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さ行

細菌(Bacteria)
【略語・別称】バクテリア
【用語説明】  0.2〜10μm(100万分の1メートル)ぐらいで、ウイルスより大きく、固い細胞壁を持つ単細胞生物である。
 その種類は非常に多く確認されるが、形態により、球菌、桿菌、らせん菌に分けられ、グラム染色性(細菌染色法)によってグラム陽性菌とグラム陰性菌に大別される。
 細胞の分裂により増殖し、その個体は、それぞれに成長・分裂の能力をもっている。無機物のみで発育する自力栄養菌、有機物を必要とする他力栄養菌があり、発酵・呼吸(嫌気性菌、好気性菌)によってエネルギーを得る。有用な細菌は、発酵細菌としアルコールを酢酸に変える酢酸菌、糖類を発酵させ乳酸を産出する乳酸菌(ヨーグルト、チーズ、バター、漬物)が主なものとされる。このほか、寄生するものや病原性を有するものもある。
 医療分野では抗生物質、ワクチンの製造などで利用され、免疫の機能や遺伝の機序など、生物学研究にも幅広く用いられている。
細胞(Cell)
【用語説明】  わたしたちが住む地球上には、たくさんの生物が生活している。人間、犬、鳥、魚、植物、アメーバーやゾウリムシなど、これらの生物を作る基本単位が細胞である。
 つまり、これら生物は、形や大きさ、性質が違っても細胞からできている。
 また、生き物をつくる細胞の数により、生物は2種類に分かれる。アメーバーやゾウリムシ、大腸菌などのように1つの細胞からできている生物を単細胞生物といい、植物や動物のように多くの細胞からできている生物を多細胞生物という。
 そして、細胞にも真核細胞、原核細胞の2種類がある。真核細胞は核のある細胞で人間、犬、鳥、魚、植物などの高等生物を構成する。原核細胞は、大腸菌などに分類され、核がなくDNAがむき出しのまま存在している細胞である。
細胞核(Cell Nucleus)
【用語説明】  細胞の中心にある組織で球状の構造をしている。細胞核の中には遺伝情報であるDNAが格納されており、二重の膜(核膜)に囲まれ、核膜孔とよばれる多数の穴がある。そして、"発現、再生、老化、発ガン"などの生命現象が引き起こされる「場」になっている。
 細胞の種類は、細菌やラン藻類の原核細胞と、ヒト、犬、植物などの真核細胞の2種類あるが、細胞核をもつのは真核細胞である。
残留性有期汚染物質(Persistent Organic Pollutants)
【略語・別称】POPs
【用語説明】  残留性有機汚染物質(POPs)とは、難分解性、高蓄積性、長距離移動性、有害性(人の健康・生態系)を持つ物質のことを指す。
 環境中での残留性が高い、PCB、DDT、ダイオキシンなどのPOPsについては、一部の国々の取り組みのみでは地球環境汚染の防止には不十分であり、国際的に協調してPOPsの廃絶、削減等を行う必要から、2001年5月、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)が採択された。
cDNA(Complementary DNA, complementary Deoxyribonucleic Acid)
【略語・別称】相補的DNA
【用語説明】  遺伝子はアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の 4つの塩基が連なったDNAからできているが、この中で遺伝子として働くのはごく一部(約5%)である。
 タンパク質合成においてDNAの遺伝子として働く部分(情報)だけを写し取ったmRNAが現れ、この情報をもとにタンパク質が作られる。つまり、mRNAの情報があれば人工的にタンパク質合成ができる可能性があるが、実験上このmRNAは不安定で取り扱いにくい。そのためmRNAに逆転写酵素を加えることにより、相補的な一本鎖DNAを作り出すことができた。この人工的に作られたDNAをcDNAとよぶ。
シーケンス(Sequence)
【用語説明】  アミノ酸配列やDNA塩基配列など、構成単位の配列を指す。あるいは、その配列を決定する行為を指す。
