市民参加型展示ほ場とは?私たちの食卓は、様々な農業技術によって支えられています。しかし、これら農業技術の有効性を体感したり、皆で話し合う機会は多くありません。この「市民参加型展示ほ場」では、ダイズ畑の除草作業や実験・観察といった「体験」を通じて、農業技術の効果や重要性を実感し、皆で考えるとともに、今後の農業技術開発のあり方について、市民と研究者がコミュニケーションを培う場を提供することを目的としています。 企画の主な内容(昨年度までの様子)1.除草体験と遺伝子組換え農作物の観察まず、1人当たり約5uのダイズ畑の除草を、参加者の皆さんが手作業で行いました。作業時間や除草重量は個人によって異なりますが、昨年度では平均で35分、17kg程度の雑草を取り除きました。その後、除草剤耐性ダイズの畑への除草剤散布による雑草防除を実演し、労力や作業時間を比較・確認しました。 また、日本ではなかなか見ることができない遺伝子組換え農作物(除草剤耐性ダイズ、害虫抵抗性トウモロコシ)の様子を観察し、雑草の生え具合や害虫被害の差などを確認しました。
2.各種の実験や展示農薬や品種改良、遺伝子組換え技術などの農業技術について理解を深めるために、ブロッコリーを用いたDNA抽出実験、ダイズ畑に生えていた雑草標本や遺伝子組換え体(GFP*を作るイネ、大腸菌、カイコの繭)などの展示を行いました。参加者からは「DNAがこんな簡単な実験で観察できるとは思わなかった」、「畑の雑草といっても、たくさんの種類があることが分かった」など、様々な感想がありました。
3.遺伝子組換え技術に関する情報提供農作物の品種改良の歴史について説明を行った後で、遺伝子組換え作物を作り出す方法、世界における遺伝仕組換え作物の利用状況、安全性評価システムなどについて情報提供を行いました。
4.作業結果のまとめと、フリーディスカッション参加者がそれぞれ除草を担当した区画(1人5u)から、一体どれ位のダイズが収穫物として期待できるのか、また日本人1人が消費する食用ダイズ(約8.3kg)を生産するためには、手作業でどれ位の除草作業が必要になるかなどを、当日の作業にかかった時間を基に皆でまとめました。 その後で、遺伝子組換え技術を含む農業技術に対する疑問、質問について、フリーディスカッションを行いました。参加者からは「遺伝子組換えが現実にどの様に利用されているか知ることが出来て良かった」「研究者や一般の人からいろいろな意見が聞けて良かった」などの意見が寄せられました。
また、参加者から「遺伝子組換えトウモロコシを食べてみたい」という要望があったことから、平成21年度には展示ほ場で収穫した遺伝子組換えトウモロコシの試食(希望者のみ)を行いました。参加者25名中、22名が「食べてみたかった」、「味を確認してみたかった」などの理由で試食をしました。 5.収穫見学会及び意見交換会(平成20年度実施)「除草作業だけでなく、ダイズが収穫される様子も見てみたい」という意見があったことから、平成20年度には収穫見学会も開催しました。参加者の皆さんは、自分が除草担当した区画のその後の様子を確認し、大豆の収穫(脱穀)作業を見学しました。 午後には、少人数でのグループディスカッションを行いました。遺伝子組換えを含む農業技術について、「現在良いと思う点」「悪いと思う点」「将来こうなってほしいと思う点」「欲しくない点」をテーマに、話し合いました。
<グループディスカッションの結果まとめ(平成20年収穫見学会)>平成22年度市民参加型展示ほ場の参加者募集のお知らせ本イベントは終了しました。 補足平成19〜21年度の市民参加型展示ほ場の当日の様子(写真)は、以下のURLでもご覧になれます。 この企画に関するお問い合せ先(独)農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究推進室 |