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生物研
プレスリリース
平成25年7月2日
独立行政法人 農業生物資源研究所

「コシヒカリ」から穂が出る時期を早める遺伝子を特定

- 早生のイネ品種の作出に貢献できる成果 -

ポイント
  • イネ品種「コシヒカリ」から出穂時期(穂が出る時期)を調節する遺伝子を明らかにしました。
  • 特定した遺伝子は、イネが日の長さに反応して開花する過程で働いていました。コシヒカリではこの遺伝子の働きが低下して、出穂時期が早くなっていることがわかりました。
  • 本遺伝子を活用することで、出穂時期を早めた新品種の作出が期待されます。

概要

  1. コシヒカリは30年以上にわたって日本一の栽培面積と生産量を維持しています。その理由としておいしさもありますが、日本晴などの他品種と比べて穂が出る時期が早く、寒くなる前に収穫を終えることができるため、北陸地方から南東北地方においても栽培できることがあげられます。しかし、これまでコシヒカリの穂が出る時期がなぜ早くなるのかについて、その理由を遺伝子レベルで説明できませんでした。
  2. 独立行政法人農業生物資源研究所(生物研)は、生物研が国際コンソーシアムの中心として解読した日本晴とコシヒカリのゲノム情報を利用して、穂が出る時期を早くする遺伝子「Hd16」をコシヒカリから特定するとともに、日本晴のHd16遺伝子も特定しました。
  3. 日本晴のHd16遺伝子は日の長さに対する反応性を強く持ち、日の長さが短くなるまで穂が出る時期を遅くする働きがあることがわかりました。一方、コシヒカリは、Hd16遺伝子の働きが低下して日の長さに対する反応が弱まることで、穂の出る時期が早くなることがわかりました。
  4. 国内外のイネ品種についてHd16遺伝子のタイプを調べたところ、100年前に日本国内で育成された品種で突然変異が発生し、コシヒカリに伝わったことが明らかになりました。今後、コシヒカリ型Hd16遺伝子を導入した新品種を育成することにより、様々なイネ品種の栽培時期を早めることができると期待されます。
  5. この成果は6月17日、英国科学雑誌The Plant Journal(電子版)に掲載されました。
予算 : 農林水産省委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成20-24年度)
日本学術振興会 科学研究費補助金「若手研究(B)」(平成20-21年度)
特許:特開2010-252645
プレスリリース全文 [PDFファイル:526KB]
【発表論文】 Kiyosumi Hori, Eri Ogiso-Tanaka, Kazuki Matsubara, Utako Yamanouchi, Kaworu Ebana, Masahiro Yano. Hd16, a gene for casein kinase I, is involved in the control of rice flowering time by modulating the day-length response. The Plant Journal
DOI:10.1111/tpj.12268

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
センター長 矢野 昌裕
 電話:029-838-6003 E-mail:myano@affrc.go.jp
(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
イネゲノム育種研究ユニットユニット長 山本 敏央
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
イネゲノム育種研究ユニット主任研究員 堀 清純
(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
イネゲノム育種研究ユニット特別研究員 小木曽映里
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は文部科学記者会、科学記者会、筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

  【掲載新聞】  7月3日水曜日:日本農業新聞、日刊工業新聞、7月4日木曜日:化学工業日報、7月9日火曜日:日経産業新聞、7月12日金曜日:全国農業新聞、7月19日金曜日:科学新聞、7月24日水曜日:農業共済新聞

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