 DNAの構成成分アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4つの塩基配列を決定することをDNAシーケンス、または単にシーケンスという。一方、アミノ酸配列を決定することは、アミノ酸シーケンスといわれる。
シスジェネシス・イントラジェネシス(cisgenesis / intragenesis)
【用語説明】  広義の遺伝子組換え(トランスジェネシス;transgenesis)技術のうち、ある種の生物に、同種又は交雑可能な種由来の核酸を移植することをいう。シスジェネシスは核酸供与体から、ひとつながりの核酸断片を取り出し、断片の構造を改変せずに宿主に導入するものをいう。これに対しイントラジェネシスは構造遺伝子と制御領域の組合せを変更し、導入するものをいう。トランス(trans-)は「向こう側の」、シス(cis-)は「こちら側の」、イントラ(intra-)は「内」を示す接頭辞。
次世代シーケンサー(Next generation sequencer)
【用語説明】  超高速シーケンサーともいう。従来のサンガー法とは原理的に異なる方法で、大量のDNAの塩基配列を解読する装置。1台の装置で一度に5億から1000億塩基の解読を行なうことができる。DNAポリメラーゼを使って塩基の取り込みを検出する方法や、ポリメラーゼを用いずにオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせて解読する方法を使った装置が販売されている。シーケンサーの開発競争は日進月歩であり、今後も解読能力は飛躍的に増加していくと考えられる。
シトシン(Cytosine)
【用語説明】  DNAやRNAなどの構成成分である。
 DNAはリン酸、糖(D-デオキシリボース)、塩基から成るヌクレオチドがいくつもつながり形作られる。その塩基の成分にはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)の4種類が存在するが、シトシン(C)はそのうちの1つである。
 DNAの二重らせんのなかではグアニン(G)と結合し、遺伝子設計図の化学物質の1つを担っている。
ショットガン法(Shotgun Cloning)
【用語説明】  すべての生物を構成している細胞のDNAに書き込まれた遺伝情報を解読する方法の一つ。
 すべてのDNAを制限酵素(DNAを切断する酵素)で適当な断片に切断するという手法から「ショットガン」と名付けられた。
 この方法には、全ゲノムショットガン方式と階層化ショットガン方式の二通りある。
 全ゲノムショットガン方式では各々のDNA断片のわずかな配列の重なりをコンピュータでつなぎ合わせていくため、解読の精度が低い。
 階層化ショットガン方式はDNAを切断する部位を決め、詳細な遺伝子地図を用いるので、高精度に解読できる。最近では、ヒトゲノム解析、イネゲノム解析に階層化ショットガン方式が使われている。
ジーンターゲッティング(Gene Targeting)
【用語説明】  核内の標的とする遺伝子を、細胞外から導入した遺伝子と置き換える技術。生物は遺伝子の塩基配列の相同性(部分的な同一性)を利用して、遺伝子を組換えるシステム(相同組換えシステム)を持っており、これを利用したもの。
ジーンバンク(Gene Bank)
【用語説明】  動植物などの新品種や新しい食品を開発する場合、基礎となる生物や、その遺伝資源が必要となる。このような技術開発の生物遺伝資源を収集、保存、配布をする業務を総称してジーンバンクという。(農林水産ジーンバンクを参照)
植物工場(Plant Factory)
【用語説明】  環境制御や自動化などの技術を利用した植物の効率生産システムである。
 温度、光、二酸化炭素、培養液(肥料)などの植物栽培の環境をコンピュータにより制御することで、天候や季節に左右されることなく、衛生的な生産ができる。また、播種や収穫などの自動化により周年生産システムを可能にし、安定生産や無農薬栽培ができるなどのメリットを持つことから、次世代の農業スタイルとして注目されている。
食品安全委員会(Food Safety Commission)
【用語説明】  2003年7月1日に、内閣府に設置された、食品の安全性を評価する専門的な機関。
