独立行政法人農業生物資源研究所では、スギ花粉症緩和米の栽培実験を行っております。開発目的、栽培の概要及び花粉飛散防止措置は以下のとおりです。
なお、「スギ花粉ペプチド含有イネ」は第1種使用申請のために用いた名称ですが、一般には「スギ花粉症緩和米」で知られているので、本資料ではこの名称を用います。
- 開発目的及び栽培試験の目的
スギ花粉症は国民病といってよいほどのアレルギー疾患です。コメを食べることで、スギ花粉症の症状を緩和させることを目的として研究を行っています。
本遺伝子組換えイネは、MATベクター(選抜マーカーフリー作物作出用ベクター)を用い、スギ花粉抗原のエピトープを7連結したペプチド遺伝子を宿主品種「日本晴」に導入したもので、閉鎖系温室及び特定網室で栽培試験を行い、生物多様性への影響を評価してきました。その結果、出穂期と稈長に差異が認められたものの、その他のイネの形態や生育特性、有害物質の産生性、花粉稔性や種子特性(発芽性や休眠性など)は非組換えイネとの間に差異がないことから、生物多様性に影響を与えないと判断し、現在、隔離ほ場における栽培認可の申請を行っています。
今年度の栽培試験は、スギ花粉症緩和米の生育特性や越冬性等の生物多様性への影響を評価するために栽培を行います。また収穫された種子について栄養成分等の分析を行う予定です。
- 栽培期間および栽培場所
栽培期間:平成19年7月23日〜平成19年10月下旬
栽培場所:農業生物資源研究所隔離ほ場(ほ場面積 1a)
[栽培実験]
平成19年 7月23日:隔離ほ場の水田に移植
平成19年10月下旬 :収穫(予定)
平成20年 3月まで :越冬性試験等を継続
- 花粉拡散防止措置
農業生物資源研究所隔離ほ場は、最も近い一般の水田から約750m離れ、研究所内で試験栽培されている最も近いイネからも30m離れています。さらに、研究所周辺の一般に栽培されているイネと開花期が一致しません。そのため、一般のイネと組換えイネが交雑する可能性はないと考えてます。
また、本組換えイネは、食品安全性承認作物、飼料安全性承認作物に該当しませんので、研究所と外部の境界近くにもち米の株を栽培し、研究所外にイネの花粉が飛散していないことを確認します。(第1種使用規程承認組換え作物栽培実験指針に基づいた措置です。)
 スギ花粉症緩和米の期待される効果
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