多様性との関係を検討し、アジアモンスーン地域に共通の概念形成に向けて検討します。
(5) 農業研究におけるメタゲノミクスの展望
(10月6日 9:00 〜 10月7日 12:00)
メタゲノム解析技術は、環境中から直接抽出した DNA や RNA を解析し、各環境中に生息する微生物の種構成や機能を探る手法です。本ワークショップでは、メタゲノム研究にかかわっている研究者を招き、農林水産省委託プロジェクト研究「土壌微生物相の解明による土壌生物性の解析技術の開発」の研究成果紹介も交え、農業環境分野での利用を議論します。
○ 総合討論 10月7日(水曜日) 13:00 〜 15:00
それぞれのワークショップからの報告と、MARCO に関わる国際会議の開催報告を受け、問題の解決に向けた連携、研究協力について議論します。