<情報コーナー>
平成10年12月17日(木)、製造業の経営者や研究開発担当重役が構成メンバーとなっている「新経営研究会」主宰の「異業種・特徴企業研究会」が当所において開催されました。この会は名前が示すとおり、”特徴ある生きた現場を訪問・見学し、異業種間・異文化間の創造的な出会い、生きた相互研鑽の場とするオフレコで結論を求めない”ことを趣旨としています。当日は、関東ばかりでなく関西方面からも多くの方々が出席され(出席者総数47名)、実りのある研究会となりました。
始めに、新経営研究会松尾代表の挨拶では、「この研究所の素晴らしい研究内容を知り、日本の明るい将来が開けつつあるという実感を強く持たれるのではないか」との期待が述べられ、木村所長からは、「お互いに何らかのメリットが生まれますよう有意義な時間を過ごしたい」等の歓迎の辞が述べられました。
引き続き、柳川企画連絡室長より昆虫の特異的な構造や機能等の説明を交えた研究所の概要紹介が、次いで、「昆虫の特異生体機能の解明と昆虫機能の創造的利用研究」と題した井上昆虫機能研究官による講演がなされました。
講演では、@スズメバチ、ウスチャコガネ等のトピックス的な昆虫機能研究、A抗菌タンパク質、人工皮膚、抗血栓薬、免疫活性物質等をターゲットにした新材料の創出に関する研究やバイオセンサー、マイクロマシン、害虫等の新しい制御技術等を作るための生体機能模倣研究、B有用物質を大量生産する昆虫工場の三つを柱に、OHPを用いた盛り沢山の研究紹介がなされました。出席の皆さんには、当所が進めている、いろいろな昆虫機能を解明し、新しい資源として社会に役立てていこうという目的がご理解いただけたものと思います。
講演後、抗菌タンパク質、創傷被覆材、インセクト・ファクトリー・システム関連の実験室・施設等を見学紹介しました。山川、坪内、大浦各研究室長からパネルやサンプル等を用いた分かりやすい説明があり、講演内容がより理解できた様子でした。
締めくくりのQ&Aでは、遺伝子組換え、培養細胞、マイクロマシン等の昆虫機能利用研究に関することから、宇宙空間での昆虫の利用や研究テーマの設定・期間・評価等にまで話題が及び、幅広い意見交換がなされました。
今回のような異業種の方との交流は初めてのケースですが、冒頭の挨拶で所長が述べられたように、相互に意義のある研究会となりました。