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山本 公子
農業生物先端ゲノム研究センター 昆虫ゲノム研究ユニット
ユニット長
カイコやコナガ、トビイロウンカなどの農業昆虫をターゲットにゲノム研究をしています。カイコはシルクを生産するために高度に家畜化された昆虫で、桑だけを食べ、密集飼育をしても争うことも逃げることもしない特殊な昆虫です。近年は、薬剤などを生産する昆虫工場としても注目されています。また、カイコは農業害虫の多くを占める鱗翅目昆虫の代表として、そのゲノム情報を活用した害虫防除研究も進められています。また、コナガやトビイロウンカのゲノム研究を進め、殺虫剤抵抗性メカニズムの解明などを通じて農作物の安定供給に貢献することも目指しています。
ゲノム研究の萌芽期にイネゲノム研究に参加し、ずっとゲノム畑を歩んできました。もともと、「生命の不思議」に魅せられて生物学を始めたので、「不思議」の謎を解くための最も根幹であるゲノム研究を今後もずっと続けていきたいと思い、ゲノム研究を精力的に推進している生物研へ入りました。
研究者の多くは基本的に自分が興味のある事を研究しているので、面白さは自動的についてくると思います。謎を解く為に実験をして、解けたと思った瞬間に新たな謎が生まれたり、想定外の展開に一喜一憂したりすることが研究の醍醐味だと思います。ただしプロである以上はただ面白いだけではだめで、その研究成果を還元し、社会に貢献することも重要です。自分の仕事が認められ役に立っていると実感できる事がやりがいにつながります。この点は他の職種と同じだと思います。
私は20年近くゲノム研究に携わってきましたが、その間、ゲノム研究は革命的な進化を続けていて、それをリアルタイムで体験できた事はとても幸せな事でした。今後は、携わってきたイネと昆虫の両ゲノム研究の成果が活用され、より安心で安全な農作物が安定に供給される社会になる事を願っていて、そのための研究を続けていきます。
若い頃は研究が面白くて夢中で仕事をしていたので、バランスはとても悪かったと思います。最近ようやくバランスが大事である事に気づき、意識してオンオフの切り替えをするようにしています。
生物研が行っているテーマに興味にある方でしたら、ここの研究職はよい選択肢の一つだと思います。女性だから道が閉ざされるという事は決してありません。育児休暇等の制度も改善され以前よりずっと働きやすくなっています。それでも子育てしながら研究を続ける事は大変なときもあると思いますが、先輩がたくさんいるので大丈夫ですよ。
[2011/06/30]
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