 内外の食品安全に関する情報の収集や整理、中立公正な食品健康影響評価(リスク評価)を実施する。リスク管理機関(厚生労働省、農林水産省など)への勧告と実施状況を監視し、食品安全に関するリスクコミュニケーションの実施と緊急時の危機管理体制の整備を行う。また、関係省庁が食品の安全性の確保に関する施策を策定・変更する際には、食品安全委員会の意見を聴かなければならないことになっている。
 食品安全委員会のメンバーは、(1)毒性学、(2)微生物学、(3)有機化学(化学物質)、(4)公衆衛生学、(5)食品の生産・流通システム、(6)消費者意識、消費行動、(7)情報交流などの各専門家7名で構成されている
真核細胞(Eukaryote)
【用語説明】  細胞の一種。細胞には原核細胞と真核細胞の2種類がある。
 真核細胞は、原核細胞より構造が複雑で、細胞内にミトコンドリアや小胞体、ゴルジ体などの器官がある。また、細胞核(核)と呼ばれる構造を持ち、細胞のそれ以外の部分からは膜(核膜)で区切られている。DNA自体は、原核細胞では単一分子なのに比べ、真核細胞のものは、はるかに大きく、形状も多様である。酵母や動植物は、真核細胞から成り立っている。
人工ヌクレアーゼ(artifi cial nuclease(site-directed nuclease))
【略語・別称】部位特異的ヌクレアーゼ
【用語説明】  特定の塩基配列を認識してDNAを切断するように、人工的に 設計された酵素。ゲノム編集に用いられる。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc-fi nger nuclease、ZFN)や、TALENs、CRISPR/Casシステムなどがある。
スタック品種(Stacked GM Plants)
【略語・別称】GMハイブリッド
【用語説明】  遺伝子組換え系統を複数掛け合わせた品種をいう。
 例えば、害虫抵抗性を付与した遺伝子組換え系統と除草剤耐性を付与した遺伝子組換え系統の両方の性質を併せ持った掛け合わせ品種をいう。
 トウモロコシ、ワタ、アルファルファなどで既に実用化されている。
制限酵素(Restriction Enzyme)
【用語説明】  DNA鎖を切断する酵素のこと。
 2本鎖DNAの特定の塩基配列を認識して切断するという性質をもつ。切断の場所によって制限酵素の種類も異なってくる。
 制限酵素は、DNA鎖を切断する「はさみ」に相当し、再度、別のDNAのところに貼り付ける働きをもつ酵素を利用して、組換えを行っている。また、制限酵素の種類によって切断されるDNAの位置を示すことにより、遺伝子の解析(ヒトゲノム解析、遺伝子診断など)に利用されている。
生物学的封じ込め(Biological Containment)
【用語説明】  特殊な培養条件下以外では生存しない宿主と、実験用でない他の生細胞への伝達性がなく、宿主依存性の高いベクターを組み合わせた宿主−ベクター系を用いることにより、組換え体の環境への伝播・拡散を防止すること。または生物学的安全性が極めて高いものと認められた宿主−ベクター系を用いることにより、組換え体の生物学的安全性を保つこと。
 生物学的封じ込めのレベルは、自然環境下での生存能力に応じて評価され、B1とB2の2つに分けられる。自然条件下では生存能力が低い宿主と、宿主依存性が高く、他の細胞、微生物に移行しにくいベクターの組合せで、自然条件下での生態学的挙動に基づいて安全性が高いと認められる宿主−ベクター系がB1レベルとされている。B2は、B1レベルの条件を満たし、かつ自然条件下での生存能力が特に低い宿主と宿主依存性が特に高いベクターを組み合わせた宿主−ベクター系をB2レベルと定めている。
生物農薬(Biological Pesticide)
【用語説明】  病害虫や雑草の防除に利用される微生物や天敵など、生物由来の農薬のこと。
 例えば、植物に害虫のアブラムシを食べるテントウムシのような益虫がよく知られている。生物農薬は、環境への負荷が軽減され、安全性が高いが、生産コストの低下など、課題が多く実用化が遅れており、生産量は農薬全体の100分の1以下である。
