蚕糸昆虫研ニュース No.46(2000.3)

<トピックス>
 
昆虫培養細胞株のデータベース


 数億年にわたって進化してきた昆虫の種類は100万種とも言われ、極めて多様な機能を持っています。この昆虫の持っている機能を昆虫の細胞レベルで解明し、それを利用した技術開発への期待は多方面から寄せられています。
 蚕糸・昆虫農業技術研究所では多くの昆虫培養細胞株を樹立し、それらの利用技術の確立に向けた研究開発を行っています。また、当所は昆虫培養細胞株のデータバンクの構築を目指し、当所で樹立した昆虫培養細胞株のみならず既存の昆虫培養細胞株も収集してきました。
 一方、コンピュータネットワークやインターネットの普及に伴い、この昆虫培養細胞株の研究情報を早急に電子化を図り、公開してほしいとの要望が多くの研究者から求められていました。このような背景を踏まえ、昆虫培養細胞株のデータベース化を図るとともに、電子情報として外部に公開するための研究支援システムを構築しました。
 研究支援システムの主な特徴は以下のとおりです。@昆虫培養細胞株のデータベースを蚕昆研のホームページに作成しました(URLは、http://ss.nises.affrc.go.jpです)。A特性データは、昆虫名、発育ステージ、組織、第1回植え継ぎ、第100回植え継ぎ、細胞の形態、器壁付着性、核型、細胞数倍加時間、密着依存増殖性、植え継ぎ方法、凍結保存、凍結保存場所、培地、ウィルス感受性、樹立報告の16項目です。B各昆虫培養細胞株ごとに顕微鏡写真の画像データをリンクしましたた。C入力した培養細胞株の昆虫の種類は、ナミアゲハ、ヨトウガ、センチニクバエ、ヒトスジシマカ、アワヨトウ、スジモンヒトリ、クワゴマダラヒトリ、ハスモンヨトウ、オビカレハ、カイコガ、ドウガネブイブイ、ヤママユガです。D蚕糸・昆虫農業技術研究所のホームページで公開した昆虫培養細胞株データベースに加えて、新たに、検索機能をもつ簡易なデータベース構築ツール「ファイルメーカPro」を用いたデータベースも併せて構築しました。なお、URLは、http://pc29.nises.affrc.go.jpです。

(企画連絡室 研究技術情報官 木下晴夫)
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