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(独)農業生物資源研究所の省略形としては
「生物研」を使用願います。
生物研
CIAT
解禁時間は8月5日(月曜日)
午前2時(新聞は朝刊から)
プレスリリース
平成25年8月2日
独立行政法人 農業生物資源研究所
国際熱帯農業センター(コロンビア)
国立大学法人名古屋大学
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 作物研究所

世界初、イネの干ばつ耐性を高める深根性遺伝子を発見

- 干ばつに強い作物の開発に新たな道を開く -

ポイント
  • イネの根を深い方向に伸ばす遺伝子を発見しました。
  • イネの張り方が浅いイネに本遺伝子を導入すると、根が深くまで伸び、その結果干ばつに強くなりました。
  • 他の作物へ本遺伝子を活用することで、干ばつに強い作物の開発が期待できます。

概要

  1. 深根性(根が土壌深くまで伸びる性質)は、乾燥地域において土壌深層から水を獲得するうえで重要な形質ですが、これまで深根性に関与する遺伝子は明らかになっていませんでした。今回、(独)農業生物資源研究所(生物研)を中心とする研究グループは、イネの深根性に関与する「DRO1遺伝子」を発見しました。この遺伝子は、重力屈性1)に関与し、根の伸びる方向をより下向きにする働きがあることが分かりました。
  2. DNAマーカー選抜育種2)により、根の張り方が浅く干ばつに弱いイネにDRO1遺伝子を導入し、深根性を示すイネを開発しました。このイネは、元の品種では収量がほとんど得られないほどの厳しい干ばつ状態でも、干ばつのない通常状態で栽培した場合の30%の収量が得られるなど、強い干ばつ耐性を示しました。これまで、世界中で干ばつ耐性の改良をめざした研究が数多く行われてきましたが、干ばつ耐性をこれほど飛躍的に高めた例はなく、世界で初めてです。また、深根性の改良は、国内のイネ品種の耐倒伏性や登熟性の改善にも期待できます。
  3. イネと他の作物の遺伝情報を比較したところ、他の作物にもDRO1遺伝子とよく似た遺伝子があることが分かり、これらもDRO1遺伝子と同じ働きすることが推測されました。干ばつによる被害が深刻な問題となっているトウモロコシなどの畑作物でも、この遺伝子を用いることで、干ばつに強い新品種の開発が期待できます。
  4. この成果は、8月4日に英国科学雑誌Nature Geneticsに発表予定です。
予算:農林水産省委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成19-24年度)
農林水産省委託プロジェクト「次世代ゲノム基盤プロジェクト」(平成25-29年度)
特許:特願2009-292524、PCT/JP2010/73288
プレスリリース全文 [PDFファイル:575KB]
【発表論文】

Uga Y, Sugimoto K, Ogawa S, Rane J, Ishitani M, Hara N, Kitomi Y, Inukai Y, Ono K, Kanno N, Inoue H, Takehisa H, Motoyama R, Nagamura Y, Wu J, Matsumoto T, Takai T, Okuno K, Yano M (2013)
Control of root system architecture by DEEPER ROOTING 1 increases rice yield under drought conditions.Nature Genetics DOI:10.1038/ng.2725

Nature Genetics 注目のハイライトに選ばれました。

The Latest Science」の注目論文に選ばれました。

問い合わせ先など

研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
センター長 矢野 昌裕
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
 イネゲノム育種研究ユニット主任研究員 宇賀 優作
 電話:029-838-7443 E-mail:yuga@affrc.go.jp
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長 井濃内 順
 電話:029-838-8469
本資料は文部科学記者会、科学記者会、筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブに配付しています。

【掲載新聞】 8月5日(月曜日)日本経済新聞(夕刊)、日経産業新聞、日本農業新聞、化学工業日報、日刊工業新聞、茨城新聞、
8月6日(火曜日)毎日新聞、
8月14日(水曜日)農業共済新聞
8月26日(月曜日)朝日新聞
【ホームページ】 8月2日(金曜日)Voice of America 、
8月5日(月曜日)SPIEGEL ONLINE 、Sci Dev Net 、AFPBB News、日本経済新聞、
8月8日(木曜日)農業協同組合新聞、マイナビニュース
8月26日(月曜日)朝日新聞

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