 しかし、生物農薬の開発は進んでおり、中でも微生物農薬は、有効性の面からも研究が活発に行われている。代表的なものは、害虫防除に利用されているBt細菌(生菌)で、この菌を大量培養して、産生した殺虫効果のあるタンパク質を野菜の害虫、メイガなどの防除に使用する。日本では野菜、りんご、茶、街路樹の害虫防除用として販売されている。
生分解性プラスチック(Biodegradable Plastics)
【用語説明】  元来は、土中や海水中などの自然環境下に生存する微生物の働きや物理的に、ある一定期間を経ると分解され、最終的に水と二酸化炭素などへと分解されるプラスチックのこと。広義には、一部分解されないが、形を留めないものも含める場合がある。
 通常のプラスチック製品と同じように使用でき、自然界に存在する物質に分解されるため、廃棄物処理の問題対策の一つとして分解性プラスチック製品が世界的に脚光を浴びている。
 生分解性プラスチックの代表的な原料は、石油資源を用いた化学合成系などや、微生物が体内に蓄積する物質を利用したもの、でんぷんなどの多糖類を使用するものなどがある。生産コストや性能などの問題があり全プラスチック量の約0.1%である。
セリシン(Sericin)
【用語説明】  カイコの絹糸腺で作られる、膠質(ノリ状)の水溶性タンパク質。カイコから吐き出された糸では、フィブロイン(絹糸の本体)の外周をセリシンが取り囲んでいる。セリシンが被覆したままの繭糸(繭から解した糸)を束ねたものを生糸という。生糸を弱アルカリ性の石鹸水(温水)等で処理すると、セリシンは除去され、絹糸(フィブロインの繊維)が得られます。
 セリシンは主に4種類のタンパク質から成り、これらは2つの遺伝子から翻訳される。水溶性タンパク質が、いったん吸湿したセリシンは二次構造(βシート)を形成し、水に溶けにくくなる。
 従来、セリシンは廃水(不要物)として捨てられていまたが、生糸を製造する製糸工場で、セリシン混じりのお湯に手を浸す女工の手肌はキレイだと長年噂されてきた。最近の研究により、セリシンは人体にとって有用な機能を有することが解明されつつある。遺伝子組換えにより有用タンパク質をセリシンとともに発現させれば、その有用タンパク質を水溶媒により、簡単に分離抽出できる。
染色体(Chromosome)
【用語説明】  生物の体をつくりあげている細胞の核の内部にあり、遺伝情報の保存と発現を支配している。
 染色体は、DNAとタンパク質が集まった棒状の構造体で、アルカリ性塩基の色素によく染まることから「染色体」と名付けられた。生物の体内で一定の周期で起こる細胞分裂の際に染色体が観察でき、そのとき以外は染色質(染色糸)とよばれる形がよくわからない構造をしている。
 染色体の数や形は生物の種類によって決まっている。たとえば人間では人種にかかわらず46本で、チンパンジーは48本、犬は78本、アメリカザリガニは200本である。このように生物が下等であるか高等であるかは染色体の数とは関係ないようである。
 また、動物や雄雌異株の植物には常染色体の他に性別を決定している性染色体が存在する。
全ゲノムショットガン法(Whole-genome Shotgun Sequencing, Whole Genome Shotgun Sequencing)
【略語・別称】ホールゲノム・ショットガン法
【用語説明】  ゲノムの長鎖DNAの塩基配列決定法のことで、ホールゲノム・ショットガン法ともいわれる。
 すべてのDNAを制限酵素(DNAを切断する酵素)で適当な断片に切断する。各々のDNA断片の両端の塩基配列を読んで、わずかな配列の重なりをコンピュータでつなぎ合わせていく。解読の精度の点では、階層化ショットガン法に比べ劣っているが、短時間でのゲノム解読を可能にする方法である。
相同組換え(homologous recombination)
【用語説明】  塩基配列がよく似た(相同な)2つのDNAの間で、その一部の塩基配列が交換されること。DNAが切断された際に、その切断部位に相同なDNAがあると、切断部をまたぐように相同組換えが起きて切断が修復される。その相同なDNAの一部の塩基を人為的に変えておくと、任意の変異を導入することができ、ゲノム編集の一種として利用される。